再生産検討開始
RC30の特徴であるクイックリリースの付いたフロントフォークは、部品販売終了から10年以上経過しており、当時量産していた金型等は無いと我々は考えておりました。
その為、当初は外観劣化しているボトムケース外側の腐食除去とヘアラインバフ仕上げのリフレッシュを行い、フロントフォークパイプ、フロントフォークダンパーCOMP,その他部品は再生産するという事で検討を進めておりました。
製造メーカー日立Astemo(株)様の協力
再生産を実現するにはHondaだけでは無く、製造メーカー様(日立Astemo(株) 旧SHOWA様)の協力が不可欠であり、忙しい中対応をして頂きました。
打ち合わせを何度も行う中で、次の様なことが分かってきました。
- ボトムケースについては長年使用した部品の外観修理、仕上げなどのノウハウが無い。
- フロントフォークダンパーCOMPは再生産可能だが、専用部品の多くが廃版であり、再生産するには新規型製作が必要となり高額になってしまう。
- その他の部品(フロントフォークパイプ、フォークスプリング、スプリングカラーその他)は再生産可能。
再生産課題解決
ボトムケースは一番目立つ位置にある部品なので、何とか奇麗にしたいという思いでやり取りを何度も重ねていましたが、そんな中素晴らしい朗報が入りました。
なんと、無いと思っていたボトムケースの金型が残っていました。長年使われていなかった為、錆は発生しているもののメンテナンスをすれば使えるとの事!!
再生産実現に向けて歩みを進める事が出来ました。
残る課題はフロントフォークダンパーCOMPです。
こればかりは如何ともし難く悩みましたが、もともとフォークオイルに浸かっている環境で、摩耗等の劣化も少ないであろうという事で、再生産を断念しました。
これにより、フロントフォークASSYでの販売は諦め、各部品の単品販売となりました。

当時仕様の再現
特徴となるボトムケースのクイックリリース部は当時の仕様のままで型を製作し再生産され、両端面の切削加工も当時と同じ仕様を再現しました。
ボトムケースは、古い金型を使い、型を磨き直し、再生産に向けて現量産の鋳造機で品質確保出来るかの鋳造生産TRYを何度も行い、製造検証を重ねました。
表面のヘアラインバフ仕上げについては、通常のバフ工程に追加して特別工程を追加し、現存している部品と細部に渡り比較検証の上、仕上がり確認をし当時の外観を再現しました。
現代技術の反映
ボトムケースの表面処理はヘアラインバフ+クリアー塗装仕様ですが、経年劣化により糸錆が発生している車両が見受けられます。
今回の再生産はCB1300SFなどと同じ現在の技術を用いて、耐蝕性の良い材料、塗装管理向上(膜厚安定化)を導入し製造、耐蝕性に対しては現行車と同じで仕上げました。


ボトムケース表面処理 バフ仕上げ再現性の決定各部位のバフ目と仕上げ範囲を当時の部品と同じようになるように細かく再現しました
ケース表面と斜面部



アクスルシャフトクランプ部周辺


