鈴鹿4耐 決勝レポート

2009.07.25
Posted on July 25, 2009 by Honda

藤島翔太/田原啓至(モリワキクラブ)が念願の優勝飾る
耳野由基/相馬利胤(BMS RACING FACTORY)が3位表彰台

アマチュアライダーの甲子園と例えられる鈴鹿4時間耐久ロードレース(以下、鈴鹿4耐)は、国内ライセンスのライダーたちによって争われる。多くのライダーがこの大会を経て国際ライセンスに昇格し、全日本選手権や鈴鹿8時間耐久ロードレース、そして世界で通用するライダーへと成長を遂げていく。

鈴鹿8耐
鈴鹿8耐
鈴鹿8耐
鈴鹿8耐
2009年7月25日(土)
鈴鹿4耐決勝レース
会場:三重県・鈴鹿サーキット
天候:曇り
気温:27.5℃
観客:2万8000人

今年は59チーム、約118人のライダーが参戦。今年の鈴鹿4耐はレギュレーションの変更があり、1人のライダーが18周以上連続で走行してはいけないことになった。これまでは4回のピットインでライダー交代が行われていたが、今大会からは5回のピットインを想定して組み立てなければならなくなった。

ポールポジションは長谷友博/村田満(ヤマハ)、2番手にはHARC-PRO&PLUS ONEの中村豊/鈴木力がつけた。中村は昨年の鈴鹿4耐で3位の実績があり、鈴木はST600に乗り始めて3年目だが、前哨戦となった鈴鹿ST600 100qロードレースで優勝を飾っている。3番手には05年鈴鹿4耐を制した実績を持つモリワキクラブがつけた。今年で3度目の挑戦となる藤島翔太と初参戦の田原啓至。藤島は07年大会で3位、国際ライセンスにステップアップするため、3回目の鈴鹿4耐に挑む。田原は初参戦ながら、その実力を買われて藤島のペアに抜擢された。

上位3チームの2人のトータルタイムが4分40秒台。4番手には岩崎哲朗/岩崎朗(日光サーキット☆ピレリ☆ガレージaZ)が4分41秒394。5番手に関口智大/坂之下孝秀(クラブM+松田塾&エスポイント)が4分42秒119で続いた。6番手は耳野由基/相馬利胤(BMS RACING FACTORY)で4分42秒213。注目チームのTSR レーシングスクールの15歳、小島一浩と黒川卓也は11番グリッドに並んだ。

決勝の天気予報は午後から雨の予報で、どのタイミングで雨が降るのか空を見上げながらのレースとなったが、最終的にドライのまま4時間を走りきることができた。伝統的なル・マン式スタートで一斉にスタートが切られ、ホールショットは藤島、それを中村が追う展開。

5ラップ目に中村が藤島をかわし、首位を奪う。中村、藤島に小島が迫り、3台のトップ争いに発展した。小島は6ラップ目にはトップに立ちレースをリード、ファステストラップを記録し2分19秒台を連発して2位以下を引き離しにかかる。2番手争いは中村、藤島が激しいバトルを展開。小島、中村、藤島のオーダーで、16ラップ目には1回目のピットイン、ライダー交代をほぼ同時にこなす。黒川、田原、鈴木のオーダーでコース復帰。黒川のペースが上がらず、田原、鈴木がかわし、トップ田原に、鈴木と黒川が続く。

 

鈴鹿8耐
鈴鹿8耐
鈴鹿8耐
鈴鹿8耐

トップ集団に耳野が追いつき3番手に浮上。その後、ライダー交代が行われ、小島が相馬を捕らえ、再び3番手に浮上する。各チーム、順調に周回を重ねるが、路面温度が上昇し始める中、トップを走る田原が、58ラップ目のシケインで周回遅れに接触して転倒。フロントから切れ込んだマシンをかばうように転んだ田原は、すぐにコースへ復帰。トップを譲るものの2番手でコントロールラインを通過した。

その後、同じシケインで、トップを走る鈴木が周回遅れに接触クラッシュ、再スタートするがマシンにダメージを負う。ピットインしてのマシン修復を強いられ、トップ争いから脱落する。

再びトップに立ったモリワキクラブは、作戦通りのルーティンでライダー交代をしながら首位を守り続ける。2番手には中田暢大/高村一明(ヤマハ)が浮上。3番手には耳野/相馬のオーダー。レース終盤、小島/黒川が迫るが、耳野/相馬が突き放す。

