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RC30 Forever

熱きHondaスピリットの塊、RC30よ、永遠なれ

VFR750R VFR750R

モノづくり もの語り

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第1話
プロジェクトスタート編

プロジェクトのうぶ声

2017年秋、Hondaの国内唯一の二輪生産拠点である熊本製作所では、モノづくりの将来の姿を議論していました。大型FUNモデルのモーターサイクル愛好者の皆さまひとり一人に喜んでいただけるようなモノづくりとはどんなものか、そして我々しかできないことは何だろうか、小さくてもいいからモノづくりの新しい価値の火を灯して将来の道へとつなげていきたい。RC30リフレッシュプロジェクトは、そんなワイガヤを起点としてモーターサイクル愛好者を笑顔にさせるモノづくりプロジェクトとしてスタートしました。1980年代のバイクブームではライバルより1馬力でも高い出力、1gでも軽い重量といったハードそのものがライダーの心をつかむ魅力でした。時代は流れ、「モノ」の魅力だけでなく、どんな楽しみが広がるかという「コト」がバイクの魅力に加わっていきました。

RC30モノクロ写真

そんななか、趣味として長い間バイクを楽しんでいるお客さまが、我々に望んでいること・・・そして、長年「モノ」を世に送り出してきた我々としてやるべきこと、メーカーの技術者である前にひとりのモーターサイクル愛好者としてできる事は何かという想いがこのプロジェクトの基本姿勢として定まりました。

RC30を選んだ経緯

TT-F1クラス参戦を目指すプライベーターに向け、1987年国内発売時の販売予定は1,000台でしたが、レーサーRVFの操る喜びをストリートで体感できる直系モデルというコンセプトがご好評をいただき、3,000台近い購入申し込みが殺到した結果、抽選販売をさせていただきました。お客さまの手に渡った車両は現在でも約7割が登録されています。また、当時の最新技術を満載し、レースでの活躍からHonda二輪ブランドを象徴したモデルのひとつと言われるようになりました。そして現在も大切に乗っていただいているオーナー様や販売店様からも、これからも大切に乗り続けたいという熱い想いがHondaへ寄せられました。

何処から手を付けたらいいか

我々は先ず、当時の情報の復元つまりプロジェクト関連資料のリフレッシュから開始しました。1980年代中盤、RC30開発当時の時代背景を振り返ると、携帯電話はレンタルショルダーフォン。パソコンは、やっとデスクトップが発売されましたが個人所有はできなかった時代で、インターネットは一般普及前でした。当然、図面は設計者が製図板で手で描き、ものづくり部門へは図面を青焼きコピーの手渡し、熟練スタッフの手作業で木を削って立体モデルをつくっていました。このプロジェクトはそんな時代のモノづくりの資料と製造法の発掘が最初の仕事でした。パーツリスト、サービスマニュアルなどの紙資料は社内にもほとんど残っておらず、電子化されていたものを製本しました。画像データで保存されていた手描き図面を、部品によっては原寸大まで拡大し、現物と照合して図面指示が無い寸法を確定しました。立体モデルの木型は残っていないため、プロジェクトメンバーや社内オーナーのRC30を借りて測定しました。こうやってひとつひとつ、モノづくりに必要な情報を集めていきました。

プロジェクトメンバーの募集

量産金型や立体モデルの木型も残っていないところから部品を再生産するには、当時のモノづくりの経験が欠かせません。というのも、現在の3Dモデルや図面電子データに比べ、RC30時代の手描き図面はモノづくりを伝える情報の量が格段に少なかったと言えます。その代わりに設計者、取引先様の技術者の共通の経験と暗黙知の領域が広く、足りない情報を人によって補完することで成り立っていたとも言える環境でした。したがってそんな時代の部品の再生産には当時の経験とスキルを有した人が何よりも不可欠でした。やがてエンジンや足まわり領域の仲間を増やしていくのですが、結果的にRC30当時モノづくりを牽引した血気盛んなモーターサイクル愛好者、創る喜びに汗まみれになった還暦世代の技術者が集まることになり、培ったスキルを活かせるエキスパートプロジェクトになったとも言えます。こうして、当時の図面や部品といったハードと、経験やスキルといったソフトを集結させていくことでプロジェクトが前に進み始めました。

第2話へ続く