RC30 Forever

熱きHondaスピリットの塊、RC30よ、永遠なれ

VFR750R VFR750R

モノづくり もの語り

第11話
ベアリングホルダ編

RC30の特徴点として片持ちスイングアームが挙げられます。
これは耐久レースでのタイヤ交換を速くする為に採用された形式で、ホイールナット(図中25)1つでリアホイールが外せるという、タイヤ交換を早く確実に行うための装備です。ドリブンスプロケットやリアアクスルシャフトは、ベアリングホルダを介してスイングアームに装着されます。リアタイヤを外す際に関連する部品点数が少なく、チェーン引き時に左右の引き代のバランスを気にすることなく、タイヤの整列が出るというメリットもあります。しかしグリスアップ等のメンテナンスを長期間怠ると、後輪軸のフリクションが増加し、押し引きの重さや燃費の悪化にもつながります。また両持ちスイングアーム車に対し、左右のホイールベアリングのサイズは大きいものの、ベアリング間のピッチ幅が狭い為、負荷を過大に掛けた走行を続けると、まれにベアリング劣化等によるリアホイールのガタが発生する場合があり再生産部品のリストに加えました。

ウォーターポンプ同様に、金型を新作し少量生産すると、とても手の届かない額になるため、砂型鋳造で進めることにしました。鋳造メーカー様との打ち合わせを何度も繰り返し、砂型品ゆえの加工範囲を明確にし、それぞれの部位の加工法案を検討しました。チェーン調整時にフックレンチをかける部分も、精度を出すために削り加工となり、加工設備含め検討を進めて再生産を実現させました。

クランクシャフト編
ベアリングホルダー外観 後方
ベアリングホルダー外観 後方
ベアリングホルダー外観 右側
ベアリングホルダー外観 右側
ベアリングホルダー外観 左側
ベアリングホルダー外観 左側

チェーン調整時にべアリングホルダが回しづらい場合の注意点

チェーン調整時、割締め部のM16ボルトを緩めてベアリングホルダを回転させて行いますがベアリングホルダが回転しづらい場合があります。 断面図1はスイングアームとベアリングホルダの嵌合状態を示します。A部で嵌合・締付けを行いますが、B部は逃げ部のため空洞となっています。断面図2に示す通りB部はが前方の空洞部Cとつながっています。空洞部Cは、開口部Dとつながっており、まれに走行中に巻き上げた小石等が入ると振動等でB部に至ることがあります。B部に入った小石等がベアリングホルダに噛み込むと回しづらくなる症状が発生します。

回しづらい場合の対処方法

回しづらい場合の対処方法ベアリングホルダを締め付けるM16フランジボルトを取り外しE部に向けてエアブローを行うと小石等が前に飛ばされて除去できます。もしエアブローだけで除去できない場合は、お近くのホンダドリーム店に御相談下さい。図中F部をマイナスドライバ等で無理やりこじって開き調整することはスイングアーム破損の原因となりますので絶対に行わないで下さい。