鈴鹿4時間耐久ロードレース(鈴鹿4耐)が、26日(土)に開催された。鈴鹿8耐の予選日の朝から正午にかけて行われたレースは酷暑に見舞われ、初参戦の阿久津晃輝、参戦3度目の中村豊(TEAM PLUS ONE)が、予選2番手から3位に食い込み表彰台を獲得する健闘を見せた。
2008年7月26日(土)
会場:鈴鹿サーキット
天気:快晴
気温:33.2℃
観客:1万3500人
地方選手権を戦う国内ライセンスのライダーたちが、年に一度開催される鈴鹿4耐に集い、頂点を争う。ここでの優勝を飛躍にチャンスをつかもうと切磋琢磨する若いライダーたちにとって、鈴鹿4耐は“夏の甲子園”にたとえられてきた。
全日本選手権や鈴鹿8耐で活躍するトップライダーたちも、この鈴鹿4耐で腕を磨いた。F.C.C.TSR Hondaの辻村猛は1991年の覇者、94年にはヨシムラスズキの酒井大作が13歳で勝ち、2000年の優勝者である手島雄介はHondaワークスライダーとなった。現在では若手に加え、レースをライフワークとするベテランライダーたちも参戦し、熱戦を繰り広げている。
鈴鹿4耐の前哨戦「ST600 100kmロードレース」で優勝した長谷友博/藤島翔太組(モリワキクラブ)は昨年3位の実績があり、「今年こそ」の思いで挑む。また、昨年の優勝ライダーであるF.C.C.TSRの谷雄太は14歳の小島一浩と組む。MOTO WIN RACINGは04年4耐ウイナーの鈴木信吾が店長を務めるショップが母体のチームで、今年は川村明/中垣寿郎が参戦。ST600の経験は多くはなく、未知数だが注目チーム。また、チームリトルウイングの田高義雄/斉藤雄一郎組、ベテラン盛宮文太郎と大学生の西馬良祐のLink Well Racing、4耐初参戦のスピードテックレーシング&ピレリの相馬利胤/新井生哲組など、CBR600RRユーザーはバラエティ豊かなライダーたちが4耐を走る。
25日(金)の予選は、鈴鹿8耐の計時予選で赤旗が出た影響で、タイムスケジュールが遅れて行われた。モリワキクラブの長谷が2分21秒249を記録し、ペアライダーの藤島も2分22秒083とタイムアップし、バランスのとれたチーム力を示してポールポジションを獲得。2番手には阿久津/中村組がつけ、実力を示した。8番手に相馬/新井組。10番手に田高/斉藤組。11番手に小島/谷組がつけた。
26日(土)、8時30分にル・マン式スタートが切られた。予選3番手の医王田章弘/大西博規組(スズキ)の医王田がホールショットを奪うが、ぴたりと長谷、中村がマーク。激しいトップ争いを繰り広げる。4ラップ目には中村がトップ、長谷が2番手に浮上。さらに8ラップ目には長谷がトップを奪うが、中村もあきらめずにドッグファイトを繰り広げた。
20ラップ目、中村が再び首位を奪う。長谷は21ラップ目、2コーナーで痛恨の転倒、大きく順位を落としてしまう。2番手に医王田、3番手に福永義憲/岩谷雄太組(T2レーシング&WAKEN&SEJ+DOGHOUSE)が浮上。22ラップ目あたりから続々とライダー交代のためピットインし、ピットロードが慌しくなる。
その後、トップに医大田/大西組が浮上。2番手に中西豊/藤井勇一(ヤマハ)、3番手に阿久津/中村組。4番手に佐々木幸弘/遠藤弘一組(ヤマハ)、5番手に耳野由基/柴田憲和(チーム リグニス)のオーダー。4番手の遠藤がペースアップして2番手に浮上するが転倒の波乱。首位は医王田が守り、僅差で中西が追い、中村が食らいつく。このトップ3は不動。4番手は中田ノブヒロ/高村一明組(ヤマハ)、齋藤達郎/藤原翔平組(ヤマハ)、佐々木/遠藤組のヤマハ勢で争われた。
レース中盤、2時間を過ぎると、医王田/大西組が独走態勢を築いて、2番手の中西/藤井組に対して約30秒リード。続く3番手阿久津/中村組も、2番手との差が約20秒と開く。激しい4位争いは続き、佐藤/藤原組が前に出た。そんな中、福永/岩谷組が8番手へと浮上した。
