マルティンが参戦4年目でMoto3タイトルを獲得
今年のMoto3クラスでは、Honda勢によるタイトル連覇を掲げてワークスマシン「NSF250RW」を投入、7チーム13台体制で臨んだ。史上最多の全19戦で行われた2018年は、シーズン終盤まで4人によるタイトル争いが続いたが、その中で7勝と圧倒的な優勝回数を誇ったホルヘ・マルティン(Del Conca Gresini Moto3)が栄冠を手にした。チームメートのファビオ・ディ・ジャンアントニオも、2勝を挙げて自己ベストとなるシリーズランキング2位を獲得した。
カタールでの開幕戦は、マルティンがわずか100分の2秒差で競り勝ち、2位のアーロン・カネット(Estrella Galicia 0,0)、3位のロレンソ・ダラ・ポルタ(Leopard Racing)を従えてHonda勢が表彰台を独占。さらにトップ10にHonda勢7台が名前を連ねる結果となり、タイトル連覇に向けて最高のかたちでスタートした。第2戦では、優勝こそシーズン終盤までマルティンとタイトルをかけて争うことになるマルコ・ベツェッキ(KTM)に奪われたものの、2位から8位までをHonda勢が占めた。
第3戦アメリカズGPでマルティンが今季2勝目を挙げ、ランキングトップでホームグランプリとなるスペインGPを迎えた。予選では母国ファンの前でポールポジションを獲得するも、レースではブレーキングミスをした選手に接触されて転倒、さらに2人のHondaライダーを巻き込み、今季初めてHondaが表彰台を逃す結果となった。続く第5戦でも、マルティンは優勝争いに加わるハイペースをみせていたが、転倒に巻き込まれリタイア。2戦連続でノーポイントに終わった。
その悔しさを晴らすように、マルティンはチームのホームグランプリとなる第6戦イタリアGPで今季3度目の優勝を挙げると、オランダGPとドイツGPでも勝利を重ねる。イタリアGPではマルティンのチームメートでイタリア人のディ・ジャンアントニオが3位表彰台を獲得。オランダGPではマルティンが優勝し、Honda勢が開幕戦以来となる表彰台独占を果たした。

束の間の夏休み期間を挟み、第10戦チェコGPと第11戦オ―ストリアGPの連戦からシーズン後半戦がスタート。ディ・ジャンアントニオがMoto3クラスで悲願の初優勝をチェコで叶え、オーストリアではエネア・バスティアニーニ(Leopard Racing)が2位、左手首の負傷でチェコGPを欠場したマルティンは痛みをこらえての熱走で3位につけた。
荒天で決勝がキャンセルになった第12戦イギリスGPを経て、第13戦サンマリノGPはHonda勢が今季3回目となる表彰台独占でファンを沸かせた。イタリア人のダラ・ポルタがキャリア48戦目にして初優勝を挙げ、フィニッシュラインまで競り合った僅差の2位にマルティン、ディ・ジャンアントニオが3位に入った。アラゴンGPでは、マルティンがポール・トゥ・ウインで早くも今季6勝目を飾る。
シーズン終盤のアジアラウンドを迎え、タイトル争いは一進一退の神経戦になっていく。初開催となったタイGPで、マルティンはチェコGPで痛めた左手の状態が悪化した中での4位入賞。ポイントを重ね、ランキング争いでもライバルに対し、一歩リードする。第16戦日本GPではベツェッキが優勝した一方、マルティンは転倒でリタイアに終わり、ランキング争いでベツェッキがトップのマルティンに対し、1ポイント差まで迫った。第17戦オーストラリアGPは、トップから14位までが0.989秒差という、稀にみる大接戦に。ディ・ジャンアントニオが2位に入り、ランキング3位でタイトル争いに踏みとどまった。この大会をランキング2位のベツェッキはリタイア。マルティンが5位に入ったことで再びポイント差を拡大し、続くマレーシアGPをタイトル王手で迎えた。
第18戦マレーシアGPでは、マルティンがポール・トゥ・ウインで今季7勝目を達成。ベツェッキが5位、ディ・ジャンアントニオも6位にとどまったことで、マルティンのシリーズチャンピオンが決定した。さらに、HondaがMoto3クラスで2年連続18回目のコンストラクターズタイトルも決める。最終戦バレンシアGPでは、プレッシャーから解放されたマルティンが好走をみせて2位に入り、今季10回目の表彰台に登壇。ディ・ジャンアントニオは4位でフィニッシュし、ライバルがリタイアに終わたことで逆転での総合2位。Del Conca Gresini Moto3がランキング1-2でシーズンを締めくくった。
日本勢は、鈴木竜生(SIC58 Squadra Corse)がオーストラリアGPで4位入賞を果たすなど活躍をみせ総合14位、佐々木歩夢(Petronas Sprinta Racing)が総合20位、鳥羽海渡(Honda Team Asia)が総合22位。鳥羽のチームメートのナカリン・アティラプワパは最終戦でベストグリッドとなる予選2番手から決勝に挑み、今季ベストの8位フィニッシュ。総合では29位だった。