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MotoGP

Hondaがライダー、コンストラクター、チームの3冠に2年連続で輝く
マルケスの2年連続チャンピオンをはじめ、記録ずくめのシーズンに

Hondaは2014年シーズンのMotoGPで、3チームがRC213Vを駆って参戦。全18戦で14勝を挙げ、最高峰クラスでは4年連続21度目のコンストラクターズタイトルを獲得しました。さらに、13年シーズンのルーキーイヤーに史上最年少チャンピオンとなったマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、年間13勝を挙げ、2年連続でライダーズタイトルを獲得するとともに、チームタイトルを獲得。Hondaが2年連続でタイトル3冠を達成しました。

14年の最も大きなレギュレーションの変更は、すべてのマシンに使用が義務付けられる公式ECU(エレクトリック コントロール ユニット)の使用方法により、ファクトリーオプションとオープンカテゴリーという2種類に分類されたことです。Hondaは、Repsol Honda Teamのマルケスとダニ・ペドロサ、LCR Honda MotoGPのステファン・ブラドル、GO & FUN Honda Gresiniのアルバロ・バウティスタという4ライダーが、ファクトリーオプションで臨みました。一方、オープンカテゴリー用には、市販レーシングマシン「RCV1000R」を投入。スコット・レディング(GO & FUN Honda Gresini)、青山博一(Drive M7 Aspar)、ニッキー・ヘイデン(Drive M7 Aspar)、カレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)の4ライダーが、このマシンで参戦しました。

マルケスは開幕戦をいきなりのポール・トゥ・ウインで飾り、前年度王者の実力を見せつけます。第2戦と第3戦でもポール・トゥ・ウインを果たすと、ペドロサが両レースで2位に入り、Hondaの1-2となりました。このあと、マルケスのポール・トゥ・ウインは、第6戦まで続きました。

第7戦では予選3番手となり、シーズン初めてポールポジション(PP)を逃したマルケスですが、決勝では先行するバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)と何度もポジションを入れ替える激戦を展開。終盤になると、PPスタートのペドロサを加えた3台によるデッドヒートを制して優勝を手にしました。なお、この優勝はHondaにとってMotoGPクラスでの100勝目という、記念すべき勝利でした。

また第10戦では、マルケスは1970年にジャコモ・アゴスチーニが打ち立てた開幕10連勝という記録に並び、マイク・ヘイルウッドが1964年に24歳と94日で記録した史上最年少10連勝を21歳と146日で更新しました。

連戦連勝のマルケスでしたが、第11戦では4位となり、シーズンで初めて優勝を逃します。そのマルケスの連勝を止めたのは、チームメートのペドロサでした。

その後、マルケスがライダーズタイトルに王手をかけたのは、Hondaのホームグランプリである第15戦日本GPでのことでした。4番グリッドからスタートしたマルケスですが、序盤で5番手にダウン。しかし、これが発奮材料となったのか、そこからライバルたちを次々にパスして2番手までポジションを上げました。ただ、マルケスの追い上げはここまで。この大会では、タイトルの獲得が最大の目的だったため、以降はタイトルを争う後続のライダーとの差を確認しながらポジションをキープし、2位でフィニッシュ。これにより、63年にマイク・ヘイルウッドが23歳152日で達成した、最年少での2年連続のライダーズタイトル獲得という記録を、21歳237日に塗りかえました。

第17戦では、マルケスは史上最多となるシーズン13度目のPPからスタート。史上最多優勝記録に並ぶ12勝目を挙げ、最高峰クラスにおいてHondaが21度目のコンストラクターズタイトルを獲得しました。

数々の記録に彩られ、迎えたシーズン最終戦。マルケスはここでも優勝を手にし、1997年にミック・ドゥーハンがHondaで達成した、最多優勝記録を更新。Repsol Honda Teamのチームタイトルの獲得も決定し、2年連続での3冠達成となりました。

