最高峰クラスへの参戦から50年目のシーズン、
Honda勢は個人・コンストラクターズタイトルを獲得し、記念すべき年に華を添える

Hondaは1966年にロードレース世界選手権の最高峰クラスに参戦してから今年で50年目を迎えました。その記念すべき年に、Honda勢はシーズンを通じて4人のライダーが1位に輝くなど総合力を発揮し、2年ぶり22度目のコンストラクターズタイトルを獲得。さらには、Repsol Honda Teamのマルク・マルケスが全18戦で5勝を含む、12度の表彰台に登壇するなど抜群の安定感をみせ、自身3度目のMotoGPチャンピオンに輝きました。

2016年のMotoGPクラスでは、エンジンの使用制限や全車に共通ECUソフトウェアの適用など、マシンに対するレギュレーションが大きく変更されました。そして、大きな注目を集めたのは公式タイヤサプライヤーが8年ぶりにミシュランとなったこと。これらの変更で各メーカー、チームはシーズン序盤のテストを16年用のマシン作りに費やすことになりました。

Hondaもこのレギュレーション変更に合わせた16年型「RC213V」を用意。このワークスマシンを、マルケス、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)、カル・クラッチロー(LCR Honda)、ジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)、Moto2からステップアップしたティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)の5選手に託しました。

迎えた開幕戦カタールGP。Honda勢は初日こそタイムが伸びずに苦戦するも、徐々にセットアップを固めたマルケスが予選でフロントローを獲得。決勝ではし烈な首位争いを演じ、3位表彰台に登壇しました。マルケスは続く第2戦アルゼンチンGPで今シーズン初のポール・トゥ・ウインを果たすと、第3戦アメリカズGPでも好調を維持し、2番手以下を6秒以上突き放す快走で2戦連続となるポール・トゥ・ウインを達成。ホームグランプリとなる第4戦スペインGPでも3位表彰台に登壇し、開幕から4戦連続でトップ3に入る安定した走りでポイントを積み重ねていきました。

今シーズンもマルケスの最大のライバルとなったのは、バレンティーノ・ロッシ、ホルヘ・ロレンソのヤマハ勢。マルケスが勝利した第2戦、第3戦を除くと、ヤマハ勢は第7戦までに5勝を挙げ、一進一退のチャンピオン争いを続けました。

第8戦は目まぐるしく天候が変わる“ダッチウェザー”で知られるオランダGP。今年も激しい雨が降るなど難しいコンディションとなり、選手を惑わせました。今大会でマルケスの前に立ちはだかったのは、同じくRC213Vを駆るミラーでした。雨による赤旗中断後、4番手からレースを再開したミラーは徐々に順位を上げ、トップを走るマルケスをかわすと、ウエットコンディションの中ですばらしい走りをみせ、そのままチェッカー。MotoGPでは自身初、シーズン4人目の勝者となりました。

シーズン中盤戦に入ると、各チームがマシンの成熟度を上げ、マルケスとヤマハ勢だけが勝利していた序盤の展開から打って変わり、次々とウイナーが生まれます。第9戦ドイツGPはザクセンリンクを得意とするマルケスが今季3勝目。第10戦オーストリアGPはアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)が勝利し、シーズン5人目の勝者が誕生しました。第11戦チェコGPは雨による難しいレースとなりましたが、シーズン中盤戦に入って調子を上げていたクラッチローが他を圧倒するペースで、35年ぶりとなる英国人ライダーによる勝利をつかみ取りました。

第12戦イギリスGPは、母国グランプリに燃えていたクラッチローがポールポジション(PP)からスタートし、2位表彰台。勝者はマーベリック・ビニャーレス(スズキ)でした。そして第13戦サンマリノGPでは、それまでの12戦で11度の入賞、2度の表彰台とコンスタントにポイントを獲得していたペドロサが今季初勝利。ここからのばん回が期待されましたが、ペドロサは第15戦日本GPでのケガにより第17戦まで欠場を余儀なくされました。

第14戦アラゴンGPでは、勝利から遠ざかっていたマルケスが5戦ぶりに優勝を飾り、タイトル獲得に一歩前進。そして迎えた第15戦日本GPで、マルケスがついに2年ぶりのチャンピオンに輝きます。Hondaにとってのホームグランプリで多くの日本のファンが見守る中、予選2番手から勝利をつかみ取りました。今シーズンのマルケスは、転倒が多かった15年シーズンを省みてコンスタントに表彰台に登壇するスタイルに変え、一年でタイトルを奪還してみせました。

