青山博一チャンネル〜Go! Go! Hiroshi〜

Go! Hiroshi122010/09/02

インディアナポリス
インディアナポリス・モータースピードウェイ

インディアナポリス・モータースピードウェイとは

世界最大規模の4輪レースイベント・インディ500の開催地として有名。MotoGPのために既存のオーバル(楕円)コースの内側に特設コースを加えて、レースが開催されます。オーバルの一部を使用するメインストレート以外は臨時コースで、路面状況が部分的に異なるためセッティングが難しいサーキットでもあります。

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7戦ぶりのレース復帰だい!の巻

第11戦インディアナポリスで、青山博一は戦線復帰を果たした。

6月20日午前の転倒から10週間。先々週の月曜日にはチェコGP後のブルノサーキットで復帰を視野に入れて40ラップ以上を走行し、今回の本格的なレース復帰となった。

ブルノでテストを行った翌日には、負傷部位の背中にわずかに痛みをおぼえたものの、「そんなにひどくもなかったし、数分横になっていると痛みはひいてしまうので、次のレース(インディアナポリスGP)には出られるかな、と思った」と言う。

渡米前の月曜には念のために医師の診断を受けて、走行OKの許可も得た。ただし、転倒は厳禁。ツナギの下に柔軟な素材のコルセットも装着する。当初に全治3カ月と言われたケガの状態が完治したわけではないが、第5戦イギリスGPの決勝レース欠場も数えると、今回の実戦参戦は実に7戦ぶりだ。

青山博一

「全日本選手権のほぼ一年分を休んだ計算になりますよね(笑)。6戦も出ていないから、まずはバイクのフィーリングとレース勘を取り戻すことが最初のステップになると思います。ブルノのテストはどの程度乗れるかというチェックで、走行もほぼ10周刻みだったんです。今回のレースは28周なので、その3倍ですね。コースレイアウトもくねくねしていて小さいコーナーが多いし、それがどのくらい僕の身体に影響するか」

とはいえ、このインディアナポリスモータースピードウェイでは、昨年のレースで2位表彰台に上がっている。どちらかというと好きなコースに属する、と青山は言う。

青山博一

「コースレイアウトが好きなのはいいことなんだけど、悪い部分でいうと、バンプ(路面の凹凸)が身体にどれくらいの影響を及ぼすか。バンプを通るたびに背中が痛かったら、けっこうタイヘンですよね。ここは路面の継ぎ目が多いし、ヒビもあちらこちらに入っていてモトクロスみたいなコースなので、その“コース状況”が僕の“背中の状況”にどれだけ影響を及ぼすか。そこがよく見えない部分なので、周囲の選手にどこまでついていけるかは、まだわかんないですね。僕が欠場していた6戦の間に、どの選手もセットアップを詰めているだろうから厳しいとは思うけれど、今回のレースはとにかく、他の人と比べてどうこうというよりも、自分の中で確実に感覚を取り戻す、ということが目標です」

青山博一

金曜午後のフリープラクティス1回目では16番手。土曜午前のフリープラクティス2回目は17番手。しかし、土曜午後の予選では順位を13番手に上げた。

「2カ月ぶりの予選で、周りとのタイム差も拮抗している中での13番手だから、いいと思います。明日の決勝は自分の背中のコンディションと相談をしながら、周りと一緒にレースができればいいし、そうならないとしても、レース距離をしっかり走りきるだけでも、収穫になると思います」

青山博一

決勝レースは、晴天の続いた今回のレースウイークでも最も厳しいコンディションになった。気温34℃、路面温度は55℃に達する状況下で、青山のリザルトは12位。

「最高に厳しいレースでした」

ピットに戻ると即座に、ツナギのジッパーを降ろして体幹に巻いたコルセットを緩め、「これがハンパじゃなくメチャクチャに暑かった」と苦笑しながら、ペットボトルの水をひと息に飲みほした。

青山博一

「途中まではついていけそうなペースだったけれど、途中の13コーナーでフロントが滑ったときには冷や汗が出ました。今回は転倒しちゃいけないので、それ以降はあまり攻めていけなくなっちゃいましたね」

一時は最下位にまで順位を落としたものの、レース終盤は、左脚脛骨と腓骨を骨折しているランディ・デ・ピュニエ(エルシーアール・ホンダ・モトGP)とのバトルになった。

青山博一とランディ・デ・ピュニエ

「ランディも僕も肉体的に大変だったけれど、ケガ人同士のバトルには負けたくなかった(笑)。途中からはどう見てもランディのほうが余裕はあったけれど、僕を前に行かせて泳がせようとしていたみたいです。ひどいですよね(笑)。でも、ラスト3周に意地でスパートをかけたら、あきらめたみたいです」

今回は総じて、走る前に想像していたよりもつらかった、と振り返る。

「でも、レースをやってよかった。次の第12戦まで少しは時間があるので、背中を休めてさらに回復に努め、今日の結果を次につなげていきたいです」

青山博一

次の第12戦サンマリノGPは第11戦から2週連続の開催になる。100%の力を発揮してレースに臨むのはまだまだ厳しい、というのが正直なところだろう。だが、10月の日本GPを迎えるころには、間違いなく完全な体調に戻っているはずだ。

プロフィール

青山博一
Hiroshi Aoyama

5歳からポケバイに乗り始め、15歳でミニバイク関東選手権を制覇。2000年から全日本選手権250ccクラスに参戦して、03年に全日本タイトルを獲得しました。翌04年からHondaのライダー育成制度「Honda Racingスカラーシップ」の第1期生として世界選手権250ccクラスにフル参戦を開始。昨年、日本人として8年ぶりとなる250cc世界チャンピオンに輝きました。2010年は世界最高峰レースMotoGPにステップアップして、次なる頂点を目指して戦っています。