酷暑となり路面温度はグングン上昇するが、トップグループは2分20秒台から21秒を叩き出す走りで、後続を引き離していく。残り1時間、医王田/大西組は安定したペースでトップを走り、2番手に50秒以上の差をつけて引き離す。2番手中西/藤井組も崩れない。3番手の阿久津/中村組も懸命の追い上げを見せるが、2番手との差は40秒と大きい。最後のライダー交代を終え、各ライダーがコースへと飛び出していった。
4時間のレースが終了し、優勝は医王田/大西組。2位に中西/藤井組。3位に阿久津/中村組が入った。表彰台ではフレディ・スペンサーがプレゼンターを務めた。4位の佐々木/遠藤組までが同一周回の98周だった。7位に福永/岩谷組、9位に耳野/柴田組が入った。11位に相馬/新井組。盛宮/西馬組は19位。小島/谷組は7番手から10番手と上位を走行していたが転倒して、マシン修復後に追い上げるも37位。川村/中垣組は24ラップ目にアクシデントで順位を落とし44位。優勝候補だった長谷/藤島組は、2度の転倒があり、ダメージを受けたマシンを修復してチェッカーを受けるためにコース復帰したが、完走扱いとはならなかった。
阿久津晃輝(3位)|TEAM PLUS ONE
「4耐に出るのは初めて。4耐前哨戦の100kmレースの直前に転倒して、左手首にクラックが入って走ることができず、鈴鹿でのテストは3回くらいでした。鈴鹿の走行経験も少なくて、初めての4耐でタイムを上げることができず、中村さんに迷惑をかけてしまった。僕がもっとアベレージを上げることができたら上を狙えたはず。だから、3位は申し訳ない気持ちもあります。だけど、初めての4耐で表彰台に上がれたことは、本当にうれしくて……。チームやスポンサー、そして中村さんに感謝しています。みなさんのおかげで表彰台に立つことができました。ありがとうございました」
中村豊(3位)|TEAM PLUS ONE
「最初は様子を見ながら後ろに下がってついていきたかったのですが……。2分21秒〜22秒でいけば大丈夫と思っていたら、甘かった。僕は4耐3回目で、いつも優勝候補と言ってもらっていたのですが、トラブルや転倒で結果が残っていないので、結果を残したかった。淡々と走ることを心がけました。マシンが速かったので、ストレートで無理をせずにパスできました。いいタイヤを用意してもらえ、ピットワークにも助けられたおかげで、表彰台に上がれたのだと思います。もちろん、勝ちたかったけれど、みんなが最大限の力を出した結果だと思うのでうれしい」
順位 | No. | チーム/ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 37 | m-tech racing 医王田章弘&大西博規 |
スズキ | 98 | 4:02:05.457 |
2 | 31 | HITMAN RC甲子園 ヤマハ&立秋モータース 中西豊&藤井勇一 |
ヤマハ | 98 | +1:19.768 |
3 | 73 | TEAM PLUS ONE 阿久津晃輝&中村豊 |
Honda | 98 | +1:27.745 |
4 | 25 | DOG FIGHT RACING 佐々木幸弘&遠藤弘一 |
ヤマハ | 98 | +2:28.643 |
5 | 64 | ナガサカ東海オート&チーム能塚&B〜DASH&宇陀秀運輸 野田達也&大内田伝 |
カワサキ | 97 | +1Lap |
6 | 2 | 伊藤RACING 中田ノブヒロ&高村一明 |
ヤマハ | 97 | +1Lap |
7 | 60 | T2レーシング&WAKEN&SEJ+DOGHOUSE 福永義憲&岩谷雄太 |
Honda | 97 | +1Lap |
8 | 13 | 磐田レーシングファミリー 齋藤達郎&藤原翔平 |
ヤマハ | 97 | +1Lap |
9 | 6 | チーム リグニス 耳野由基&柴田憲和 |
Honda | 97 | +1Lap |
10 | 311 | ガレージケンズ&ワイズワード 久米田研志郎&西孝浩 |
スズキ | 97 | +1Lap |
8耐リザルト・レポート
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