青山博一チャンネル〜Go! Go! Hiroshi〜

Go! Hiroshi332011/10/07

日本
ツインリンクもてぎ

ツインリンクもてぎとは

栃木県茂木町に位置するサーキットです。日本人ライダーにとっての母国サーキットであるだけでなく、Hondaのホームサーキットでもあります。青山選手にとっては、250cc時代に2度の優勝を飾っている最高の舞台。ファンの熱気はもちろんのこと、青山選手自身のモチベーションも最高潮を迎えるグランプリです。

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とうとう日本GP、の巻

シーズンも佳境を迎えた第15戦は、いよいよ青山博一のホームグランプリ・日本GPである。今年の日本GPは、3月の東日本大震災の影響で、最初に予定されていた第3戦からこの第15戦へと延期になった。レースが行われるツインリンクもてぎも震災の影響を受け、施設に損傷を被ったものの、迅速な復旧作業で7月には全日本選手権も開催された。とはいえ、震災に伴う福島第一原子力発電所の事故で放射能汚染を心配する声が高まり、開催が決定したあとも、選手たちの中には来日を忌避しようとする声があったのも事実だ。しかし、放射線リスクは無視できるレベルという調査報告を受けて、最終的に全選手が来日に合意し、例年と同じように無事にグランプリが開催される運びとなった。

青山博一

とはいえ、ここに至るまでの過程では、MotoGPクラスの選手たちが日本へ行くべきかどうかということについて何度も非公式の会合を持っており、唯一の日本人ライダーとしてその場に居合わせた青山が複雑な心境であったことは想像に難くない。

「震災で日本GPが4月から10月へ延期になり、今回のレースを迎えるにあたって、日本人ライダーはみんな、それぞれにいろんな思いがあると思います。外国人ライダーたちも、このレース開催までは、日本に行きたくないと敬遠した時期があって、何回もみんなで相談した結果、彼らも最終的に来ることになりました。だから、外国人ライダーたちも、今回のレースには特別な思いがあるだろうし、そういった意味で、今年の日本GPは世界中が注目しているかもしれないですね」

青山博一

欧州の選手たちが来日を敬遠していた時期、日本人である青山は彼らの言動をいったいどんな思いで見ていたのだろう。

「彼らにしてみれば、あれはごく普通の反応だったのだろうと思います。だから、日本人が彼らの言動を残念に思うのもわかるけれども、日本に行きたくないという彼らの気持ちも理解はできる、と思って見ていました。でも、最終的には全選手が日本に来ると言ってくれたので、彼らの姿勢は立派だと思います。

震災で日本はダメージを受け、たくさんの国や人たちからいろんな支援の手をさしのべてもらいました。まだまだ復興の途中ですが、僕たちも今回の日本GPで、物質やお金に変えることのできないものを被災者の方々や復興に向けて努力をしている人々に届けることができればうれしいですね。125cc、Moto2そしてMotoGPの選手たちがツインリンクもてぎを走ることによって、多くの方々に元気になってもらえれば、と思います」

青山博一

ホームGPはいつまで経っても独特の緊張感がある、と話す青山は、レースの目標をこんなふうに語った。

「今シーズンのベストリザルトはヘレスの4位。ドライだとエストリルの7位が最高。昨年のもてぎは10位だったので、今年は昨年以上の成績でゴールをしたいですね」

好天に恵まれた金曜のセッションは、午前のフリープラクティス1回目が11番手、午後のフリープラクティス2回目は7番手。トップからは0.9秒差という位置につけた。土曜は、前日から一転して曇り空の一日。午後の予選では最後のタイムアタックを狙った周回で他の選手にひっかかってしまい、クリアラップをとれなかったこともあって、11番グリッドから決勝レースを迎えることになった。

青山博一

日曜は前日までよりもさらに温度が下がり、このレースウイークではもっとも冷えたコンディションになった。午後3時に始まった決勝は、転倒者やジャンプスタート(フライング)のペナルティが続出した波乱のレース展開になったが、青山は終盤近くまで中団グループのバトルを繰り広げ、最後は9位でチェッカーを受けた。前日までのセッションと同様、リア用に硬めコンパウンドのタイヤを選択したが、ウイークで一番冷えたコンディションの中で、タイヤをうまく作動させることができなかった、と悔しそうに24周のレースを振り返った。

「順位的にはシングルフィニッシュとはいえ、もう少しいいレースができると思っていただけに残念な結果です。でも、その状況の中で最初から最後までベストを尽くすことができたので、悔いはありません。タイヤ選択も、柔らかめでサイティングラップに出てグリッドに着いてから硬めに交換。最後まで悩みましたが、選択が誤っていなかったと思います。波乱の展開でサバイバルレースになったので、最後まで集中力を切らさないようにと全力で走り続けました。無理できるところは無理をして、できないところは抑えながら走ったのですが、直線でも昨日より10km/h以上遅い状態でした」

青山博一

シーズンも残すところあと3戦。

「次のオーストラリアGPが行われるフィリップアイランドは、天気がいいと暖かくなって、走っていてもすごく楽しいサーキットです。でも、天候が崩れると一気に寒くなるので、できればいいコンディションでレースウイークを迎えたいですね」

第16戦フィリップアイランド、第17戦セパン、第18戦バレンシア、と、ここから先はいずれも青山の得意コースが続く。シーズンベストリザルトが期待できる終盤3戦の戦いに注目しよう。

プロフィール

青山博一
Hiroshi Aoyama

5歳からポケバイに乗り始め、15歳でミニバイク関東選手権を制覇。2000年から全日本選手権250ccクラスに参戦して、03年に全日本タイトルを獲得しました。翌04年からHondaのライダー育成制度「Honda Racingスカラーシップ」の第1期生として世界選手権250ccクラスにフル参戦を開始。昨年、日本人として8年ぶりとなる250cc世界チャンピオンに輝きました。2010年は世界最高峰レースMotoGPにステップアップして、次なる頂点を目指して戦っています。