マルケスが3年連続で王者を獲得
Hondaは2年連続で三冠達成
ロードレース世界選手権の開催70年目の節目となった2018年は、史上最多となる19戦でタイトルが争われ、Hondaは、前年王者として2年連続の三冠達成に挑んだ。Repsol Honda Teamは、マルク・マルケスとダニ・ペドロサの2人体制を継続。そのほかのHonda勢は、LCR Honda CASTROLのカル・クラッチロー、LCR Honda IDEMITSUの中上貴晶、Estrella Galicia 0,0 Marc VDSからフランコ・モルビデリとトーマス・ルティが参戦し、Honda勢6人中3人がMotoGPクラスでのルーキーイヤーとなった。
開幕戦は毎年恒例のナイトレースで行われるカタールGP。レース終盤から最終ラップまでマルケスとアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)による優勝争いが展開され、マルケスはわずか0.027秒差で惜しくも優勝に届かず。今シーズン、何度も繰り広げられることになる2人の一騎打ちは、まずはドヴィツィオーゾに軍配があがった。続く第2戦は、不安定な天候に翻ろうされ、レース直前にマシンチェンジする選手が続出したことから仕切り直しでのスタートに。荒れたレースをクラッチローが制し、Hondaがグランプリ通算750勝目を達成した。
アメリカズGP、スペインGP、フランスGPにかけてマルケスが3連勝を挙げ、チームメートのペドロサもフランスGPでは今季ベストの5位フィニッシュ。第6戦イタリアGPはクラッチローの6位が最高位で、Honda勢にとっては厳しい週末に。第7戦カタルニアGPはマルケスが2位、ペドロサも5位入賞を果たした。
同選手権の中で最も長い歴史と伝統を誇るオランダGPでは、トップグループ8台による大接戦が展開されるも、マルケスがポール・トゥ・ウインで今季4勝目を挙げた。続く第9戦ドイツGPもマルケスが勝利を挙げ、125cc、Moto2時代を含めて9連勝という偉業を成し遂げる。
シーズン後半戦は、チェコGP、オーストリアGPの連戦から始まった。この2戦は高い競争力を発揮したドゥカティ勢に優勝を奪われたものの、マルケスも3位、2位と2戦ともに表彰台を獲得。依然としてランキング首位の座を守った。
第13戦サンマリノGPでは、ドゥカティ勢とマルケスが優勝争いを展開し、最終的にはマルケスが2位。クラッチローはチームのホームグランプリとなる同大会で3位に入り、Honda勢が表彰台の両脇に登壇した。続く第14戦アラゴンGPではマルケスが大会3連覇で今季6勝目を挙げ、ペドロサは今季ベストタイの5位でフィニッシュする。

初開催となった第15戦タイGPもマルケスが制し、ライダーズタイトル獲得に王手をかけて、日本GPを迎えた。レースの舞台となるツインリンクもてぎは、ドゥカティのマシンと非常に相性のいいサーキット。Hondaのホームでタイトルを決めるべく臨んだマルケスだったが、フリー走行、予選でドヴィツィオーゾがトップタイムを記録し、マルケスの前に立ちはだかる。しかもマルケスはフリー走行4で転倒を喫した影響もあり、6番グリッドから決勝に挑むこととなった。
迎えた決勝レース当日。晴天の中始まったレースは、マルケスが好スタートを決めてオープニングラップで2番手に浮上すると、早くも昨年同様、マルケスとドヴィツィオーゾとの一騎打ちの様相を呈していく。逃げきろうとするドヴィツィオーゾと、背後からプレッシャーをかけ続けるマルケス。クラッチローも3番手で前の2人を追いかけながら、ラップを重ねていく。レースが大きく動いたのは終盤だった。ペースを上げたマルケスが21周目についにトップに浮上すると、焦りが出たのか、ラスト2周でドヴィツィオーゾが転倒。これで長きにわたる戦いの勝敗が決し、ライバル不在のレースを走りきったマルケスが3年連続5回目のチャンピオンを決めた。さらにクラッチローが2位に入り、Hondaのホームグランプリで、Honda勢が今季初の1-2フィニッシュを飾った。
さらに第18戦マレーシアGPでは、マルケスが今季9勝目、ペドロサも5位入賞を果たしたことで、Hondaが最高峰クラスで3年連続24回目のコンストラクターズ王者の座に就いた。残るはチームタイトルあと一つ。その行方は、最終戦までもつれ込んだ。
最終戦のバレンシアGPは、強い雨の中でマルケスを含めて転倒車が続出する厳しい展開に。ここでペドロサが魅せた。現役MotoGPライダーとしてのラストレースで、困難なコンディションを着実に走りきり、今季ベストタイの5位フィニッシュ。このポイント獲得がRepsol Honda Teamのチームタイトルを決定づけ、Hondaが2年連続で三冠達成を成し遂げた。
なお、ライダーズランキングでは、マルケスのチャンピオンに次ぐHonda勢2番手となる総合7位にクラッチロー、総合11位にペドロサが入った。ルーキー勢では、モルビデリがオーストラリアGPでの8位をはじめ、13レースで入賞し、総合15位でルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。ルーキーイヤーとなった中上はバレンシアGPで自己ベストの6位でフィニッシュし、開幕から掲げていた目標の一つのシングルフィニッシュを達成して総合20位、ルティは入賞まであと一歩の16位を含む14レースで完走し、総合29位でシーズンを終えた。