青山博一チャンネル〜Go! Go! Hiroshi〜

Go! Hiroshi82010/06/06

イタリア
ムジェロ・サーキット

ムジェロ・サーキットとは

フィレンツェ近郊の丘陵地帯にあり、その地形に由来するアップダウンが特徴的なハイスピードコースです。フィニッシュラインまで大接戦が続く厳しいレース展開が見物。強豪の地元イタリア人ライダーたちの勝利にかける気持ちが強いサーキットだけに、毎回熱戦が繰り広げられます。

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一歩前進、次の課題は……

第4戦イタリアGPの舞台は、フィレンツェ郊外のムジェロ・サーキット。トスカーナ山間部の自然地形を生かした起伏に富むレイアウトは、あらゆるコーナーの難易度が高く、ライダーにとって挑戦しがいのあるコースだ。

青山博一も、このサーキットは嫌いではない、という。

「どちらかというとむしろ好きな部類だけど、攻略が難しく、しかも地元のイタリア人選手たちががんばるので、彼らにくらいついていけるようにがんばりたいですね」

青山博一

ところで、今回のレースから、インターヴェッテン・ホンダ・モトGPのチームシャツが新しくなった。ドイツをベースに置くチームだけに、サイズもドイツ人用。日本人の青山には、かなり大きめだ。

「これでもSサイズなんですが、ほら、日本のLLくらいはあるんですよ」

そういって後ろを見せると、引き締まった背中から腰回りにかけて、確かに布地が大きく余っていることがよくわかる。

金曜日午後のフリープラクティス1回目は、15番手。過去3戦よりは感触のいい走り出しになった。

「ルマン(第3戦)の初日よりは、いい感じで走り出せました。今はバランスを探っているところで、ライディングポジションを少し変えてみました。全体的にライダーの位置を少し後ろに持っていくことで、今まで感じていたリアのグリップ不足を解消するようにトライしてるんですが、いいところもあったけど、悪いところもあった。データを確認しながら、これからチームと相談します」

青山博一

土曜も、このセットアップを進めながら走行。午前のフリープラクティス2回目は14番手、午後の予選は10番手に落ち着いたものの、セッション終盤までトップ5の位置につける走りをみせた。

「昨日からトライしているセットアップはいい方向に進んでいて、走るたびにいい感触になってきました。やっと少しずついいフィーリングで走れるようになってきたけれど、まだマシン本来の性能を出しきれていない。カタールから4戦走ってきて、毎セッション、トライ&エラーで少しずつよくはなっていってるのですが、自分で思っているよりはまだまだ低いところにいる状態です」

青山博一

日曜の決勝レースでは、開幕以来の課題だったスタートでもまずまずの成功を見せ、グリッド順位を落とさずに1コーナーへ入っていった。しかし、オープニングラップを終えてメインストレートに戻ってきたときにはわずかに順位を下げてしまっていた。

その後、ラップタイムを上げていき、前を走るライダーを少しずつ追い抜いて一時はシングルフィニッシュの位置につけたものの、レース終盤にふたたび順位を下げてしまい、最後は前戦同様の11位でチェッカーを受けた。

「今シーズン初めていいスタートを切ることができて、序盤はいいペースでいけそうでした。しかし、前を走る選手を追い抜いていく間にタイヤのいいところを使ってしまい、中盤からは厳しくなって、終盤はペースの維持が難しくなってしまいました。タイヤをうまくマネージできなかったのが、順位を落としてしまった原因です。最終的な順位は前回と同じだけど、上位を狙える可能性もあったので、内容的には前回よりよかったと思います。悔しい結果ですが、今回学んだことを次につなげていきます」

青山博一

チーフメカニックのトム・ヨイェッチによれば、今回の青山たちはセットアップ面で一定の進歩はあったものの、解決すべき問題は依然として残っているという。

「今回試したセッティングはいい方向に向かっていて、決勝午前のウオームアップでは中古タイヤで(1分)50秒6をマークすることができました。フロントとリアのフィーリングは少しずつ改善してきており、トップグループとのギャップがずっと狭くなってきたところも、ポジティブな点だといえるでしょう。ヒロは毎周回、限界まで攻めて、我々は有益な情報を収集することもできました。一方で、中盤までに作った後ろとのギャップを終盤は維持することができなかったのは残念です。次の機会に向けてもっとがんばらなければいけませんね。

次回からは3週連続のレースになります。その連戦に備えて、リアのグリップをさらに向上させ、ストレートで発生するバイクの震動もなくしていかなければならない、と考えています。ここが解決すれば、ヒロは集中して走りたいラインをしっかり走れるようになるでしょう。HRCとも十分に相談をして、シルバーストーンに備えます。次のレースは、全選手が初体験のコースなので、誰もがまったくの手探りから始めることになります。皆と同じゼロからのスタートという意味では、我々にとって多少は有利といえるかもしれません」

トム・ヨイェッチと青山博一

課題がクリアになるということは、それだけ前に進んでいるということだ。ゆっくりとではあるが、一歩ずつ地歩を固めてゆく青山たち。シーズン前半のテーマに掲げたシングルフィニッシュは、着実に手元へ引き寄せられている。

プロフィール

青山博一
Hiroshi Aoyama

5歳からポケバイに乗り始め、15歳でミニバイク関東選手権を制覇。2000年から全日本選手権250ccクラスに参戦して、03年に全日本タイトルを獲得しました。翌04年からHondaのライダー育成制度「Honda Racingスカラーシップ」の第1期生として世界選手権250ccクラスにフル参戦を開始。昨年、日本人として8年ぶりとなる250cc世界チャンピオンに輝きました。2010年は世界最高峰レースMotoGPにステップアップして、次なる頂点を目指して戦っています。