今季4回目の2連戦。インディアナポリスGPから2週連続開催となった第13戦サンマリノGPの初日のフリー走行は、最高気温が36℃を記録する猛暑となり、選手はもちろんのこと、バイクとタイヤにも厳しい条件がそろった。
トップタイムをマークしたのはバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、2番手にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。この両選手からわずかに遅れてダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が3番手。ペドロサに肉薄するタイムでアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)4番手、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)5番手と、Honda勢が上位につけた。以下、コーリン・エドワーズ(ヤマハ)、ミカ・カリオ(ドゥカティ)、ロリス・カピロッシ(スズキ)が僅差で続き、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)11番手、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)12番手、ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)17番手だった。
Honda勢トップタイムのペドロサは、セッション序盤から快調にラップを刻んだ。金曜日は通常、ベースセッティングの確認とタイヤの選択を行うが、ロッシ、ロレンソのヤマハ勢とともに首位争いを繰り広げた。しかし、セッション終盤にラジエーターキャップが破損する不運のトラブルがあり、最後のアタックができないままセッティングを終えた。ペドロサにとっては不完全燃焼の一日となったが、初日3番手とまずまずのスタートとなった。この日は、コース前半でヤマハ勢の2人にややアドバンテージ。しかし、後半セクションではペドロサの速さが印象的で、2日目の予選に向けて、2戦連続今季3回目のポールポジションへの期待が膨らんだ。
前戦インディアナポリスで2位。MotoGP初表彰台を獲得してホームGPを迎えたデ・アンジェリスが、ペドロサとわずか0.016秒差の4番手につけた。サンマリノ出身のデ・アンジェリスにとって今大会は、シーズンで最も大事なレース。ミサノは得意なサーキットではないと語るが、セッション開始直後から積極的な走りを見せて好調をアピールした。途中、勢い余って転倒するハプニングもあったが、地元ファンの声援の中で2戦連続表彰台獲得に向けて絶好のスタートを切った。
ドヴィツィオーゾにとっても、ミサノはホームGPとなる。第10戦イギリスGPでMotoGPクラス初優勝を達成。しかし、第11戦チェコGP、第12戦インディアナポリスGPと2戦連続で4位と、僅差で表彰台を逃しているだけに、今大会は3戦ぶりの優勝と表彰台を狙っている。ドヴィツィオーゾは今大会からサスペンションのメーカーをオーリンズに変更。セッティングを始めたばかりだが、デ・アンジェリスから0.220秒差の5番手と好調な滑り出しだ。今季2勝目を狙うドヴィツィオーゾに、ミサノに詰めかけたファンからは、ひときわ大きな声援が送られていた。
左足首を負傷しているデ・ピュニエは、チェコGP、インディアナポリスGPに比べて快調なライディングを見せた。しかし、この日はコーナーでの旋回性に課題を抱えて11番手。エリアスもセットアップに苦戦して12番手だったが、両選手ともに3番手のペドロサから1秒差以内。2日目のタイム短縮とポジションアップに期待される。タイトなコーナーと高速コーナーが続くミサノ・サーキットで初めてMotoGPマシンを走らせるタルマクシは17番手だった。
250ccクラスは、ヘクトール・バルベラ(アプリリア)がトップタイムをマーク。2番手にマティア・パシーニ(アプリリア)、3番手に現在総合首位の青山博一(Scot Racing Team 250cc)が続いた。この日は気温が高く、エンジンの水温上昇対策に多くの時間を割いた。その一方、車体のセッティングは順調に進み、タイヤの選択もほぼ決まった。予選での今季初のポールポジション、そして決勝での今季4勝目への期待が膨らむ。以下、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)6番手、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)10番手、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)14番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)19番手。Honda勢の2日目の巻き返しが注目される。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1:35.304 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.126 |
3 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.776 |
4 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +0.792 |
5 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.012 |
6 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.046 |
7 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.115 |
8 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.204 |
9 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.284 |
10 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.304 |
11 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.752 |
12 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +1.753 |
13 | 44 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | +1.822 |
14 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +1.830 |
15 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.002 |
16 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +2.150 |
17 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +2.565 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | 1:39.212 |
