2012年6月23日・決勝 会場:アイオワ・スピードウェイ 天候:曇り 気温:20〜21℃
IZODインディカー・シリーズ第9戦は、北米大陸の中央に近いアイオワ州デ・モイン郊外の小さなオーバルコース、全長0.894マイルのアイオワ・スピードウェイで、ナイトレースとして開催されました。
予定のスタート時刻の3時間ほど前から強い雨が降り、翌日へのレース延期さえ心配されましたが、雨は止んで、路面の乾燥も短時間で完了。予定より約1時間遅れの夜10時前から、250周のレースを行うことができました。
バンクの最大傾斜が14度と大きいアイオワ・スピードウェイでは、インディカーならではのハイスピードバトルが繰り広げられました。ダウンフォースの量を少なく設定するルールが功を奏し、タイヤの消耗が激しく、ドライバーたちは持てるテクニックを総動員しての戦いを繰り広げました。そして、その長く激しいバトルを制したのはライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)でした。250周のレースも終盤の238周目にトップに立った彼は、そのままゴールまで逃げ切りました。
Hondaエンジン勢は、ポールポジションスタートのダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)のマシンが、スタート前のフォーメーションラップ中にメカニカルトラブルを起こして、無念のリタイアを喫してしまいました。しかし、チームメートで8番手からスタートしたスコット・ディクソンが、絶妙のピットタイミングも味方につけ、レース終盤の182周目にトップに立ちました。
序盤はハンドリングに苦しんでいたディクソンでしたが、トップに躍り出るやハイペースを保ち続け、ゴールに向けて着々とラップを重ねていきました。ところが、もうレースが残り15周を切った時点で周回遅れのマシンに進路を阻まれることになりました。その一瞬の隙をつかれ、ハンターレイにトップの座を奪われました。そしてゴール目前の248周目、女性ルーキー・ドライバーのキャサリン・レッグ(Dragon Racing)がアクシデントを起こしてフルコースコーションが出され、イエローフラッグのままレースはゴールを迎えました。結局、ディクソンは4位でゴールしました。
この夜のレースでは、ルーキーのシモン・パジェノー(Schmidt Hamilton Motorsports)が目覚ましい走りを見せました。25番グリッドからのスタートながら、数々のバトルを戦い抜いて5位でフィニッシュしてみせました。彼はルーキーポイントでライバルたちを大きく引き離すトップを保っています。
佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)は、23番グリッドからのスタートでした。最後尾に近いポジションからの戦いとあって、徐々に、しかし着実にポジションを上げていくレースを戦いました。スタート直前の雨で、思いのほか低くなった気温、高い湿度と、プラクティスまでとはまったく異なるコンディションとなり、慎重に戦うことになりましたが、連続リタイアの悪い流れを断ち切るためには、苦しいハンドリングのマシンであってもゴールまで走りきる必要がありました。この日の佐藤はその任務遂行に向かって邁進し、12位でフィニッシュラインを切りました。
スコット・ディクソン(4位)「レース序盤は、マシンのハンドリングがアンダーステアで、苦戦していました。そのフィーリングをピットにうまく伝えられなかったということでしょう、私はアンダーステアを消すまでに時間がかかってしまいました。そしてレース終盤、私のマシンはコースのイン側を走るしかなくなっていました。アウト側にラインを取ると、アンダーステアが出てしまう状況に陥ったからです。そしてトップを走行中に、周回遅れの2台に接近しましたが、彼らをスムーズにパスできず、混乱した中で順位を下げました。あのままトップを走り続け、レースに勝てていたかどうかはわかりません。しかし我々にとって、とても残念な一日となったことは確かです」
佐藤琢磨(12位)「とても厳しいレースでした。自分たちとしてはハードに戦いました。難しい週末となっていましたが、レースではクルーたちがすばらしいピット作業を行ってくれました。アイオワでの我々には、スピードが不足していました。スピードをつけるべく努力をし、マシンを向上させることはできていたのですが、今日のレースは本当にハードなものになっていました。なんとかギリギリのところで、コース上にマシンを保っているような状態でした。こんなに厳しいレースは経験したことがありません。そう感じたくらいでした。次はトロント。ストリートレース、ロードレースがここからは続きますので、それらを戦い抜くことを楽しみにしています」
ロジャー・グリフィス | HPDテクニカル・ディレクター「作戦のよさもあって、スコット・ディクソンがレースの後半になってからトップに立ちました。そこからの彼は、スピードに乗っていて、優勝に向かって走り続けていました。しかし、無線でピットとのコミュニケーションにトラブルが出ていたドライバーが彼の前に立ちふさがり、スピードを下げたところをライバル勢にパスされる結果となりました。ポールポジションを獲得していたダリオ・フランキッティが、フォーメーションラップ中にエンジンにトラブルを出したという点でも、非常に悔しいレースとなりました。 今晩のレースですばらしかったのは、ルーキーのシモン・パジェノーの戦いぶりです。彼にとってバンクの急なショートオーバルでは初めての戦いでしたが、トップグループで戦う速さを見せ、ゴールまで走りきりました。 これで5週連続のレースが終了しました。1週間のインターバルがありますから、クルーたちは少しの休息を取ることができるでしょう。私たちも気分をリフレッシュしてトロントでのレースに臨みます」
順位 | No. | ドライバー | チーム | エンジン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 28 | R.ハンターレイ | Andretti Autosport | シボレー | 1:43:39.3031 |