2014 ポイントスタンディング

ライダー

順位 ライダー マシン 総合 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
1マルク・マルケスHonda3622525252525252525252513251320-2525
2V.ロッシヤマハ2952081320201620111316161625-16252020
3J.ロレンソヤマハ263-616131020133162020202025252016-
4ダニ・ペドロサHonda24616202016111316162013251316213--16
5A.ドヴィツィオーゾドゥカティ187111671181082089101113-1113813
6P.エスパルガロヤマハ136-108713119-911-1010108-1010
7A.エスパルガロFORWARD YAMAHA1261371977101310-87-205--9
8B.スミスヤマハ121-11986-68-107-911716112
9ステファン・ブラドルHonda117-131169-116--99-139-138
10A.イアンノーネドゥカティ1026910--971011-11811-10---
11アルバロ・バウティスタHonda89---10168-97-6-89610--
12スコット・レディングHonda819-234334575636-966
13C.クラッチロードゥカティ7410---5--768-4716---11
14青山博一Honda685464221-4632483851
15Y.ヘルナンデスドゥカティ534342365----561-59-
16ニッキー・ヘイデンHonda478555--4-2----726-3
17カレル・アブラハムHonda33323-14-235235-----
18H.バルベラドゥカティ26-1-1----------11175
19M.ピロドゥカティ18-----52---4------7
20D.ペトルッチART172------11----5-4-4
21A.デ・アンジェリスFORWARD YAMAHA14-----------124-7--
22C.エドワーズFORWARD YAMAHA117----1---3--------
23B.パークスPBM91------5-1------2-
24M.ラバティPBM9-----0---2-----34-
25M.ディ・ミリオAVINTIA90--------4-----23-
26中須賀克行ヤマハ4--------------4---
27レオン・キャミアHonda1----------1-------

コンストラクター

順位 コンストラクター 総合 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
1Honda409252525252525252525252525161320102525
2ヤマハ354201116202020201116202020252525252020
3ドゥカティ21111161011810820119111113161113913
4FORWARD YAMAHA138137197710131038722057-9
5ART172------11----5-4-4
6PBM151------5-2-----34-
7AVINTIA11-1-1-----4-----23-

チーム

順位 チーム 総合 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
1Repsol Honda Team60841454541363841414538383817533-2541
2Movistar Yamaha MotoGP558201429333036331429363636452541453620
3Ducati Team261211671113108271417101520161113824
4Monster Yamaha Tech 3257-2117151911158921710192115162112
5GO & FUN Honda Gresini1709-2132011313127116111561966
6Pramac Racing1551012142315121011-11131711059-
7NGM Forward Racing151207197810131038822457-9
8LCR Honda MotoGP117-131169-116--99-139-138
9Drive M7 Aspar116139119225-664241551454
10Avintia Racing35-1-1-----4----113105
11Cardion AB Motoracing33323-14-235235-----
12Paul Bird Motorsport181------5-3-----36-
13Octo IodaRacing Team172------11----5-4-4

ポイント配分表

決勝順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位 11位 12位 13位 14位 15位
ポイント 25 20 16 13 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1

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選手紹介

レプソル・ホンダ・チームRepsol Honda TeamRIDERS

マルク・マルケス

マルク・マルケス#93
Marc Marquez

生年月日:1993年2月17日
出身地:スペイン
身長:168cm
体重:59kg
血液型:O型
URL:http://marcmarquez93.com/

5歳のときからオートバイに乗り始め、2001年には8歳でカタルーニャ州のエンデューロ選手権でジュニアクラスのチャンピオンを獲得。

翌02年からはロードレースに転向して、06年にはスペイン国内選手権(CEV)125ccクラスで総合8位、翌07年には総合9位を記録しました。翌08年からはロードレース世界選手権(MotoGP)125ccクラスに参戦し、10年にはチャンピオンを獲得しました。

11年からMoto2クラスにステップアップすると、第4戦フランスGPで18歳と87日で初優勝を飾り、それまでダニ・ペドロサが持っていた史上最年少優勝記録を更新。11年はケガのため最終戦を欠場しましたが、シリーズ7勝を挙げて総合2位を獲得しました。

ケガから回復した翌12年もMoto2を走り、開幕戦から圧倒的な強さをみせつけました。最終戦バレンシアGPでは最後尾から猛烈に追い上げて全車をパスして優勝を飾るなど、全17戦中9勝を挙げ、シリーズチャンピオンに輝きました。

