伝統のインディカー・シリーズをささえるHonda Indy V8エンジン
徹底した品質管理でイコール・コンディション化へチャレンジする
2010年のIRLインディカー・シリーズでは、すべてのレース・マシンにHonda Indy V8エンジンが搭載される。
Hondaは2003年にインディカー・シリーズへエンジン供給を開始したが、その当時に好敵手であったメーカーが2005年いっぱいでエンジン供給を終了したために、結果的に2006年からHondaによる1社エンジン供給体制(エンジン・ワンメイク)となった。現時点においてHondaは2013年までエンジン供給することを表明している。
アメリカでビジネスを展開するHondaは、1994年にアメリカのオープン・ホイール・レースへ参戦し、チャレンジを開始した。アメリカで生産販売されるHondaブランドは全米で親しまれている。そのアメリカのオープン・ホイール・レースの参加者となり貢献することは、Hondaがみずから望んだことである。
インディカー・シリーズのエンジン規定の理念は、より多くの参加チームを集め、スポーツマンシップをもって正々堂々と優勝とチャンピオンシップを争うという理想のもとに定められている。その具体策のひとつは、参加チームの参戦費用を上昇させないために、エンジンの価格を廉価にすることである。そのためにエンジンの部品に特別高価な材料を使用することやエンジンの開発資金が膨張するおそれのあるメカニズムの採用が禁止されている。エンジン形式は規定によりV型8気筒である。アメリカには高性能エンジンの象徴としてV型8気筒エンジンを尊ぶ文化が根強くあることから定められた規定である。
現状のエンジン・ワンメイクでは、エンジンの性能や品質のばらつきを極力なくすことが重要である。インディカー・シリーズに出場するすべてのレーシングドライバーに、つねに同等のエンジン・パフォーマンスを与えなければならない。そのためにHondaは、厳密な品質管理のもとHonda Indy V8エンジンを製造している。製造後の管理、メインテナンス、供給システムについても同様であることは言うまでもない。その結果、エンジンが原因となるマシン・トラブルは、ほぼゼロとなっている。
Hondaは、1台のエンジンの走行距離を1400マイルまでと指定し、使用開始から指定距離に達するまで、パワーを始めとする性能はすべて同一の状態が保たれることを約束している。そのHonda IndyV8エンジンの性能と品質は、すべてのチームとドライバーに納得していただいている。
インディカー・シリーズを主催するIRLは、エンジンを供給するメーカーを増やす計画をもっており、そのための協議が開始されている。Hondaはこの計画に賛成し、その協議に積極的に参加している。インディカー・シリーズのさらなる発展に寄与したいからである。