K-CLIMBの記念すべきレース初参戦となったのは、兵庫県・養父(やぶ)市での「ハチ高原ヒルクライム」、通称「ハチヒル」。全長2.5km、高低差141m。幹線道路「但馬アルペンロード」を封鎖して行われ、K-CLIMBはエキシビジョンランにエントリー。ハチヒル自体が町おこしのお祭り的な要素をもち、クラシックカーや初心者も参加できるなどモータースポーツの敷居を下げる、まさに「オモスポ」の心とも通じるイベント。エキシビジョンランは他車との競争ではなく、自身の限界への挑戦として、思いのままに曲がれ、速く走れるクルマをめざしたアイデアが、公道でどんな価値を発揮するかを検証できる絶好の機会。エスケープゾーンがなく、一部には逆バンクもあるS字コーナーが連なる峠道を、全開でアタックしました。
本番26日前、K-CLIMBを富士川に持ち込み、車両セッティングを検証。「やりたいです、交ぜてください!」とこの異色のプロジェクトに志願して加わった女子社員も含む開発メンバーと、共同で開発してきた株式会社HKSのスタッフも合流。この日は、それまで栃木の施設でセッティングを続けてきたサスペンションの操縦安定性や乗り心地を主な確認メニューとし、全員で試走しては意見を交換してひたすらチューニング。ダンパーの減衰力やダンパーそのものの仕様を変えたり、前後のスプリングレートを変えたりしながら煮詰め、終わる頃には「あれ、これ最初と全然別物だよ!」と驚くほどにまとめ上げました。