し烈なランキング争いの末、
バグナイアが初のMoto2チャンピオンに輝く
2018年のMoto2クラスは、フランセスコ・バグナイア(SKY Racing Team VR46)のクラス初優勝からスタートした。
バグナイアは17年にMoto2クラスへの参戦を開始。初年度は勝利こそ挙げることはできなかったが、4度の表彰台を経験した。今年はウインターテストから好調さをアピールしており、開幕戦から早速、その真価を発揮したかたちとなった。
第2戦は9位となるも、第3戦に再び表彰台の真ん中に立つと、ポイントリーダーの座を守り続けた。しかし、その座を虎視眈々と狙っていたのが、Red bull KTM Ajoのミゲル・オリベイラだった。
この年、バグナイアはシーズンを通して、8勝を挙げる圧倒的な速さをみせた。対して、オリベイラは3勝と勝ち星は劣るものの、2位を5回、3位を4回、高い表彰台登壇率でコンスタントに好成績を残した。この2人によるタイトル争いが、Moto2クラスを盛り上げる。
序盤、リードを築いていたバグナイアとそれを追うオリベイラの戦いは、第7戦カタルニアGPで2人の差が1ポイントになったころから激化する。
第8戦オランダGPは強い風が吹き荒れる難コンディションの中、バグナイアが勝利しリードを広げる。オリベイラも一歩も引かず、第9戦でバグナイアの前でフィニッシュすると、続く第10戦チェコで勝利を挙げ、ランキングトップに躍り出る。

第11戦チェコGPでは、オリベイラが勝利し、バグナイアは2位。バグナイアはチームのホームレースであったこともあり積極的な走りをみせ、オリベイラと最終ラップの最終セクションまで攻防を繰り広げ会場を沸かせた。これで再びランキングトップが入れ替わる。オリベイラはレース後のコメントでは「タイトル争いはとてもタイトでレースは非常におもしろいです。僕たちは限界で走っています」と、2人とも緊迫している戦いを楽しんでいるようだった。
第12戦は雨で中止に。第13戦サンマリノGPは再びバグナイアが1位、オリベイラが2位という結果となった。まだまだ一つのミスでくつがえるほどの差だが、バグナイアが少しずつリードを築いていく。そして、第15戦、第16戦でバグナイアが2連勝を飾るなど、残り2戦でポイント差は36まで拡大した。
そして、バグナイアは第18戦マレーシアGPにタイトル王手をかけて挑んだ。この大会を終えた時点で25ポイント以上の差をつけたままなら、タイトルが決まる。バグナイアは、フリー走行、予選と慎重に進めて決勝のグリッドについた。スタート位置は、オリベイラの1つ前と好ポジション。しかし、タイトル決定を阻止したいオリベイラもわずかな可能性にかけて全力を尽くした。結果はオリベイラが2位。バグナイアは3位でチェッカーを受けた。ポイント差は32点。シリーズを盛り上げた2人の戦いは、バグナイアがタイトルを手にして決着がついた。
惜しくもタイトルを逃したオリベイラだったが、シーズンの最後まで挑戦を続け、最終戦では2年連続となるバレンシアGP制覇を達成し、2018年シーズンを締めくくった。
バグナイアとオリベイラは、2019年から最高峰クラスに挑む。