RC30 Forever

熱きHondaスピリットの塊、RC30よ、永遠なれ

VFR750R VFR750R

モノづくり もの語り

第6話
シリンダーヘッド廻りメンテナンス編

RC30リフレッシュプランでは、それぞれの車両の状況に合わせ、お客様と相談させていただきながら整備メニューを決めていきますが、エンジン内部の状態はシリンダーヘッドを開けてみないと正確な判断ができません。
RC30リフレッシュプラン受付店での実車チェックの際は、プラグ穴よりファイバースコープで燃焼室内部を確認し、整備の必要性の一次判断を行います。
ヘッド整備を選択された場合は、リフレッシュセンターに車両が到着後、エンジンを降ろし、シリンダーヘッドを取り外してシリンダー、ピストン、シリンダーヘッド、バルブ廻りの詳しい診断を行います。
バルブの機能は、バルブとバルブシートの90度面が密着して成立しますが、お客様の使いかたによって状態は様々で、ヘッド自体の歪やバルブ、バルブガイド、バルブシートの許容値を超えた摩耗が発生している場合があります。
歪や摩耗は、バルブの当たり不良やガタとなり、エンジン不調の要因となります。
そこでリフレッシュセンターでは、そのような場合にも対応できるように、バルブガイド、シート抜替えを特別メニューとして設定しております。
抜き替え加工においては、エンジン開発時の試作ヘッド製作用と同等の治具、工具、検具等を設計製作し、ひとつひとつ状態を確認しながら加工を行います。

シリンダーヘッド廻りメンテナンス

バルブガイド抜き替え加工

バルブ周りの状態を確認し、ガイド交換が必要と判断され交換メニューを選択された場合は、以下のような作業で交換を行います。
ヘッドを加熱後バルブガイド着脱用専用治具にセットし、バルブガイドドライバーを用いてプレス機で抜きます。
ヘッドを冷却後、バルブガイド圧入穴の状況と内径を確認します。
再度加熱後、再生産したオーバーサイズガイドを圧入し、冷却後マシニングセンターに段取りした加工用治具にセットし、バルブガイド中心とバルブシート90度面の位置を測定します。
バルブガイド加工用ガイドリーマーは、ガイド下穴に倣う特性がる為、加工はバルブガイド中心座標で行います。
ガイド中心とシート90度面中心にズレがある場合は、その後シートカットで修正します。

バルブガイド抜き替え加工
専用で製作したバルブガイド圧入治具でバルブガイドを圧入

バルブとバルブシートの状態

各バルブの元々のシム厚がシム最薄値(1.2mm)に近い場合、バルブすり合わせ等のメンテナンスを行うと、要求シム厚が1.2mm以下になる場合があり、その場合通常はシリンダーヘッド交換となります。
しかしシリンダーヘッドは再生産されていない為、特別にシート交換メニューをご用意しております。
参考までに、要求シム厚が薄ければ薄いほどバルブシート内にバルブが沈む為、燃焼室容積が増えて圧縮比が下がり出力も低下します。

バルブとバルブシートの状態

バルブシート抜き替え加工

シム厚、シート周りの状態を確認し、バルブシート抜き替えが必要と判断され交換メニューを選択された場合は以下の様な作業で交換を行います。
マシニングセンターに段取りした加工用治具にヘッドをセットし、燃焼室を傷つけない様に特殊な加工方法でバルブシートを削り取ります。
専用に製作したオーバーサイズシートの外径に合わせて、バルブシートの圧入穴を加工し、適正な径に拡大します。
ヘッドを加熱後バルブシート圧入用専用治具にセットし、バルブシートドライバーを用いてプレス機で圧入します。
冷却後、マシニングセンターに段取りした加工用治具にヘッドをセットし、バルブガイド中心を測定します。
その中心座標で専用シートカッターを用いて挟角面と広角面を加工します。
加工深さは専用の測定器にて管理し、最後に90度面の仕上げ加工を行います。
上記専用シートカッターと90度面加工をマシニングセンターで行うことで、新車時のバルブ深さを高精度で再現させることが出来ます。

チタンコンロッド編

豆知識

シートカット用のカッターはIN、EX各60度(挟角面用)、45度(90度面用)、32度(広角面用)のものがあります。
それぞれのバルブサイズに合わせて設定があります。

豆知識