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鈴鹿300km耐久ロードレース

鈴鹿8耐前哨戦、鈴鹿300qで秋吉/伊藤組が優勝!!
山口/小西組も2位入賞、Honda勢が1-2フィニッシュを飾る

2009年6月14日(日)
決勝
会場:鈴鹿サーキット
天候:晴れ
気温:29.1℃(12:30現在)
観客:1万3000人

真夏の祭典、QTEL FIM世界耐久選手権シリーズ第4戦“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレース(以下、鈴鹿8耐)の前哨戦である“Road to 8hours”鈴鹿300km耐久ロードレース(以下、鈴鹿300km)の開催は今年で6回目、スタートも鈴鹿8耐本番と同じル・マン式、ライダーも2人まで登録が可能でライダー交代、ピット作業があるため、鈴鹿8耐への出場チームがそのまま参戦する傾向があり、ファンにとっては注目のレース。鈴鹿8耐の勝利の行方を占う上でも重要なレースとなっている。

優勝候補の筆頭はテストライダーの秋吉耕佑と伊藤真一のベテランコンビ。2人はF.C.C. TSR Hondaから挑む。優勝経験もあり、その抜きんでた速さにはだれもが一目置く。秋吉は鈴鹿2&4レースで勝利し、その勢いのまま鈴鹿入り。伊藤も全日本ロードレース選手権では歯車が噛み合わないレースが続いているが、事前テストでは調子を取り戻しており、順調な仕上がりを見せていた。また、第3戦オートポリスで優勝を飾った山口辰也には、ST600の小西良輝が組んでMuSASHi RT HARC-PRO.から参戦する。Honda DREAM RT 桜井ホンダの亀谷長純は単独参戦。左手人差し指を骨折した高橋巧(バーニングブラッドレーシングチーム)が復帰し、単独参戦。高橋巧は事前テストにも参加しておらず、ぶっつけ本番のレースとなる。

鈴鹿300kmのエントリーは56台。通常の全日本選手権と比べると多くのライダーがコース上にひしめく。ライダーのレベルが様々なこともあり、クリアラップを取るのは難しい。そんな状況の中で予選1回目に秋吉はペースの遅いライダーの間を縫うように走り2分7秒619とレコードを更新し、トップタイムをマークする。7秒台に入れたのは秋吉のみで、その速さを誇示した。予選2回目、山口も7秒台に入れるが、秋吉のタイムには届かず、秋吉/伊藤組のポールポジションが決定する。伊藤は「秋吉は中古タイヤでも7秒台に入れるくらい乗れているので、タイムアタックは任せて、自分はマシンの確認に専念していた」と語った。秋吉は「伊藤さんとセットアップの好みが一緒なので、いいレースができそうだ」と2人のコンビネーションのよさを示した。2番手には山口/小西組。3番手に酒井大作/徳留和樹(スズキ)。4番手にカワサキの柳川明/高橋英倫。5番手に亀谷、6番手に高橋巧がつけた。

決勝は気温29.1℃、路面温度は53℃まで上がった。ホールショットは山口、それを酒井、秋吉が追った。序盤からトップ3が抜け出ての戦いとなる。秋吉は果敢な走りでシケインインで2番手に浮上し、2周目に突入するとS字で山口を捕らえトップに立つ。その秋吉の背後に山口はぴたりとつけて周回を重ねた。3番手の酒井はペースが上がらず、トップ2から徐々に離されてしまう。その酒井を柳川が猛追し、7周目に捕らえて3番手に浮上。4番手の酒井にはスタートで出遅れた亀谷がつける。トップ争いの秋吉、山口はテール・トゥ・ノーズの戦いで、2分8秒台から9秒台のペースで走行し、2位以下を大きく引き離す。コースアウトしそうになる場面もあったが、2台は持ちこたえ、周回を重ねた。その2台を3番手柳川、4番手亀谷、5番手出口修(スズキ)が単独走行で追った。

24周目に山口が1周早いイレギュラーのピットインで小西と交代。25周目に秋吉もピットインして伊藤に代わった。このラップに柳川、酒井もピットインし、次々にライダー交代が行われた。26周目のオーダーはトップ小西、2番手伊藤で、その差は約5秒だが、伊藤は2分9秒台にタイムアップし29周目には、その差を約1秒まで縮め、30周目にはバックストレートでトップに浮上。周回遅れを巧みにかわしながら勝利を目指した。小西も懸命に追うが、49周目に突然スローダウン。しかし、ガソリン残量を確認しながらペースをコントロールし、最終ラップにはペースアップする離れ業を見せた。伊藤は追随するものがいない中で優勝のチェッカーを受け、2位に小西が滑り込んだ。3位には徳留が入った。単独参戦の亀谷は5位に入った。野田弘樹/関口太郎(テルル・ハニービーレーシング)は7位。単独参戦の高橋巧は8位でチェッカーを受けた。

