
アメリカのレースはグリーンフラッグでスタートします。予選順に2台(Indy500のみ3台)ずつフォーメーションを組み、スロー走行から徐々に加速し、そのままスタートするローリング方式を採用。レース中にアクシデントが発生したり、コース上に落下物(デブリ)がある場合はイエローフラッグが振られます。
この際、コース上の障害を排除するためにコース全域が追い越し禁止になることを“フルコースコーション”といい、ペースカーを先頭に全車がスロー走行します。この間にピットインすれば周回遅れとなるリスクが少ないため、ほとんどのチームはこのタイミングを利用してピットに向かいます。
一方で、あえてその時にピットインをせず、上位に進出して次のコーションに賭けるチームも出てきます。下位グループにとっては定石とも言える戦略で、一気にジャンプアップできる可能性があります。
ここで重要となるのが燃費であり、自分たちがベストといえるタイミングが来るまで、コース上に残らなければなりません。また、レース終盤にコーションが発生し、全車がいっせいに最後のピットインをすることになった場合でも、燃料をセーブしていれば補給の量を少なくできるため、ピット時間を短縮して上位に進出することが可能です。
このように、最速のマシンが必ず勝つという保証は、全くありません。コーションをうまく利用し、燃費をセーブする走りでも勝てるチャンスがあるのです。