2 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.472 |
3 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.836 |
4 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.977 |
5 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +1.050 |
6 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.578 |
7 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +1.639 |
8 | 6 | A.デボン | アプリリア | +1.859 |
9 | 16 | J.クルーゼル | アプリリア | +1.885 |
10 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1.894 |
14 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +2.547 |
18 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +4.311 |
19 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +4.502 |
23 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +5.867 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 38 | B.スミス | アプリリア | 1:45.297 |
2 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.323 |
3 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +0.481 |
4 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +0.669 |
5 | 7 | E.バスケス | デルビ | +0.774 |
6 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +0.823 |
7 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +0.829 |
8 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +0.969 |
9 | 51 | R.モレッティ | アプリリア | +0.980 |
10 | 77 | D.エジャーター | デルビ | +1.068 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3番手)
「通常通り、バイクのセットアップとブリヂストンのタイヤのテストをした。走り出しからペースもよく、全体的にいい状態だった。明日はもっとタイムを上げられると思う。今日はとても暑かったが、週末にかけて気温が下がることが予想されるので、コンディションに合わせてセットアップをしていかなければならない。今日はセッション終盤にラジエーターキャップが破損し、水が吹き出して手にかかってしまったのでコースサイドにバイクを止めて走行を取りやめた。アタックができなかったが、明日はトップの2人との差を縮めたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 4番手)
「ベースのセッティングが決まってからの、この数戦は、初日から好調な走りができている。今回もいいスタートが切れて、とてもうれしかった。しかし、リアのグリップに若干、問題を抱えていて、転んでしまった。そのために2号車に乗り換えた。その間に1号車の修理も終わり、セッション終盤に1号車でベストタイムを出すことができた。今日はいいペースで走れた。明日に向けてまだ改善できる部分がたくさんあるので、明日もこの調子をキープしたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 5番手)
「ミサノは自分にとって特別なサーキット。たくさんの思い出がある。金曜日だというのに、パドックの雰囲気は特別なものだった。今日はオーリンズのサスペンションで走り始めたが、貴重なデータを得ることができた。セッティングも進んだ。ここは路面が荒れているのですぐにウイリーしてしまう。ストレートを走っていても常に細心の注意を払わなければならない。まだまだやることはたくさんあるが、走り出しとしては悪くなかった。この調子をキープしていきたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「初日としては悪くないが、ヤマハ勢の2人とのギャップが開いているので、その差を詰めなければならない。今日の走行を終えて、明日、やらなければいけないことも決まった。バイクのセットアップを中心に確実にステップを踏んでいきたい。ダニは、セッション終盤にアタックしようとしたが、ラジエーターキャップが破損して走行を取り止めた。明日に向けてすでに対策をしたので心配はない。ドヴィツィオーゾは、開発をかねて今回からサスペンションをオーリンズに換えた。チェコGP後に行ったテストと同様のコメントを得られたし、明日はポジティブな部分をさらに伸ばしていきたい。全体的にセットアップは順調に進んでいる。ここはドヴィツィオーゾにとってもホームGP。ファンも多いのでいつも以上に力が入っている。この数戦、エリアス、デ・アンジェリスが表彰台に立っている。今大会もHonda勢全体が好リザルトを残せるように全力を尽くしたい」
青山博一(250cc 3番手)
「今日は気温が35℃前後まで上がり、水温も70℃を超えてしまった。こういう天候になることは予想していたので、水温対策をしてきたのだが、それでも厳しい状況だった。水温が上がりすぎたことで全体的にパワー感がなく、いまいちエンジンに伸びがなかった。しかし、足回りのセッティングは悪くないので、明日に向けてさらに水温対策をしたい。それで効果がどこまで上がるか分からないので、できるだけコーナーでタイムをかせげるようなセットアップにしていきたい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 6番手)
「ケガをしている背中の状態があまりよくないので、今日は着実にペースを上げていった。セッション後半はバイクの状態もよく、フィーリングもよかった。バイクの状態には満足しているが、明日はさらにセットアップを進めたい。身体の状態が100%じゃないのが残念だ」
富沢祥也(250cc 19番手)
「ミサノは大好きなサーキット。走っていて楽しかった。しかし、前回のインディアナポリスでフレームを曲げてしまい、それを修正したのだが、完全に直っていないようだった。右と左のコーナーでフィーリングが違っていた。気温が高いせいか、エンジンのフィーリングも完ぺきではなかったが、初めてのコースなのでできるだけ周回数を刻んだ。明日に向けて、フレームをどうしようかとチームと相談している。明日はフレームを交換して走ることになるかも知れない」