最終戦バレンシアGPのフリー走行は、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)がトップタイムをマーク。ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が僅差で続き、5番手にランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)、6番手にアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)、8番手にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)と、Honda勢の4選手がトップ10につけた。この日は、終日青空が広がるも、強い風が吹きつける難しいコンディションとなった。その風に選手たちは苦しめられることになったが、Honda勢の4選手は、順調にセットアップを進めた。
地元Vと今季2勝目を狙うペドロサは、走り出しから快調にラップを刻んだ。しかし、強風のために100%の走りができなかった。特に、マシンの敏速な切り返しが必要となるコース中盤のセクター3でタイムロス。不完全燃焼の走行となったが、トップタイムをマークしたストーナーから0.428秒差の3番手と、2年ぶりのバレンシアGP制覇に向けて順調なスタートを切った。バレンシア地方は、週末にかけて強い風が吹きつけることが予想されるが、地元ファンの大きな声援を受けるペドロサは、2日目以降のセクター3の攻略に自信を見せ、予選では今季3回目のPPを狙う。
デ・ピュニエも5番手と順調なスタートを切った。前戦マレーシアGPでは、初日、2日目とセットアップに苦しみ、決勝ではセットアップが決まるも痛恨の転倒を喫した。その雪辱に燃える今大会の初日は、前戦のうっぷんを晴らすように、好走を見せた。前戦ではセットアップが決まらず12位とフラストレーションのたまるレースとなったデ・アンジェリスは、6番手につけた。タイヤのチャタリングとグリップ不足にやや苦戦するも、持ち前のアグレッシブな走りで着実にタイムを短縮した。今季2回目の表彰台に闘志を燃やす。最終戦で今季2勝目と2回目の表彰台を狙うドヴィツィオーゾは、この数戦、課題となっているサスペンションのセッティングに集中。初日8番手に終わるも、2日目のタイム短縮とポジションアップに自信を見せた。
また、ペドロサ同様に地元大会となるトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)は、リアタイヤのグリップに苦しんで14番手。バレンシア・サーキットを得意とするガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)も17番手と出遅れたが、2日目のばん回に気合を入れている。
250ccクラスは、タイトル王手で最終戦を迎えた青山博一(Scot Racing Team 250cc)が4番手と慎重なスタートを切った。今大会は、タイトルを争うマルコ・シモンセリ(ジレラ)が優勝しても、11位以内でフィニッシュすれば自力でタイトルが決まるという圧倒的に有利な状況だが、表彰台に立ってタイトルを決める意気込みだ。以下、5番手にラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)、7番手にヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)、9番手にラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)と、MotoGPクラス同様に4選手がトップ10で初日を終える好調なスタートとなった。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | 1:32.813 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.382 |
3 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.428 |
4 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.686 |
5 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.097 |
6 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.293 |
7 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.310 |
8 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.569 |
9 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.614 |
10 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.649 |
11 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.883 |
12 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +2.046 |
13 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +2.052 |
14 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +2.060 |
15 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +2.239 |
16 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +2.318 |
17 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +2.445 |
18 | 44 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | +2.645 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | 1:36.185 |
2 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.317 |
3 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +0.681 |
4 | 4 | 青山博一 | Honda | +0.739 |
5 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +0.914 |
6 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.983 |
7 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.028 |
8 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +1.088 |
9 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +1.241 |
10 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +1.621 |
15 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +2.101 |
18 | 73 | 青山周平 | Honda | +2.497 |
21 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +3.923 |
DNQ | 33 | W.ダンロップ | Honda | +9.901 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 1:42.536 |
2 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.193 |
3 | 78 | M.シュローター | Honda | +0.211 |
4 | 33 | S.ガデア | アプリリア | +0.389 |
5 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +0.565 |
6 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.658 |
7 | 6 | J.オリベ | デルビ | +0.735 |
8 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +1.098 |
9 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +1.108 |
10 | 7 | E.バスケス | デルビ | +1.122 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3番手)
「今日は風が強く、コーナリングに影響した。特にセクション3はバイクのコントロールが難しかった。週末にかけて同じような天気が続きそうなので、今日のセッションは、強風に慣れるためにもよかった。路面はあまりきれいではなかったが、ブリヂストンタイヤはよく機能していた。トップとのタイム差が思ったよりもあったので、いいグリッドを得るためにも、明日も引き続きセットアップに集中したい。チャンピオンシップで3位争いがかかっていることもあるが、今回のレースは優勝を狙っていく。日曜日にいいレースをするためにも、明日のフリー、予選は重要だ。全力を尽くしたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 5番手)
「前戦のセパン・サーキットではいくつかの問題を抱えてセッティングに苦労したが、今回は初日から順調だった。ラップタイムも安定しているし、スムーズに走ることができた。もう少しセッティングをつめたい部分はあるが、全体的にいい状態に仕上がっている。明日もこの調子で、フリー、予選と走りたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 6番手)
「順調なスタートが切れたが、今日はいくつかのコーナーでチャタリングに苦しめられたので、その解消に時間を割いた。リアのグリップにもやや課題を抱えた。特に右コーナーはいいグリップを得られなかった。ここは左コーナーが多く、予想していた通りだったが、全体的にペースはよかった。明日もセットアップに集中しなければならないが、いいスタートが切れたと思う」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 8番手)
「今日はサスを中心に、多くの時間をセッティングに割いた。しかし、すべてのメニューを消化できず、明日も引き続きセットアップを進めたい。路面コンディションはそれほど悪くなかったが、風が強くてコントロールが難しかった。このコースは、スローコーナーが多く、立ち上がりでウイリーする傾向にあるが、特に今日は強風でウイリーしやすかった。バレンシア・サーキットはリズムをつかむのに少し時間がかかるので、なるべく多く周回するようにした。明日の予選ではいいグリッドを得るために全力を尽くしたい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「最終戦なので、いいリザルトでシーズンを締めくくりたい。そのためにも、今日、明日のセッションはとても重要になる。今日は、まずまずの内容だった。今回、ダニは勝てると思うし、そのためにも全力でサポートしていきたい。ドヴィツィオーゾは、着実にメニューを消化し、多くのデータを残してくれた。ポジションは8番手だったが、セットアップの方向性も決まり、明日はタイムもポジションも上げてくれるはずだ。このサーキットはグリッドが重要になるので、明日は両選手ともにフロントローに並べるよう、全力を尽くしたい」
青山博一(250cc 4番手)
「4番手だったが、タイムが接近していることを思えば、それほど悪いスタートではなかった。今日は風が強くてコーナリングが厳しかった。特に1コーナーはイン側から吹きつけてくるので、バイクを寝かせづらかった。セッションを通じて攻める走りができなかったので、明日は着実にセッティングを進めたい。今日は36秒台に入れることが1つの目標だった。ギリギリだけれど、それを果たせてよかった」
富沢祥也(250cc 15番手)
「コースの下見をしたときにイメージした通りのコースだった。初めてのセッションだったので、とにかく1周でも多く周回しようと思ったし、誰でもいいのでついていこうと必死だった。セッション前半は、どこを走っているのか分からない状態だったが、後半は、段々リズムがつかめてきた。今日遅かったポイントを、明日のフリー、予選でつめていきたい」
青山周平(250cc 18番手)
「今日は路面のグリップがあまりよくなくて、セッティングもかなり外してしまった。それで思うようにタイムをつめられなかった。フロントもリアも、かなり大きくセッティングを変更する必要があったが、セッション中にできる変更ではなかったので、明日のフリー走行に持ち越すことにした。方向性は見えているので、明日の走行が楽しみだ」