2 | 26 | M.アンドレッティ | Andretti Autosport | シボレー | +0.1103 |
3 | 11 | T.カナーン | KV Racing Technology | シボレー | +2.7245 |
4 | 9 | スコット・ディクソン | Chip Ganassi Racing | Honda | +3.0075 |
5 | 77 | シモン・パジェノー | Schmidt Hamilton Motorsports | Honda | +3.8468 |
6 | 3 | H.カストロネベス | Team Penske | シボレー | +5.3061 |
7 | 8 | R.バリチェロ | KV Racing Technology | シボレー | +5.9890 |
8 | 20 | E.カーペンター | Ed Carpenter Racing | シボレー | +6.9856 |
9 | 38 | グレアム・レイホール | Chip Ganassi Racing | Honda | +7.1607 |
10 | 18 | ジャスティン・ウィルソン | Dale Coyne Racing | Honda | +1Lap |
11 | 83 | チャーリー・キンボール | Chip Ganassi Racing | Honda | +2Laps |
12 | 15 | 佐藤琢磨 | Rahal Letterman Lanigan Racing | Honda | +3Laps |
13 | 19 | ジェームズ・ジェイクス | Dale Coyne Racing | Honda | +5Laps |
16 | 98 | アレックス・タグリアーニ | Bryan Herta Autosport | Honda | DNF |
19 | 67 | ジョセフ・ニューガーデン | Sarah Fisher Hartman Racing | Honda | DNF |
20 | 14 | マイク・コンウェイ | A.J. Foyt Enterprises | Honda | DNF |
25 | 10 | ダリオ・フランキッティ | Chip Ganassi Racing | Honda | DNF |
順位 | ドライバー | チーム | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | W.パワー | Team Penske | 286 |
2 | R.ハンターレイ | Andretti Autosport | 283 |
3 | スコット・ディクソン | Chip Ganassi Racing | 271 |
4 | H.カストロネベス | Team Penske | 261 |
5 | J.ヒンチクリフ | Andretti Autosport | 256 |
6 | シモン・パジェノー | Schmidt/Hamilton Motorsports | 246 |
7 | T.カナーン | KV Racing Technology | 235 |
8 | ダリオ・フランキッティ | Chip Ganassi Racing | 216 |
9 | R.ブリスコー | Team Penske | 205 |
10 | グレアム・レイホール | Chip Ganassi Racing | 193 |
11 | ジャスティン・ウィルソン | Dale Coyne Racing | 188 |
12 | O.セルビア | Panther DRR Racing | 185 |
13 | M.アンドレッティ | Andretti Autosport | 173 |
14 | J.R.ヒルデブランド | Panther Racing | 173 |
15 | R.バリチェロ | KV Racing Technology | 164 |
16 | チャーリー・キンボール | Chip Ganassi Racing | 164 |
17 | E.J.ヴィソ | KV Racing Technology | 160 |
18 | 佐藤琢磨 | Rahal Letterman Lanigan Racing | 154 |
19 | E.カーペンター | Ed Carpenter Racing | 151 |
20 | アレックス・タグリアーニ | Bryan Herta Autosport | 142 |
21 | ジェームズ・ジェイクス | Dale Coyne Racing | 138 |
22 | マイク・コンウェイ | A.J. Foyt Racing | 137 |
23 | ジョセフ・ニューガーデン | Sarah Fisher Hartman Racing | 126 |
24 | S.デ・シルベストロ | HVM Racing | 111 |
25 | K.レッグ | Dragon Racing | 103 |
26 | S.ブルデー | Dragon Racing | 86 |
27 | A.ベアトリス | Andretti/Conquest Racing | 28 |
28 | タウンゼント・ベル | Schmidt Hamilton Racing | 26 |
29 | ミシェル・ジョルダイン | Rahal Letterman Lanigan | 16 |
30 | S.サーベドラ | Andretti Autosport | 14 |
31 | J.アレジ | Fan Force United | 13 |
32 | ブライアン・クラウソン | Sarah Fisher Hartman Racing | 13 |
33 | ウェイド・カニンガム | A.J. Foyt Racing | 13 |
順位 | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|
1 | シボレー | 72 |
2 | Honda | 63 |
3 | ロータス | 36 |