鈴鹿8時間耐久ロードレース
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失敗から生まれる勝利。Part3 : 勝利へ向けての準備

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Part3 : 勝利へ向けての準備

レースある限り

“それで、来年勝てるのか?”という組織の上層部からの問いがある。“勝つためにやっているのであります”と答え、ありとあらゆる失敗の原因を自ら分析する行動が、成功に結びつくか。その分かれ道を、失敗の経験から学んだ。

Hondaの8耐における勝利は、常に起きる失敗を克服し、細かく軌道修正しながら積み重ねてきた成果以外の何物でもない。失敗を分析すればするほど、その原因はいくつかの明確な理由に分類されることを、Hondaはその経験から知っている。そして、勝利に慢心すれば、必ず次で大きな失敗に見舞われることも知っている(このことは、さまざまな歴史を見ても明らかだ)。

「8耐は“勝ったのか、負けたのか”という結果しかない。レースという行為自体が、誰も歩いていない雪原を歩くようなもので、後を振り返ってもそこには足跡しか残っていない。後を振り返らずに、前に向かって歩き続けるしかないと思っている」と言う。

その足跡は、成功と失敗という双方の足によるものだが、前に大きく踏み出すために、深く大きくついている足跡は、間違いなく失敗という名前の足跡である。

『レースの世界はとかく技術先行とされるが、それだけではない。初めは個々に“夢”を持つことが大切である。その次に“志”があり、それから技術があり、物事には順序がある。技術は目に見える形で運用でき、誰でも分かる。しかし、その技術を100%使いこなすのは人である。扱う人に夢や志がなければ、勝利の可能性は低い。夢や志を持った人が絞り出す情熱には驚きのパワーを感じる』

『その志を後押しするのは大切なファンであり、お客さまの応援である。チームがどんなに苦しくても辛くても、そこにはお客さまからの声援がある。その温かい言葉と情熱は、痛いほど肌で感じる。レース後の拍手を心のフォルダーに詰め込んで、この先の行動の糧とする。常にお客さまがいて、お客さまと向かいあっている現場だからこそ、ここまで勝率を上げながらスキルを磨き込むことを学んだ』

勝つために何をすべきか? 過去の結果に対して、どう分析をするのか? ──“わたしの記録”は、8耐を戦う人々に、そしてレースを戦うすべての人々に問いかけている。

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