Honda初のWGP出場マシン

本田宗一郎によるマン島TT出場宣言から5年後の1959年6月3日、Hondaはロードレース世界選手権(WGP) マン島TTレースに125㏄で初出場しました。このレースに参戦するにあたって開発したのが、空冷・4ストローク・DOHC・4バルブ・2気筒・125ccのエンジンを搭載するワークスマシン「RC142」です。RC142を社員ライダー4名が駆り、4台そろってクリプスコースを完走。谷口尚己選手が6位、鈴木義一選手が7位、田中楨助選手が8位、鈴木淳三選手は途中ブレーキトラブルに見舞われタイムロスを余儀なくされたものの11位の成績でゴール。初挑戦ながらの好成績がマシンのポテンシャルの高さを証明しました。この大会で谷口尚己選手は、上位入賞者にのみに与えられるシルバ－レプリカトロフィーを獲得。RC142は日本人初の世界GP入賞ライダーを生み出しました。さらにHondaはメーカーチーム賞を授賞しています。

しかし、6位谷口選手のタイムは1時間34分48秒。このレースで優勝したタルキニオ・プロビーニ選手（MVアグスタ）の記録との差は実に7分23秒と大きく、平均周回速度にしては時速10km近く下回っていました。Hondaにとって初めてのマン島TTレースは、当時の世界の一線級マシンとの実力差を痛感させられるレースでもありました。レース参加によって、車体の剛性不足による操安性の悪さやブレーキ性能が劣っているといった問題点が洗い出され、続いて開発されることとなるRC143に活かされました。RC142の走りは、Honda初のWGP優勝となる1961年のマン島TTレースでの勝利へとつながりました。

エンジン種類

空冷4ストロークDOHC 4バルブ 2気筒

排気量

124.6cc

最高出力

18PS /13,000rpm

車両重量

87kg

変速機

常時噛合式6段

1959年 谷口尚巳