Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える

多くの人の足となれる車両を作りたい──PCU開発に携わるエンジニアが語る二輪EV

カーボンニュートラル達成のため、Hondaでは二輪をはじめ様々な事業で電動化を進めています。二輪EVを構成するのは重要部品ばかりですが、そのなかでも快適な操作性を叶えるパワーコントロールユニット(以下PCU)*は制御を工夫しなければならない大切なパーツです。二輪EVのPCU開発に携わる森がHondaでの二輪EV開発にチャレンジしたきっかけや、仕事のやりがいについて語ります。

*モーターの駆動およびバッテリーへの回生を、車両の走行状況とバッテリーの状態に応じて最適に制御する装置

森 雅裕Masahiro Mori

本田技術研究所 先進パワーユニット・エネルギー研究所 PUシステム開発室 第2ブロック

2019年に中途入社し、エンジニアとして二輪EV開発に携わる。2021年からはソフトとハードの両面から次世代PCUの開発を担当。

広く普及する二輪EVを作るため、重要部品であるPCUを開発

循環型社会の実現に向け、世界的にカーボンニュートラル達成に向けた流れが加速しています。Hondaは、2050年にHondaの関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルを目指しています。目標達成への取り組みのひとつとして二輪の電動化を位置づけています。

Hondaは、電動二輪車の開発に積極的に取り組んできました。さらなる二輪EVの普及を目指し、2022年現在法人向けに発売している電動ビジネススクーターBENLY e:をパワーアップさせた次世代二輪EVの開発を進めています。

森は先進パワーユニット・エネルギー研究所PUシステム開発室に所属し、バッテリーのエネルギーを二輪の駆動力へと変えるPCUを開発しています。

森 「二輪EVの重要部品というと、まずバッテリーやモーターが挙がるでしょう。しかし、このふたつをそのままつないでも二輪車は走り出しません。バッテリーのエネルギーをモーターの回転エネルギーに変えるための制御を行うPCUが必要です。

PCUとモーター、バッテリーを組み合わせることで、はじめて適切なエネルギーマネジメントシステムを構成でき、ユーザーの操作に合わせた駆動を効率よく実現できます」

森はPCUの開発担当エンジニアとして、ソフトとハードの両面を見ています。

森 「ソフト面では、トルク制御・電流制御を担当しています。モーターを効率的に駆動し、車両全体として快適な乗り心地を提供するために、どのような制御にすればいいかを検討しています。

一方ハード面では、回路構成を見ています。適正な価格で二輪EVを提供するためには、コストを抑えつつ、機能が損なわれないようにしなければなりません。開発をする際は必要十分な機能を持つ構成を複数考え、理論・シミュレーションによる検証と、過去の知見から見通しを立てて、コスト的に有利かつ現実的な案で試作をしていきます」

試作後は、PCUの動作検証や性能測定を実施。課題がある場合は改良案を検討して、より高品質なPCUを目指しています。さらに、森が所属するパワーユニット・エネルギー研究所ではPCUのほかにモーターの開発も行っているため、PCUとモーターの検討結果をすり合わせることができます。

PCUとモーターの両面でコストと性能を追求し、パワーユニットとしてより良い製品を提供できるよう開発を進めているのです。

電気領域を専門とした学生時代。エアコン開発を経てからHondaの二輪へ

森は2019年に中途でHondaに入社して以来、ずっと二輪EVの開発を担当しています。Hondaに入社する前は、エアコンなど空調関連の開発に携わっていました。

森 「エアコンも電気を制御してモーターを動かす構造になっているので、モーター制御の観点から見るとベースはEVと大きく変わりません。私は大学でも電気領域を専門としており、学生時代から一貫して電気制御技術に携わってきました」

Hondaに転職するきっかけとなったのは、前職時代に出張した際に見た中国の光景でした。

森 「当時中国では、日本ではあまり見かけない電動スクーターがたくさん走っていました。二輪EVは日常的な足として使われているように見え、将来的には日本にも広がっていくだろうと思ったんです。二輪EVを作っている業界に可能性を感じました」