これで残るタイトルはチーム、コンストラクターズ(メーカー)の2つに絞られました。

第16戦オーストラリアGPは予選でマルケスが通算65度目のPPを獲得し、史上最多記録を更新。好結果が期待されるも転倒リタイアとなりますが、好調のクラッチローが今季2勝目を挙げ、コンストラクターズタイトルをぐっと引き寄せます。続く第17戦マレーシアGPでは、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)が今季9人目のウイナーとなり、残る2つのタイトル争いは最終戦までもつれ込みました。

最終戦の舞台はバレンシアGP。チャンピオンとなって凱旋したマルケスが、フロントローからスタートして2位でフィニッシュ。Hondaが14年以来となる、通算22度目のコンストラクターズタイトルの獲得を決めました。

最終戦まで争われたチームタイトルはペドロサの欠場などの影響で2位。こちらはヤマハ勢に軍配が上がりましたが、Hondaにとって2年ぶりの個人・コンストラクターズタイトルの2冠を達成しました。また今シーズン、RC213VでMotoGPクラスに参戦した5選手のうち、4選手がグランプリ制覇を果たすなど、マシンの完成度を証明しました。

マルク・マルケス(#93)

ジャック・ミラー

マルク・マルケス

カル・クラッチロー

ダニ・ペドロサ

マルク・マルケス

(左から)マルク・マルケス、ジャック・ミラー、カル・クラッチロー、ダニ・ペドロサ

ポイント

MotoGP ライダー
順位No.ライダーマシン総合 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
193マルク・マルケスHonda29816252516320202025111613132525-520
246V.ロッシヤマハ2491320-2520-25-81320162016-202013
399J.ロレンソヤマハ23325-20202525-6116081620-101625
425M.ビニャーレススズキ20210-13101610137410725111316161011
54A.ドヴィツィオーゾドゥカティ171203---119-1620-101052013259
626ダニ・ペドロサHonda1551116-1313131641094112510----
735カル・クラッチローHonda141--05-510-20125208111125--
844P.エスパルガロヤマハ134910981111113-63-781011710
929A.イアンノーネドゥカティ112--169-16-1111258------16
108H.バルベラドゥカティ10271176845107-112330-135
1141A.エスパルガロスズキ93551111107--2--9-913-38
1219A.バウティスタアプリリア82365-7-8-6006679496
1350E.ラバティドゥカティ774134753395010422-240
149D.ペトルッチドゥカティ75----987--597508764
1545S.レディングドゥカティ746-100--01613810107912
166S.ブラドルアプリリア63-9626248-02-466503
1738B.スミスヤマハ628804-9-337----3827
1843ジャック・ミラーHonda572--0--6259--0---681
1951M.ピロドゥカティ36-480-61--4--94----
2076L.バズドゥカティ35--134---0313--00-110
2153ティト・ラバトHonda291730--2502610-2000
2268Y.ヘルナンデスドゥカティ20--21-00-00550043--
2370中須賀克行ヤマハ5--------------5---
2422A.ロースヤマハ3-----------3------
2573青山博一Honda1--------------1-0-
2669ニッキー・ヘイデンHonda1-------------1-0--
277M.ジョーンズドゥカティ1--------------01--
MotoGP コンストラクター
順位 マシン 総合 123456789101112131415161718
1Honda36916252516132020252511252025252525820
2ヤマハ35325202025252525138162016202010202025
3ドゥカティ26120131699169161625131010520132516
4スズキ20810513111610137410725111316161011
5アプリリア101396272886 -26679596
MotoGP チーム
順位チーム総合 123456789101112131415161718
1Movistar Yamaha MotoGP48238202045452525692920243636-303638
2Repsol Honda Team454274125291633362435202024383526-520
3Ducati Team296203169-27911274581019920132525
4Team SUZUKI ECSTAR29515524212617137610734112229161319
5Monster Yamaha Tech 319917189121110111631333781319917
6OCTO Pramac Yakhnich1616418-9871613131076-151676
7Aprilia Racing Team Gresini1453151121321286-26101315999
8LCR Honda141---5-510-20125208111125--
9Avintia Racing139711891246107324233-1245
10Pull & Bear Aspar Team974136853395-15922454-
11Estrella Galicia 0,0 Marc VDS87373---8309261-12681
ポイント配分表
決勝順位1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位11位12位13位14位15位
ポイント252016131110 987654321

特集

ライダー&マシン