FIA-F4 2018 | HFDP 総集編

HFDPの#5 角田裕毅が7勝を記録して王座を獲得
来季は欧州へ渡りFIA F3へステップアップ決定

世界のモータースポーツの第一線で活躍できるレーシングドライバーを育成するためのプログラムであるHFDP(Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)は、#5 角田裕毅、#6 名取鉄平、#7 大滝拓也、#8 佐藤蓮の4人のドライバーを2018年のFIA-F4選手権シリーズに送り込んだ。#7 大滝は3シーズン目、#5 角田は2シーズン目、#6 名取は本格参戦としては1シーズン目、#8 佐藤はデビューシーズンとなる。

昨年ランキング3位に終わった#5 角田は、2シーズン目の今年は全勝でシリーズチャンピオンになることを目標に開幕を迎えた。ところが岡山国際サーキットで開催されたシリーズ開幕戦で優勝したのは#6 名取だった。#5 角田はポールポジション(PP)からスタートした直後に#7 大滝と接触し、レースを終えてしまう。#6 名取はこの混乱をうまくすり抜けてトップに立ち、FIA-F4初優勝を遂げた。

思いがけない敗北を喫した#5 角田は、落ち着いて翌日の第2戦に臨むと、圧倒的な速さでポール・トゥ・ウインを遂げた。そこからの#5 角田は本来の速さを見せつけ、富士スピードウェイでの第3戦と第4戦、鈴鹿サーキットでの第5戦と第6戦で優勝を飾る。この5連勝でシリーズポイントランキングトップに立って2位以下を大きく引き離した。開幕戦で優勝した#6 名取はこの間、着実にポイントを重ねてランキング2位に続き、3位にはFTRSスカラシップF4の#1 小高一斗がつけた。

シリーズ前半を圧倒的な速さでリードした#5 角田だったが、2カ月の長いインターバルを経て富士スピードウェイで開催された第4大会(第7戦・第8戦)では#1 小高の反撃を受けて2連勝を許し、自身の連勝記録も途切れることに。第5大会スポーツランドSUGOで#5 角田は速さを取り戻して第9戦・第10戦ともPPを獲得したが、路面コンディションが変転した第9戦では#6 名取が開幕戦以来の優勝を遂げ、#5 角田は3位。しかし第10戦ではポール・トゥ・ウインを飾り、第6戦以来の勝利となる今季6勝目を記録してタイトル争いを再び優位にした。

FIA-F4

このまま#5 角田はチャンピオン争いで逃げきるかと思われたが、シリーズチャンピオン王手の状況で迎えたオートポリスの第6大会では、その勢いに思いがけないブレーキがかかってしまう。公式予選で#5 角田は第11戦・第12戦とも3番手タイムを記録したにもかかわらず、セッション終了直前により上位を目指してタイムアタックしようとしたところ勢い余ってコースオフし、タイヤを2本壊してしまった。

FIA-F4規則では、予選と決勝の間に2本以上のタイヤを交換した場合は予選でのタイムを抹消すると定められているため、タイヤ交換を余儀なくされた#5 角田は第11戦・第12戦とも最後尾スタートとなった。両レースとも猛然と追い上げたものの、獲得したポイントは第11戦の4ポイントのみにとどまった。一方、ランキング2位で第6大会を迎えた#6 名取は2戦連続で3位、ランキング3位の#1 小高は2戦連続で2位に入賞、それぞれシリーズポイントを加算し、一気に#5 角田に迫る。シリーズ最終大会を前にチャンピオン争いの行方は見えなくなった。

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#5 角田は第6大会を終え、ポイントランキングトップの座を守ってはいたが、#6 名取が14ポイント差、#1 小高は29ポイント差に迫り、ツインリンクもてぎで開催されるシリーズ最終大会の結果次第で逆転される可能性も生じ、チャンピオンを目前にしてプレッシャーにさらされることになる。

迎えたシリーズ最終大会、ウエットコンディションで行われた公式予選では第13戦・第14戦とも#6 名取がPPを獲得、#5 角田は、ウエット路面での走行で義務づけられたリアライト点灯を忘れ、点灯し直すためのピットインにより、タイムアタックのタイミングを失った結果、第13戦で4番手、第14戦で2番手となった。#1 小高は8番手、7番手を獲得した。

第13戦スタート前に路面は乾き、レースはドライコンディションで始まった。#5 角田は4番手から落ち着いてスタートし、レース序盤のうちに前を走る2台をオーバーテイクして2番手へ進出すると、トップを走る#6 名取との間隔を詰め、9周目に順位を入れ替えてトップに立つ。そのままチェッカーフラッグを受け、#5 角田は今季7勝目を飾り、最終レースを前にポイントランキング2位の#6 名取とのポイント差を21ポイントに広げてチャンピオン争いを有利に持ち込んだ。

シリーズ最終レースとなる第14戦、PPの#6 名取は優勝を目指し、トップのままレースが始まる。#5 角田は、#6 名取が優勝しても8位以上に入賞すればチャンピオンになれるが、優勝でシーズンを締めくくろうと#6 名取に迫った。しかしレース後半はタイヤ消耗が進んだこともあって、確実に結果を残す作戦に切り替えた。レース終盤セーフティカーがコースインし、そのままの順位で終了したため、#6 名取は今季3勝目を挙げ、2位に入賞した#5 角田が念願のシリーズチャンピオンとなった。15年にFIA-F4選手権が始まって以来、ドライバー部門でのチャンピオンはHFDPにとって初めての栄誉だった。ランキング2位には#6 名取がつけ、#8 佐藤は7位、#7 大滝は8位。また、チーム部門ではHFDPが3年連続のシリーズチャンピオンとなって18年シーズンを終えた。

念願のシリーズチャンピオンを獲得した#5 角田は、F1世界選手権最終戦の翌週にアブダビで開催されたFIA Formula 3 Championship(旧GP3)合同テストに参加するとともに、19年の同シリーズへの参戦(Jenzer Motorsport)を発表。将来のF1参戦を目指してステップアップすることが決まった。

- POINTS -

順位 ドライバー チーム 総合
1角田裕毅HFDP/SRS/コチラレーシング245
2名取鉄平HFDP/SRS/コチラレーシング231
3小高一斗FTRSスカラシップF4188
4川合孝汰DENSO ルボーセ IPG F4135
5菅波冬悟OTG DL F110119
7佐藤蓮SRS/コチラレーシング58
8大滝拓也SRS/コチラレーシング57
    
15小山美姫DRPF410

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