トップ田原が最後の走行を終え、ピットイン。藤島がラスト2ラップを走るためにコースへと出た。藤島は危なげない走りでトップのチェッカーを受け、念願の優勝を飾った。2位には中田/高村、3位耳野/相馬、4位小島/黒川、5位岩崎哲朗/岩崎朗が入った。HARC-PRO&PLUS ONEの中村/鈴木は、11位でチェッカーを受けた。

藤島翔太(優勝)|#19 モリワキクラブ

「レースでは抜いても抜かれても、自分を信じて自分のペースを守る走りをすることを目標としていました。最後の2ラップも、集中して自分のペースで走ることができました。それができたから勝てたのだと思います。チェッカーを受けたあとは、いろいろなことが思い出されて、表彰台の前に戻って森脇尚護監督の顔を見たら涙が止まらなくなってしまいました。今回、勝てたのは、本当にたくさんの人の支えがあったからだと感謝しています」

田原啓至(優勝)|#19 モリワキクラブ

「初めての鈴鹿4耐なので、最初は緊張していましたし転倒もあってあせりました。フロントから転んでしまいましたが、バイクを守るように離れないようにと必死でした。マシンにダメージがなく走ることができてよかったです。ゴールの瞬間はピットレーンから最終コーナーに翔太の姿が見え、勝てたんだなとうれしかった。これまでのトレーニングや練習が報われたんだなと思いました。本当にたくさんの人に応援してもらって走ることができました。ありがとうございました」

森脇尚護|#19 モリワキクラブ 監督

「翔太は昨年、悔しい思いをしているので、そこからトレーニングを開始しました。この季節に強くなっているためには、その時期から始めないと意味がないですからね。1年かけて体力的にも精神的にも厳しいトレーニングをしてきました。田原も一緒にがんばってくれました。努力を重ねてきた自信があるので、体力と精神面の強さはだれにも負けていないはずだと言って送り出しました。まだまだやらなければならないことがあると感じています。それでも、この日のためにがんばってきたので、勝てたことはうれしいです。応援してくれたたくさんの人に心から感謝しています」

耳野由基(3位)|#88 BMS RACING FACTORY

「昨年から相馬君に鈴鹿4耐を走ろうと熱烈なオファーをもらっていて、そんなに誘ってくれるならと参戦することになりました。車体やタイヤの変更があったこともあり、淡々と走ることを心掛けました。いろいろなことを考え、表彰台に上がれたらと思っていたので、3位になることができてよかったです。たくさんの人がボランティアで手伝いにきてくれていたので、その人たちのためにも表彰台に上がることができてよかったと思います」

相馬利胤(3位)|#88 BMS RACING FACTORY

「体制がなかなか決まらず、表彰台までたどり着くことができるのか、追いつけるのかと思いましたが、3位になることができてよかったです。バイクにばかり夢中になっている自分を家族が支えてくれました。今回は父親が応援にきてくれていて、表彰台に上がったことを喜んでくれました。心配していた母は、サーキットにくるのが怖いらしく家で応援してくれていましたが、父の電話で泣いていたようです。応援してくれた人たちが喜んでくれてよかったと思います」

順位 No. チーム/ライダー マシン 周回数 タイム/差
119モリワキクラブ
田原啓至&藤島翔太
Honda994:01:42.257
25伊藤レーシング&プラック・S-POINT
中田暢大&高村一明
ヤマハ99+34.041
388BMS RACING FACTORY
耳野由基&相馬利胤
Honda99+49.147
410TSR レーシングスクール
小島一浩&黒川卓也
Honda99+1:38.017
5109日光サーキット☆ピレリ☆ガレージaZ
岩崎哲朗&岩崎朗
Honda98+1Lap
614磐田レーシングファミリー 14
西村一之&北島大和
ヤマハ98+1Lap
757RSGレーシング Withフィービー
岡村光矩&蒲谷朋大
Honda98+1Lap
827TEAM ZEST with モリワキクラブ
西村翔&宮嶋佳毅
Honda98+1Lap
928DOG FIGHT RACING & 2りんかん
佐々木幸弘&遠藤弘一
ヤマハ98+1Lap
1052MOTO WIN RACING
川村明&中垣寿郎
Honda98+1Lap
2009 Suzuka8Hours