13年シーズンからは、12年シーズン限りで引退したケーシー・ストーナーに代わって、Repsol Honda TeamからMotoGPクラスに参戦。開幕戦カタールGPで早くも3位表彰台に立つと、第2戦アメリカズGPで初優勝を飾り、最高峰クラス最年少優勝記録を更新しました。その後も勢いはとどまらず、ルーキーながら全18戦中6勝を挙げて、史上最年少チャンピオンに輝きました。

ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ14年は、シーズン最多優勝記録を塗り替える13勝を挙げて、連覇を果たしました。

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主な戦績

2008世界選手権デビュー、世界選手権 125cc 13位
2009世界選手権 125cc 8位
2010世界選手権 125cc チャンピオン
2011世界選手権 Moto2 2位
2012世界選手権 Moto2 チャンピオン
2013世界選手権 MotoGP チャンピオン
2014世界選手権 MotoGP チャンピオン
ダニ・ペドロサ

ダニ・ペドロサ#26
Dani Pedrosa

生年月日:1985年9月29日
出身地:スペイン
身長:160cm
体重:51kg
趣味:音楽鑑賞、インターネット
URL:http://www.danipedrosa.com/

初めてバイクに乗ったのは4歳のとき。11歳で地元スペインのポケットバイク選手権に参戦。1999年には、モビスター・アクティバ・カップ(スペイン人ライダーを対象としたライダー養成プロジェクト)に選出され、そこでの活躍が認められて2001年からロードレース世界選手権(MotoGP)125ccクラスに参戦。Honda RS125Rを駆り、高いライディングスキルと他を圧倒する走りで、03年には同クラスでチャンピオンを獲得しました。

翌04年からは250ccクラスにステップアップ。ここでも開幕戦から優勝を遂げる好成績を残し、参戦初年度でチャンピオンに。05年も引き続き250ccクラスに参戦し、2年連続で250ccタイトルを獲得しました。

そして、最高峰のMotoGPクラスにステップアップした06年は、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。07年は2勝を挙げて総合2位、08年、09年は総合3位と上位にランクインしてきました。10年は総合2位を獲得。11年は3勝を挙げるも、序盤の欠場が響いて総合4位となりました。

12年は、マシンのセッティングが整った終盤に8戦6勝の好成績を挙げ、ライダーズタイトルにあと一歩まで迫る2位でした。13年は、第3戦スペインGPと第4戦フランスGPの連続優勝を含め5戦連続で表彰台に立つ安定感を発揮。シーズン中盤で負傷したものの、第15戦マレーシアGPでも優勝を飾り、総合3位となりました。

14年は第11戦チェコGPで勝利を挙げるなどの活躍をみせ、ランキング4位となりました。

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主な戦績

2001世界選手権デビュー、世界選手権 125cc 8位
2002世界選手権 125cc 3位
2003世界選手権 125cc チャンピオン
2004世界選手権 250cc チャンピオン
2005世界選手権 250cc チャンピオン
2006世界選手権 MotoGP 5位 (ルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得)
2007世界選手権 MotoGP 2位
2008世界選手権 MotoGP 3位
2009世界選手権 MotoGP 3位
2010世界選手権 MotoGP 2位
2011世界選手権 MotoGP 4位
2012世界選手権 MotoGP 2位
2013世界選手権 MotoGP 3位
2014世界選手権 MotoGP 4位

エルシーアール・ホンダ・モトGPLCR Honda MotoGPRIDERS

ステファン・ブラドル

ステファン・ブラドル#6
Stefan Bradl

生年月日:1989年11月29日
出身地:ドイツ
身長:170cm
体重:63kg
URL:http://stefanbradl.com/

世界選手権250ccクラスを戦った父、ヘルムート・ブラドル氏に影響を受けてレースキャリアをスタート。2005年にドイツ選手権125ccクラスでチャンピオンに輝き、同年には世界選手権デビューも果たしました。

08年は世界選手権初優勝を果たして、総合でも4位に躍進。10年には開催初年度のMoto2にステップアップし、30選手以上がひしめく混戦のクラスで上位入賞を続けて総合9位と善戦しました。

11年は、開幕戦からポール・トゥ・ウインを飾る活躍をみせ、序盤戦で4勝の快進撃。後半戦もトップのポジションを守りきってタイトルを獲得しました。

MotoGPクラスにステップアップした12年は、第9戦イタリアGPで4位に入賞。総合8位でルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝きました。

