第11話で取り上げたベアリングホルダーをメンテナンスする場合、ナット 38X1.5(下図)を外し、リアーアクスルCOMPを外して行います。その際の注意点ですが、正しい締付けトルク管理が必要であり、再組立時にナット 38X1.5を規定トルク16.5kgーm以下のトルクで締めてしまうと、ナット 38X1.5が緩む場合がまれにあります。その原因の一つは、サーキット走行など激しいシフトダウンの繰り返しによるバックトルクで、ファイナルドリブンフランジとリアーアクスルCOMPの勘合部スプラインを痛めてしまうことです。主に超ジュラルミン製のファイナルドリブンフランジ側が痛みますが、それによるガタが発生すると、シフトダウンによるバックトルクで ナット38X1.5が緩む方向に回される場合があります。(以前レース参戦車で見かけた事象です)
一度ガタが発生すると、その後規定トルクで締めても、過大なバックトルクでナット 38X1.5が緩む方向に回され、過度な場合はナット 38X1.5の緩み止めセーフティーワイヤーの破断が起こる場合もあります。その様な状況に至ると修正は不可能で部品交換となる為、ファイナルドリブンフランジの部品再生産を行う事にしました。ファイナルドリブンフランジは超ジュラルミン鍛造部品で、鍛造以外に製法は選択できない為、新たに鍛造型を製作して再生産する事となりました。なお、ファイナルドリブンフランジ組付け時に、図中のリアアクスルディスタンスカラーの組付け忘れにご注意ください。
