History

新時代MotoGP(2002年~2015年)

2002年、500㏄クラスが「MotoGP」と名前を変え、新たな最高峰クラスとしてスタート。グランプリの世界においても環境性能が考慮され、2ストロークから4ストロークへの移行が進められます。新規定では、4ストロークの最大排気量を990cc以下とし、2ストローク500ccマシンと同等の性能を発揮できる場が設けられました。Hondaは、NSR500で培った技術をベースに、4ストロークのニューマシンRC211Vを投入。それまで前例のなかったV型5気筒エンジンを搭載したこのマシンは、デビューイヤーを16戦14勝、翌2003年を16戦15勝と圧倒的な強さで制すると、続く2004年も7勝を挙げてメーカータイトル3連覇を果たします。

さらに、250㏄クラスにおいてもNSR250に変わってRS250RWを投入。2002年は0勝、翌2003年に2勝と低迷するものの、2004年には9勝を挙げてタイトルを奪還。125㏄でもRS125Rが2002~2004年で15勝を挙げ、メーカータイトルこそ逃したものの、2003年のダニ・ペドロサ選手、2004年のアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手といったチャンピオンを輩出します。

2005年のオーストラリアGPでは、この年250㏄クラスで8勝を挙げてチャンピオンを獲得するペドロサ選手によって、WGP通算600勝目を達成。続く2006年にはRC211Vが8勝を挙げ、2年ぶりにMotoGPでのタイトルを手にしました。

MotoGPマシンのスピードは年々高まり、これを危惧して2007年からエンジン排気量が800㏄に引き下げられました。これに合わせて、HondaはV型4気筒エンジン搭載の新型マシンRC212Vを開発。2007~2008年は2勝ずつ、2009年は3勝、2010年は4勝と苦戦を強いられながらも徐々にマシンを向上させていくと、2011年に18戦13勝を挙げて5年ぶりにタイトルを獲得しました。

また、中軽量クラスにも変化の波が訪れます。Hondaは、2007年に250㏄マシンRS250RWの開発を終了。2008年は250㏄クラスで0勝に終わります。そのマシンを駆って2009年に参戦した青山博一選手は、年間4勝と大活躍。この年限りで廃止された250㏄クラスで最後の王者となりました。なお、翌年から始まったMoto2クラスは、Hondaエンジンを全車が搭載するワンメイク形式であるため、このクラスでの勝利は、Hondaの通算勝利数にカウントしていません。また、125㏄クラスで一時代を築いたRS125Rも、2009年で生産終了。さらに、2010年限りで125㏄クラスも廃止され、2011年からは4ストローク250㏄マシンによるMoto3クラスへと移行しました。

青山博一選手 / RS250RW青山博一選手 / RS250RW

2012年からは、MotoGPクラスのエンジン排気量が1000㏄へと引き上げられたことに伴い、新型マシンRC213Vが登場。前年チャンピオンのケーシー・ストーナー選手はケガによる離脱があったものの5勝、ダニ・ペドロサ選手がシーズン最多の7勝を挙げ、2年連続のコンストラクターズタイトルを獲得しました。RC213Vの勢いはさらに増し、翌2013年にはMotoGPに昇格したばかりのマルク・マルケス選手に6勝をもたらし、史上最年少チャンピオンに導きます。チームメートのペドロサ選手も3勝を挙げるなど、Honda勢は全戦で表彰台に登壇し、コンストラクターズタイトルを3連覇。さらに、翌2014年は開幕12連勝を含む年間14勝を挙げ、圧倒的な強さで2年連続の3冠(ライダー、コンストラクター、チーム)を達成しました。そして、この2014年はMoto3クラスにNSF250Rが参戦し、8勝をマーク。Hondaは5年ぶりに軽量級のコンストラクターとして勝利を挙げました。

マルク・マルケス選手 / RC213Vマルク・マルケス選手 / RC213V

そして迎えた2015年、Moto3クラスは開幕から4連勝を飾るなど最高のスタートを切りますが、MotoGPクラスではマルケス選手が2度のリタイア転倒を喫し、ペドロサ選手は右腕の治療のために欠場を余儀なくされるなど、序盤から苦戦。しかし、マルケス選手がサマーブレイク前のドイツGPでシーズン2勝目を挙げ、復調の気配を見せます。その次戦、後半戦の開幕となったインディアナポリスGPでMoto3クラス、MotoGPクラスで連勝を果たし、見事、HondaのGP通算700勝を達成。前人未踏の大記録を打ち立て、また一つその名をグランプリの歴史に刻みました。

年表

  • 2002年 MotoGPクラス開始。RC211Vが18戦14勝でタイトル獲得
    250ccクラスにはRS250RWが参戦
  • 2003年 MotoGPで16戦中15勝、全戦で表彰台
  • 2005年10月 オーストラリアGPでWGP通算600勝
  • 2006年7月 ドイツGPで250cc通算200勝
  • 2007年 MotoGPの排気量が800ccに。V型4気筒のRC212Vを投入 RC212V [MotoGP]
  • 2009年 WGP参戦50周年を迎える
  • 2010年 MotoGPクラスでコンストラクター、ライダー、チームの3冠制覇
  • 2013年 マルク・マルケス選手が史上最年少チャンピオン獲得
  • 2014年 Moto3クラスにNSF250Rが参戦開始
  • 2015年 HondaがWGP通算700勝を達成