2018年10月12日(金)

Honda Formula Dreamプロジェクト特別レポート
若手選手それぞれが描く、“夢”のかたち

FIA-F4選手権 角田裕毅(#5)、名取鉄平(#6)

将来、四輪モータースポーツの世界で活躍したいと願う選手たちの出発点として、世界共通規格のFIA-F4は世界的に注目を浴びています。日本国内で開催されている“FIA-F4選手権(FIA-F4 Japanese Championship)”でHFDP(Honda Formula Dream Project)に属する角田裕毅(18歳)、名取鉄平(18歳)、大滝拓也(22歳)、佐藤蓮(17歳)の4名は、いずれもSRS(鈴鹿サーキットレーシングスクール)の出身者であり、Hondaは彼らの挑戦をサポートしています。

そして、この世界では数少ない女性選手として挑戦し、SRS(鈴鹿サーキットレーシングスクール)出身の小山美姫(21歳)も“夢”に向かって努力しています。

2018年度FIA-F4選手権は9月末現在で全7大会(14レース)のうち5大会(10レース)を終えてシーズンも大詰めを迎えていますが、シリーズを闘う選手たちに心境を語ってもらいました。

ここまで圧倒的な成績でシリーズチャンピオンに早くも王手をかけているのが、今年2シーズン目のFIA-F4を闘っている角田です。

角田裕毅

「1年目の去年は、走った経験のないコースが多かったです。でも2戦目で優勝できたし速さという点ではレースごとに進歩して自信もできたのですが、途中スタートでミスを繰り返して結果を出せないことが続いてしまいました」と角田は昨シーズンを振り返ります。今、角田はなにを目標にしているのでしょうか。

角田:「僕の目標はF1でチャンピオンになることです。そのためにも早くヨーロッパへ行って闘いたいと思っています。でも冷静に考えてみてFIA-F4でチャンピオンを取ってもいないのにヨーロッパへ行っても、優勝できるだけの実力がないのであれば意味がないと思っています。だから自分をさらに磨いて今年FIA-F4のチャンピオンを取って自信をつけてから行きたいです。だから今年はシリーズ全勝するくらいでないと先はないと覚悟してシーズンインしたのですが、その目標は達成できなくなってしまいました。でも圧倒的な結果でチャンピオンになります」

シリーズチャンピオン目指して突進する角田を追いかけて、今年FIA-F4デビューシーズンであるにもかかわらず、すでに2レースで優勝を飾りランキング2番手につけているのが名取です。1年目のFIA-F4を名取はどう闘っているのでしょうか。

(左)名取鉄平、(右)角田裕毅

名取:「ルーキーイヤーですが、毎戦毎戦勉強になっています。開幕戦では、速い選手に大きな差を付けられていたのですが、自分でもレースごとにレベルが上がって勝てるようにもなりました。でも、この先本当に闘うためには足りないことがまだいっぱい残っているのも事実です」

名取も角田同様、夢は「F1ドライバーになってチャンピオンになること」と言います。その通過点としてFIA-F4に大きな意味を見い出しているようです。

名取:「周囲はみんな同年代のF1を目指しているドライバーたちです。FIA-F4は彼らと切磋琢磨しながら自分のレベルを上げられるカテゴリーです。もちろんヨーロッパを意識はしていますが、行くならFIA-F4でしっかり自分の力をつけて優勝が狙えるレベルの選手になってからでないと意味がないと思います。残り2大会4レース、しっかり闘って来年につながる一年にするつもりです」

名取鉄平

大滝は今年3シーズン目を迎えています。これまで2勝、昨年はポイントランキング5位となっていますが、今年はまだ優勝がなくポイント争いでは厳しい立場に追い込まれています。大滝もそれを自覚しています。

大滝:「四輪のレースはほとんどしたことがない状態でFIA-F4にデビューして最初は大変でしたが、最近になって、いろんなつじつまが僕の中で合ってきました。だからと言って今年は3シーズン目で、4シーズン目はないと思っています」

大滝の目標は、「レースで生活を成り立たせる人生」です。

大滝:「僕はレース以外には、なんの娯楽もいらないと思っている人間です。今は、スクールのときから夢見ていた世界で闘えることになって、夢のようなステージに立たせてもらってレースをしています。できればこのステージを降りたくありません。走りや速さに関しては自信があるので、残り4戦、後がない状態ですけど、自分が速いということをできる限り周囲にアピールしたいです」

大滝拓也

名取とともに今年FIA-F4デビューシーズンを迎えたのが佐藤です。佐藤は今年8月に17歳となったばかりの最年少選手ですが、初めての四輪レースを今年経験して早くも多くのことを吸収しつつあるようです。

佐藤:「最初に乗ったときに比べれば成長したと思いますが、変に慣れてきて、自分だけが気持ちでがんばってしまい、マシン特性に合わせた走りができなくなっていたように感じます。シーズン終盤は、考え方を変えてしっかりレースに取り組もうと思います」

佐藤の夢もやはりF1であり海外での活躍です。しかし先は急いでいないようです。

佐藤:「一年レースを闘って、ようやくフォーミュラカーの乗り方、走らせ方が分かってきて一歩前進というか、やっとスタートラインに立ったのだなと思います。今年はしっかり学んで、来年はもっと上のレベルで闘えるようになりたいです。もちろんヨーロッパで活躍している先輩たちの動向はいつも気にして確認していますし、できるだけ早くヨーロッパへ行きたいです。でも今僕がやるべきなのは目の前にあるFIA-F4で一つひとつ学んでいくことだと思います」

佐藤蓮

小山は、数少ない女性選手でありながら、めきめきと実力をつけ、フル参戦している今年はすでにシリーズポイントも獲得してランキング15番手につけています。

小山:「父親が厳しい人で、幼稚園くらいからお風呂のあとで腹筋を100回やらされたり、幼稚園休んで雨の中なのにカートで走らされたりしてきました。でも自分も好きでやっていて、勝つためには努力をしないといけないと思っていたんです」

小山美姫

女性レーシングドライバーとして自分の立場をどう思っているのでしょうか。小山は迷うことなく言います。

小山:「フォーミュラカーは女性には無理だよ、やめろよと言われました。でも、私は少なくともこのカテゴリーでは女性の限界はないと思います。毎日ジムに行ってトレーニングしているので体力で負けている気はしません。なにより、クルマを運転するのが好きなんです。特にフォーミュラカーは操っている感じがあって好き。難しいことが好きなんです。今は、走れば走るほど、自分でつかみきれていないものが見つかる状態です。それがおもしろいです。だから(もっと難しいはずの)F3、SUPER FORMULAとステップアップしてみたいです」

小山美姫

夢を追いかける若いドライバーたちをHondaはこれからも支援します。どの選手がどんな夢を実現させるのか、モータースポーツファンの皆さまからも応援をよろしくお願いします。

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