MotoGPクラス参戦2年目となった13年は、最高峰クラスで自身初となるポールポジション、2位表彰台を獲得するなど輝きをみせ、総合7位でシーズンを終えました。14年は10大会でシングルフィニッシュし、総合9位となりました。

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主な戦績

2005 世界選手権 125cc 35位
2006 世界選手権 125cc 26位
2007 世界選手権 125cc 18位、スペイン選手権 125cc チャンピオン
2008 世界選手権 125cc 4位
2009 世界選手権 125cc 10位
2010 世界選手権 Moto2 9位
2011 世界選手権 Moto2 チャンピオン
2012 世界選手権 MotoGP 8位
2013 世界選手権 MotoGP 7位
2014 世界選手権 MotoGP 9位

ゴー・アンド・ファン・ホンダ・グレッシーニGO & FUN Honda GresiniRIDERS

アルバロ・バウティスタ

アルバロ・バウティスタ#19
Alvaro Bautista

生年月日:1984年11月21日
出身地:スペイン
身長:167cm
体重:59kg
URL:http://alvarobautista.com/

3歳で初めてバイクに乗り、8歳でレースキャリアをスタート。1999年からスペインのテレフォニカ・モビスター・カップに参戦し、翌年にはアルベルト・プーチ氏に指名され、スペイン選手権参戦チームのリザーブライダーとなり、プロライダーへの道を歩き出しました。

スペイン選手権、欧州選手権を経て、2003年から世界選手権へのフル参戦を開始。06年に125ccクラスのチャンピオンに輝くと、翌07年は参戦初年度の250ccで総合4位に輝きルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得しました。08年は総合2位、09年は総合4位と上位をキープし、10年に念願のMotoGPクラスへのステップアップを果たしました。

12年はTeam San Carlo Honda Gresiniに加入し、3位表彰台を2度経験。総合5位でHondaのコンストラクターズタイトル獲得に貢献しました。13年は、リタイアした2戦を除く16戦で8位以上に入賞する安定した走りで総合6位を獲得。

最高峰クラスへの参戦5年目となった14年は、第5戦フランスGPで3位表彰台を獲得。ポイントランキングでは11位でした。

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主な戦績

2002 世界選手権デビュー
2003 世界選手権 125cc 20位
2004 世界選手権 125cc 7位
2005 世界選手権 125cc 15位
2006 世界選手権 125cc チャンピオン
2007 世界選手権 250cc 4位
2008 世界選手権 250cc 2位
2009 世界選手権 250cc 4位
2010 世界選手権 MotoGP 13位
2011 世界選手権 MotoGP 13位
2012 世界選手権 MotoGP 5位
2013 世界選手権 MotoGP 6位
2014 世界選手権 MotoGP 11位

MotoGP オープンカテゴリー

チーム名 ナンバー ライダー 出身地 2014年の戦績 フォトギャラリー
ドライブ・M7・アスパー
(Drive M7 Aspar)
69 ニッキー・ヘイデン
(Nicky Hayden)
アメリカ MotoGP 16位
7 青山博一
(Hiroshi Aoyama)
日本(千葉県) MotoGP 14位
カルディオン・エービー・モーターレーシング
(Cardion AB Motoracing)
17 カレル・アブラハム
(Karel Abraham)
チェコ MotoGP 17位
ゴー・アンド・ファン・ホンダ・グレッシーニ
(GO & FUN Honda Gresini)
45 スコット・レディング
(Scott Redding)
イギリス MotoGP 12位

※2014年より、ロードレース世界選手権シリーズの最高峰MotoGPクラスは、「ファクトリーオプション」と、これまでのCRTクラスに代わる「オープンカテゴリー」の2つのカテゴリーで開催されます。ファクトリーオプションは、主催者から供給されるECU(エンジン コントロール ユニット)のソフトウエアを変更することが可能で、1台当たりの年間使用エンジンは5基、ガソリンタンク容量は20Lまでとなります。オープンカテゴリーは、主催者から供給されるECUのソフトウエアは変更できませんが、年間使用エンジンは12基、ガソリンタンク容量は24Lまでとなります。