HONDA The Power of Dreams

欧州の厳しい道を究めるために必要なボディは、剛性、特に捻れ剛性を徹底的に強化。路面のアンジュレーションや、高速走行時の高い入力によるボディの歪みを抑えてサスペンションを有効に機能させ、安定した挙動としなやかな乗り味を実現している。

専用チューニングを施した軽量高剛性ボディ
軽量化と高い剛性を両立させるために、コンピューターシミュレーションと欧州のさまざまな道でのテスト走行を重ね、最適なボディ強化ポイントを見いだした。
具体的には、欧州ベースモデル（5ドア）に対し、フロントビームの追加、フロントダンパー取り付け点剛性の向上、ミッドフロアクロスメンバーの板厚アップによるリアのコンプライアンスブッシュ取り付け部剛性の向上などである。あわせて、ボディ材料に高張力鋼板を多用することで軽量高剛性ボディを実現している。

揺るぎない高速走行安定性をもたらす空力性能
シャシー性能とあわせ高速での走行安定性を左右する空力性能。
シビック TYPE R EUROにおける空力セッティングの考え方としては、まずボディ下面の流れをよくすることで、空気抵抗（CD）の増加を抑えながらクルマ全体の揚力（CL）を低減。さらにリアスポイラーを装備することで前後の揚力をバランスさせている。
ボディ下面には、フロントストレーキをはじめ、大型エンジンカバー、フロアアンダーカバー、リアストレーキ、サスペンションビームカバー、リアアンダーカバーなど、多くのアンダーカバーに加え、跳ね上げ形状のリアフロアを採用し、空気の流れを整え、欧州ベースモデル（5ドア）に対し15mm車高を低減することで空力効果を高めて揚力を低減。また、大型のリアスポイラーは、前後リフトバランスの最適化に加え、CD値の低減に大きく貢献している。

サスペンションは、サーキット走行のみを考えれば引き締めることで安定性を高めるところだが、安定性を確保しつつ、よりストロークさせる方向でしなやかさの確保に注力した。

SACHS社製ダンパー採用の専用サスペンション
フロントにマクファーソン式ストラット、リアはパッケージングと走りの両立を図るトーションビームのサスペンションを採用。変化に富んだ欧州の道での走り込みを行うことで、シビック TYPE R EUROのために徹底した専用開発を行った。
具体的には、欧州ベースモデル（5ドア）に対しリアトレッドを20mm拡大。前後ともスプリング、ダンパー、ブッシュ類を強化し、車高も15mm低減。高いアベレージスピードでワインディングを駆け抜けるための、しっかりとした踏ん張り感、レスポンスに優れたハンドリングを追求した。
また、前後バランスを最適化した上で、欧州でも評価の高いSACHS社製ダンパーを採用し、小入力時には高い減衰力でハンドリング領域での操縦安定性を確保する一方、大入力時の減衰力を必要以上に高めない設定でアンジュレーションのある路面でのフラット感を向上。揺るぎない走行安定性としっかりとした乗り味を実現。
さらに、電動パワーステアリングのモーターをブラシレスとし、操舵時の慣性マスを低減させるとともに、ステアリングギアボックスの取り付け点剛性を向上。高速での安定性とワインディングでのリニアなステアフィールにとことんこだわった。

タイヤは、ブリヂストンのPOTENZA RE050A 225/40R18を採用。シビック TYPE R EUROのサスペンションセッティングや前後重量配分にあわせ、タイヤの構造的な剛性、グリップ、コーナリングパワーの前後バランスを最適化する専用開発を行っている。また、天候の変化に対応するドライ路面とウェット路面での高次元の性能、優れた乗り心地も確保。軽量なアルミホイールともあいまって、高速走行時の揺るぎない安定性と質の高い乗り味、きびきびとしたハンドリングに寄与している。

ブレーキは、フロントがφ300mmのベンチレーテッド、リアがφ260mmの大径ディスクブレーキを採用。マスターパワーの専用セッティングと、ペダルレシオの低減により、しっかりと剛性感のある操作フィールを実現させている。電子制御で前後輪の制動力配分を行うEBD、急制動時の車輪のロックを防ぐABSも装備し、優れたブレーキスタビリティも追求。
また、ブレーキディスクの周囲に大型のスプラッシュガードを設置し、ディスクを保護するとともにホイールまわりの空気の流れを整流。空力にも寄与させながらブレーキの冷却性を高め、耐フェード性を向上させている。