青山博一チャンネル〜Go! Go! Hiroshi〜

Go! Hiroshi102010/07/02

オランダ
アッセン・サーキット

アッセン・サーキットとは

グランプリの創成期からオランダGPの舞台として定着している伝統あるサーキットです。長い歴史の中で何度も改修が繰り返されてきましたが、2006年には1km以上の短縮などの大改修を受けて、現在のレイアウトになりました。地理的な要因から天候が不安定なことでも有名です。

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チーフメカニック トム・ヨイェッチより

青山博一チャンネルをご覧のみなさん、こんにちは。インターヴェッテン・ホンダ・モトGPのチーフメカニック担当、トム・ヨイェッチです。

みなさんすでにご存じの通り、ヒロこと青山博一は、6月20日のイギリスGP決勝レース午前中にウオームアップ走行でハイサイド転倒を喫し、脊椎(第12胸椎)を圧迫骨折するケガを負いました。22日の火曜日にはバルセロナへ戻り、現在は自宅で静養をしています。

ピット

ヒロにとってはアンラッキーというほかない一瞬の出来事でしたが、この事故の直後は我々チームも、正直なところさすがに意気消沈してしまいました。それでも、気を取り直して次の第6戦を戦うべくオランダのアッセンへやって来ました。我々を支えてくれる多くの方々のためにもレース活動を継続していくのは非常に重要なことですし、それにこの数戦のスケジュールが慌ただしいものになることは、あらかじめ分かっていたことなのですから。そうである以上、我々のなすべきことは、いつもと同じように各自の仕事を着実に続け、ヒロが戻ってきたときのためにバイクを仕上げていく、ということです。

そして、その目的のために、HRCのテストライダー・秋吉耕佑さんがヒロのバイクに乗ってくれることになりました。開発経験豊富な秋吉さんが力になってくれるのは、我々には非常に心強く、また、幸運なことでした。とはいえ、突然の決定で急きょレース現場へやってくることになった秋吉さんにとっては、さぞや大変だったろうと思います。走ったことのないコースで、しかもバイクもいきなりヒロのセッティングから乗り始めるという初めて尽くしのスタートでしたから。そして、そこから少しずつ、秋吉さんに乗りやすい方向に変更していきました。

秋吉耕佑

秋吉さんから得られたコメントは、我々がヒロから得ていたものと似たような傾向のコメントでした。秋吉さんはファクトリーの開発経験が豊富なライダーなので、我々が現在抱えている問題についても、よく理解してくれていると思います。

そのような経過で土曜日の決勝レースを迎えたのですが、今回の第6戦に関しては、我々はどちらかというと実戦テストのような気持ちで臨みました。秋吉さんは終始安定したタイムで走行し、完走してポイントも獲得できました。次回のカタルニアGPでも、さらに今回以上に有意義なセッションを積み上げていきたいと思います。

秋吉耕佑

ところで、ヒロの骨折個所の治療方法ですが、手術をせずに自然治癒で回復を待つ方法を選択したと聞きました。手術をしたほうが二週間ほど早く治る可能性が高いという話ですが、その程度の差にすぎないのなら、体にメスを入れるリスクよりも手術をしない方法を選択したのは、賢明な判断だったと思います。それに、ヒロはもともと強い精神力の持ち主なのだから、数週間の差などは問題にならないはずです。復帰してきたときは、今まで以上に強じんな精神力を備えた選手になっているでしょう。

我々がフォーカスしているのは、ヒロが戻ってきたときに100%の力を発揮して戦うことです。そのために、今は何でもできることをやって、どんなライダーとも戦える力をつけていく時期だと思っています。我々のライダーは、間違いなく絶対にヒロなのですから。

次戦はヒロの自宅があるバルセロナ郊外で開催される、カタルニアGPです。レース前には、時間を見つけてチーム全員でお見舞いに行こうと思っています。

プロフィール

青山博一
Hiroshi Aoyama

5歳からポケバイに乗り始め、15歳でミニバイク関東選手権を制覇。2000年から全日本選手権250ccクラスに参戦して、03年に全日本タイトルを獲得しました。翌04年からHondaのライダー育成制度「Honda Racingスカラーシップ」の第1期生として世界選手権250ccクラスにフル参戦を開始。昨年、日本人として8年ぶりとなる250cc世界チャンピオンに輝きました。2010年は世界最高峰レースMotoGPにステップアップして、次なる頂点を目指して戦っています。