そこから、当時二輪EVを作っていたメーカーを探してHondaに行き着きました。Hondaは二輪車のシェアが世界一であるだけでなく、さまざまな二輪車を世の中に送り出しており、多くの人に向けていろいろな二輪EVを開発することができそうだと考え、転職を決意します。

Hondaに転職してから、森は前職の経験を活かしつつ新たな経験を積み重ねています。

森 「前職で身につけたモーター制御技術は、二輪EVの開発に活かされていると思います。一方、二輪の動きは複雑で、それに合わせて制御するのは新しい経験です。二輪は乗っているユーザーがスロットルを動かして運転するため、指令を出す人によって運転の仕方が異なります。そこを考えながら開発を進めるのはおもしろいですね。

また、二輪EVは人が乗るものなので、安全が最優先です。さまざまな状況下で安全を確保できるように信頼性を向上させる必要があるということが今までとの大きな違いだと思います」

業界が成熟しきっていないからこそ、自分のアイデアを提案できる

Hondaにはさまざまな部署があり、雰囲気や仕事の進め方も部署によって大きく異なります。森が所属する電動パワーユニットの開発部署は立ち上がったばかりの部門。それぞれのメンバーが知恵を出し合い推進できることが魅力です。

森 「二輪EV業界は技術的にまだまだ開発途上で、成熟しきっていません。そのため、メンバーが意見を出し合い、議論できるのが楽しいです。成熟した歴史ある業界だと、なかなか新参者が口を挟むことはできないと思いますが、この業界では二輪EVを作り続けて数十年という人はほぼいないので、これから先の未来に向けて柔軟な意見を自由に交わせるのがおもしろいですね」

二輪EV業界が黎明期にあるからこそ、開発もやりがいを感じながら進められると森は考えています。

森 「細々とした部分に限らず、開発のコアな部分にも自分のアイデアを提案することができます。自分の意見が反映されていくのは楽しいですね。

たとえば、スロットルの開き方に対してどのようにトルク制御の指令を変えていけば心地よいフィーリングになるか、異常発生時にどのように電流を変化させればより安全に安定して停止できるか。こういった、乗りやすさや信頼性に直結するコアな部分に自分の意見が取り入れられるのはやりがいを感じるところです」

気軽に買えて日常的に使える二輪EVを作るため、開発に励む

二輪は四輪に比べて小さい分、バッテリーやPCUを載せるスペースが限られています。PCUを小さくすればするほどスペースに余裕ができるので、PCUの小型化は今後の課題です。

現在森はPCUの開発エンジニアとして検討を進め、性能・コストを追求したより良い製品を提供できるよう開発を進めていますが、関わった製品が世に出るのは、これからです。

森 「私が作りたいのは、多くの人の足として使える二輪です。気軽に買えて日常的に使えるものに携わっていきたいですね。二輪だけでなく、新しいモビリティもおもしろそうだと思っています。機会があれば取り組んでみたいです」

Hondaはさまざまな種類のバイクだけでなく、四輪や新たなモビリティなども手がけています。電気領域を専門としてきた森にとって、多種多様な製品の開発に携われる可能性があるHondaの環境は心地よいものです。

森 「今後はHondaで多くの人に使ってもらえるモビリティを作りたいですが、直近の目標は良いPCUを作ることです。そして、将来的には広い範囲で高度な技術と知識を持ったエンジニアになりたいと考えています。電気で動いているものはたくさんあるので、おもしろいものを見つけて開発に携わりたいですね」

自らの専門性を活かしながら、広く普及させる二輪EVの開発にこだわっている森。

PCUという重要部品の開発に携わりながら、気軽に使え、多くの人に愛される次世代二輪EVの発売を目指し、これからも森の挑戦は続きます。

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