青山博一チャンネル〜Go! Go! Hiroshi〜

Go! Hiroshi142010/10/07

日本
ツインリンクもてぎ

ツインリンクもてぎとは

栃木県茂木町に位置するサーキットです。日本人ライダーにとっての母国サーキットであるだけでなく、Hondaのホームサーキットでもあります。青山選手にとっては、250cc時代に2度の優勝を飾っている最高の舞台。ファンの熱気はもちろんのこと、青山選手自身のモチベーションも最高潮を迎えるグランプリです。

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ホームGPは大忙しなのだの巻

いよいよ待ちに待った日本GPである。4月に第2戦として開催される予定だった当初のスケジュールが、アイスランドの火山噴火で10月の第14戦に延期。青山は4月開催に合わせて一度帰国したものの、延期決定と同時に欧州へ戻り、その後はバルセロナの自宅をベースにヨーロッパラウンドを転戦し続けた。

つまり、今回の第14戦が約半年ぶりの日本、というわけなのだ。

第13戦のアラゴンGPを終えて帰国した青山は、モビリティランドが主催する記者会見や9月29日(水)にHondaウエルカムプラザ青山で行われた『2010 Honda MotoGP Premium Stage』に出席。当日会場に詰めかけた大勢のファンの前で健闘を誓った。

2010 Honda MotoGP Premium Stage

翌日からは、日本GPが開催される栃木県ツインリンクもてぎで慌ただしいスケジュールを消化した。

レース前日の30日(木)は、チームとのミーティングや久しぶりに会う日本の関係者へのあいさつの合間に、まずは15時からスペイン・カタルーニャラジオの取材。テーマは、レース前に青山がいつも行っている“清めの儀式”に関する質問だ。

いい成績を収めるためのジンクスや、ケガなく無事に走りきるための縁起担ぎなど、走行前に一定の“儀式”を行う選手は多い。青山も、250ccクラス参戦時から常に行ってきたきまりごとがある。走行前に清めの塩をマシンに振る、というものだ。

日本人なら「塩を振って穢(けが)れを清め、悪霊を祓(はら)う」という行為や考え方には何の違和感もないだろうが、塩に聖性があるという考え方を持たない欧州文化の人々には、この行為は奇異で不思議に見えるようだ。青山は過去にも何度か、この“清め”に関する質問を受けているが、今回は全戦転戦取材する同局記者のリクエストに応じ、スペインのロードレースファンに向けてこの儀式の解説を行った、というわけだ。

夕方5時からはコントロールタワー脇の記者会見場で、今回のレースに備えた事前記者会見に出席。チャンピオンシップをリードするホルヘ・ロレンソ選手や、同じくHondaで戦うマルコ・シモンチェリ選手たち4名とともに壇上に並び、各国の記者と質疑応答を行った。

青山博一

翌10月1日(金)は、午後のフリープラクティス1回目に先立ち、インターヴェッテン・ホンダ・モトGPのピット前で午前11時にトロフィー贈呈式が行われた。これは、新聞社やテレビ・ラジオ局など25社からなる東京運動記者クラブモータースポーツ分科会が選出した2009年最優秀選手賞授賞を記念するトロフィーで、本来なら4月に贈呈される予定だったが、日本GPの延期にともない、この日に持ち越しとなっていたものだ。過去には、二輪界から加藤大治郎氏や阿部典史氏、四輪界では佐藤琢磨選手や鈴木亜久里氏も受賞している栄誉ある賞だ。

青山博一

この日のフリープラクティスは6番手、と上々の走り出し。セッションを終えて、午後18時過ぎからはブリヂストンが主催するディナーパーティが催され、青山もくつろいだひとときを過ごした。

青山博一

土曜日は、通常どおり午前にフリープラクティス2回目、午後からは予選が行われた。予選終了後は囲み取材。欧州ラウンドと違い、日本GPでは多くの日本人記者が取材に来ている。MotoGPクラス唯一の日本人選手である青山は、あっという間に彼らに取り囲まれる。取材を終えると、16時30分から日本GP恒例のMotoGP選手サイン会。17時には正面エントランスに作られたHondaの特設ステージで、ランディ・デ・ピュニエ選手とともにトークショー。会場前は黒山の人だかり。大勢のファンがステージ上の青山とデ・ピュニエ選手に熱い声援を送った。

青山博一、ランディ・デ・ピュニエ
青山博一

そしていよいよ決勝レースが行われる日曜日。当初の気象予報では降水確率60%という情報だったが、朝から快晴。気温は前日よりも若干低くなったものの、絶好の観戦レース日和になった。

午前のウォームアップ走行後には日本のテレビ局がインタビューをピット内で行い、パドック内ブリヂストンブースでVIPゲストを対象にしたトークショーに参加。

そして午後15時に決勝レースがスタート。全24周回にわたって熱い戦いが繰り広げられ、青山はシーズンベストタイの10位でチェッカーを受けた。

青山博一

レース後も、スケジュールが目白押しだ。

17時から、グランドスタンド裏の正面エントランスに設置されたブリヂストンブースでトークショー。その後、アライヘルメットでサイン会。

まさに息つくヒマもないスケジュールを消化し、ようやく青山の日本GPは終了した。

次戦は3週連続開催の2戦目、第15戦マレーシアGP。灼熱のセパンサーキットが選手たちを待っている。チームスタッフは慌ただしく撤収作業を行い、レース翌日の月曜にマレーシアへ向けて旅立った。

次のレース準備に余念がないチーフメカニックのトム・ヨイェッチにマレーシアGPの抱負を語ってもらい、今回の締めくくりとしよう。

「マレーシアではいいレースができると思いますよ。ウィンタータイムに3回テストを実施しているので、セッティングを向上させていくクリアなアイデアと目標があるんです。予選順位はシーズンベストタイか、さらにいいポジションも期待できるでしょう。現在の私たちのターゲットは、シモンチェリ選手やスピース選手、バウティスタ選手たちと一緒の集団でレースをすること。ヒロは彼らに負けないラップタイムを刻めるときもありますが、同様のパフォーマンスを発揮できないときがあるのも事実です。他の選手よりも経験が6戦少ない分、そのギャップを埋めていくのはヒロ自身の課題なのですが、それは同様に私たちメカニックの課題でもあるのです」

青山博一、トム・ヨイェッチ

「マレーシアGPでは、今季ベストリザルトを狙います。ここでいいセッティングを見いだすことができれば、翌週のオーストラリアGPにはさらに自信を持って臨めるでしょう。皆さんの応援が何より私たちの力になります。どうか期待していてくださいね」

スタンドの模様

プロフィール

青山博一
Hiroshi Aoyama

5歳からポケバイに乗り始め、15歳でミニバイク関東選手権を制覇。2000年から全日本選手権250ccクラスに参戦して、03年に全日本タイトルを獲得しました。翌04年からHondaのライダー育成制度「Honda Racingスカラーシップ」の第1期生として世界選手権250ccクラスにフル参戦を開始。昨年、日本人として8年ぶりとなる250cc世界チャンピオンに輝きました。2010年は世界最高峰レースMotoGPにステップアップして、次なる頂点を目指して戦っています。