青山博一チャンネル〜Go! Go! Hiroshi〜

Go! Hiroshi182010/11/11

スペイン
バレンシア・サーキット

バレンシア・サーキットとは

グランドスタンドからコース全体が見渡せるスタジアム状のサーキットで、レースウイーク中にのべ20万人を超える観客を集めます。コースとしては抜きどころが少なく、スターティング・グリッドを争う予選の重要性が高いレースとなります。

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いよいよ最終戦の巻

長かった2010年シーズンもいよいよ最終戦。バレンシアGPは第18戦目だが、青山はシーズン中盤に6レースを欠場しているために、参戦するレースとしては今回が12回目になる。

このレースを前に残念な発表があった。青山の所属するインターヴェッテン・ホンダ・モトGPは、パドックグランプリレーシングという組織が母体で、Moto2と125ccクラスでも同一のスポンサー、同一のマシンカラーリングでチームを運営している。ところが、来季2011年シーズンは、諸般の事情からMoto2チームと125ccクラスチームに資源を集約して参戦することが決定したのだ。つまり、現在のMotoGPチームは今回のバレンシアGPが最後のレース、ということになる。

青山博一

このチームと青山は、文字どおり波瀾万丈のシーズンを苦楽をともに戦ってきた。それだけに、自分を取り囲むスタッフたちとの最後のレースになる今大会に向けて、青山の心中に期するものは大きかった。

「このインターヴェッテン・ホンダ・モトGPは、僕のために立ち上げられたチームといっても過言ではないので、今回が最後になってしまうのは本当に残念です。でも、最後のレースでもチームのモチベーションは下がっていないし、メカニックのみんなも、いつもと同じいい雰囲気を保っています。だから、決勝レースでは一年間のベストリザルトを残せるようにがんばりたいと思います」

青山博一

金曜の午前午後、土曜午前の計3セッションのフリープラクティスを経て、土曜の午後に行われた予選では15番手タイム。5列目から翌日の決勝に臨むことになった。

日曜午後2時に始まったレースは、序盤でタイヤのフィーリングをつかむことに苦戦し、その後は抜きどころのないコースレイアウトや前方と同じラップタイムで周回していたことなどが原因で、前に追いつくことができないまま、14位でレースを終えた。

今回が青山とともに戦う最後のレースとなるチーフメカニックのトム・ヨイェッチは「厳しいレースでした」と第18戦を振り返る。

「スタートはそれほど悪くなかったのですが、ヒロは序盤にいいフィーリングを得ることができませんでした。5周ほど経ってからタイヤのフィーリングはよくなってきたけれども、そのときにはかなり後方の位置になっていたので、非常に苦しいレースになりました。中盤の13周から22周は、Honda勢はおしなべて似たようなラップタイムでした。その意味では、ヒロはレース中盤にはHondaワークスと似たようなタイムで走れていた、といえるでしょう。ただし、序盤と終盤はそうではなかった。そこのところを改善していくのが、今後の課題です」

トム・ヨイェッチ

シーズンを戦い終えて振り返ってみると、やはり中盤6戦の欠場が痛手になった、とヨィエッチは回顧する。

「ある意味では、今年はチーム全員が学習の年でした。数々の経験をしてたくさんのことを学んでいき、技術面でも十分に高い水準に達していたと思います。ヒロに関して言えば、シーズン中盤に6戦を欠場してしまったことが、やはり痛手になりました。序盤6戦、あるいは終盤6戦を欠場したのであれば、残り12戦を連続して走ることができるので、継続してさまざまなことを吸収し、学んでいくこともできたでしょう。ヒロの場合はシーズン途中のケガだったので、学習が中断してしまい、復帰後も完全とはいえない体調で戦っていかなければなりませんでした。とても大変だったろうと思います。

この一年を振り返ると、私自身はムジェロのレースが印象に残っています。リザルトは11位でしたが、レース内容ではライダーの持つ可能性や高い能力を披露することができたと思っています。復帰後のレースでは、マレーシアでもヒロのスーパーストロングな面を披露できました。ヒロは、今後もMotoGPクラスで戦っていくだけの能力を十分に備えた選手だと私は思っています。今の彼に必要なものは、しっかりとしたチーム体制です。しっかりとサポートしてあげることのできる環境で戦うことができれば、ヒロはさらに継続してさまざまなことを吸収し、どんどん大きく成長していくでしょう。

私自身も、来年もヒロと一緒に戦える方法を模索して、なんとかサポートできる体制を作れないかとディスカッションを重ねてきたのですが、結局それは叶いませんでした。ヒロには、来年もこのクラスでさらに成長し、活躍して欲しいと願っています」

青山博一

決勝レースが明けた月曜日、ヨイェッチは新たなチームでチーフクルーとして来るべきシーズンへの準備を開始した。また、青山博一はその翌日の火曜から、2011年に移籍することが決定しているサンカルロ・ホンダ・グレッシーニのチームに合流してテストを開始。精力的に走り込みを行った。

一年間をともに戦った仲間たちは、それぞれが選択した道へ新たな一歩を踏み出した。2011年の戦いは、すでに始まっている。

今シーズン、青山博一を応援してくださったファンのみなさん、本当に有難うございました。所属チームは変わりますが、今後もMotoGPで戦ってまいりますので、引き続き応援をよろしくお願いします。

RC212V

プロフィール

青山博一
Hiroshi Aoyama

5歳からポケバイに乗り始め、15歳でミニバイク関東選手権を制覇。2000年から全日本選手権250ccクラスに参戦して、03年に全日本タイトルを獲得しました。翌04年からHondaのライダー育成制度「Honda Racingスカラーシップ」の第1期生として世界選手権250ccクラスにフル参戦を開始。昨年、日本人として8年ぶりとなる250cc世界チャンピオンに輝きました。2010年は世界最高峰レースMotoGPにステップアップして、次なる頂点を目指して戦っています。