コメント

秋吉耕佑(優勝)

「昨日までの状況、さらに朝までの状況と決勝では、まったく違う状況となってしまい、ストレート以外では、いつでもどこでも転倒の危険があった。一つひとつのコーナー、1ラップをきちんとクリアすることに集中しなければならなかった。レースをコントロールできず、反省することばかり。この状況で勝つことができたのだからよかったと思う」

伊藤真一(優勝)

「小西選手を追いかける状況になったが、なかなかペースが上がらずにあせった。自分のペースをつかむのに時間がかかったが、前に出てからは周回遅れをうまく使って差を広げることができた。ライディングとしては秋吉選手のように思いきりズバッとコーナーに入っていくことができずに苦戦した。マシンの状況を見ながらのライディングとなってしまった。だが、昨年の今ごろを思えば、順調にテストを重ねられているし、鈴鹿8耐までには、いい状況に持っていくことができると思うので優勝を目指してしっかりやっていきたい」

山口辰也(2位)

「自分にとっては鈴鹿8耐の前哨戦というより、2&4の時に秋吉選手と勝負できなかった悔しさがあったので、その思いを晴らしたい気持ちが一番だった。だが、お互いに苦しい状況で、一緒に転倒してしまいそうな局面もあり、無理ができなかった。ガス欠ランプがつき、もう1周する予定だったのに、ちょっとパニックになり、ピットインして小西選手に任せてしまった。もう1ラップ走るべきだったと反省している」

小西良輝(2位)

「辰也と秋吉選手のトップ争いはすばらしかった。ライダーとしてどれくらいがんばっているかわかるので、辰也には100点をつけたいくらい。自分はまだ20点くらいだ。燃費のテストは自分が中心となってやっていたので、辰也が判断できなかったのも仕方がないと思う。終盤、ガス欠ランプが付いたり消えたりの状況になり、1ラップ多い周回となったこと、ガソリン残量などを考え合わせた上で、ペースダウンしてチェッカーを受けた。この経験も生かし鈴鹿8耐までには、しっかり仕上げていきたい」

亀谷長純(5位)

「昨年は1ラップ目にオイルをまいたマシンがあり、運悪くオイルに乗って転倒リタイア。今年はどうしても完走してレースを終えたかった。だから、チェッカーを受けることができてよかった。今回は岡田(忠之)さんが応援に来てくれて、S字で走りをチェックしてくれたり、マシンの方向性の相談に乗ってくれたりと、力になってくれた。とても感謝している。まだ、ペアライダーが決まっていないが、しっかりとテストして鈴鹿8耐に挑みたい」

高橋巧(8位)

「1ヵ月近くバイクに乗っていなくて、いきなりの300qだったので走りきれるのか……。ピットインを2回にする案もあったが、1度で走りきることができた。今は腰が痛くて、ちょっと辛い。鈴鹿8耐に関しては何も決まっていないが、チャンスがあればぜひ走りたい。テストや鈴鹿8耐ウイークとバイクに乗れる機会が増えるのは、ものすごく貴重な勉強になると思う。鈴鹿8耐参戦の願いがかなったら、応援をよろしくお願いします」

決勝リザルト

順位 No. ライダー チーム名 タイム
11秋吉耕佑/伊藤真一F.C.C. TSR Honda1:54:26.698
2634山口辰也/小西良輝MuSASHi RT HARC-PRO.1:55:02.917
312酒井大作/徳留和樹ヨシムラスズキwith JOMO1:55:13.564
487柳川明/高橋英倫TEAM GREEN1:55:40.608
52亀谷長純Honda DREAM RT桜井ホンダ1:56:39.106
648出口修/寺本幸司PLOT FARO PANTHERA1:55:00.267
799野田弘樹/関口太郎テルル・ハニービーレーシング1:55:05.618
856高橋巧バーニングブラッドレーシングチーム1:55:38.072
944児玉勇太/津田一磨ウイダーD.D.BOYS with A-STYLE1:56:29.808
1017西嶋修BEET RACING1:56:38.016

詳しいリザルトはこちらへ(鈴鹿サーキット公式ページ)>>