HONDA The Power of Dreams

#5 高圧縮比対応ピストン＆高回転対応コンロッド

シリンダーに取り込まれた混合気は、ピストンによって圧縮され燃焼する。
シビック TYPE Rのエンジンの圧縮比は、11.7：1。
かつてのレーシングエンジン並みの高圧縮比である。
圧縮比を高めるために、ピストンの頭を、約2mmほど高くしているが、
それだけで済む問題ではない。エンジンの高出力化に有効な
圧縮比アップは、一朝一夕には実現しない。

圧縮比を高めると、燃焼速度が高まり
燃焼の熱効率が向上してトルクが増大する。
パワーはトルク×回転数であるから、結果としてパワーが高まる。
その反面、混合気温度も、燃焼温度も高温となるため、
異常燃焼＝ノッキングが発生しやすくなる。
つまり、高圧縮比化は、ノッキングとの闘いとも言える。
シビック TYPE Rでは、［K20A］エンジンの優れた冷却性能を活かすとともに
混合気の流れや燃焼室形状などにHonda独自のノウハウを注ぎ込み高圧縮比化を実現した。
さらに、高回転・高出力を達成するためにピストンとクランクシャフトをつなぐ
コネクティングロッド（通称コンロッド）は軽量・高強度を実現した高回転対応のものとした。
また、クランクシャフトとの接点には、Hondaのレーシングエンジンの技術を
注ぎ込んで開発した高負荷メタルを採用。
フリクションロスを軽減し高回転に対応させた。