第15戦オーストラリアGPの初日フリー走行は、時折り強い雨が降る不安定な天候となったが、午後は青空が広がり、気温も17℃まで上昇、ドライコンディションの中で走行した。朝方から強い雨が降り、走行終了後も雨となった。走行時間帯だけが晴れるという、選手たちにとっては幸運な一日となり、Honda勢はダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)がまずまずのスタートを切った。
トップタイムをマークしたのは、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。2番手にケーシー・ストーナー(ドゥカティ)が続き、ペドロサはロッシから0.496秒差の3番手につけた。フィリップアイランドは天候が変わりやすいため、ペドロサはドライコンディションとなった初日のセッションで、タイヤテストに集中した。昨年の大会では転倒を喫して左ヒザを負傷したため、今日の慎重な出だしとなったが、最終的に収穫の多い一日となった。
アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)は4番手につけた。今年はカタール、ムジェロ、インディアナポリスなど、ハイスピードサーキットで好走を見せてきた。今回も中高速コーナーの続くフィリップアイランド・サーキットとの相性のよさを遺憾なく発揮した。
一方、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、車体のセットアップが決まらず8番手。しかし、セッティングの方向性が見えたことで、2日目のタイム短縮とポジションアップに期待される。
以下、リアタイヤのグリップに苦しんだランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)は12番手、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)もセットアップが決まらず13番手、ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)は16番手という結果だった。
250ccクラスは、セッション開始直後に小雨が降る微妙なコンディションとなったが、すぐに雨も上がり、125ccクラス、MotoGPクラス同様にドライコンディションでの走行となった。トップタイムをマークしたのはヘクトール・バルベラ(アプリリア)。Honda勢は、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)が2番手と好調なスタートを切り、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)は5番手、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)は7番手という好位置につけた。現在、総合首位でタイトル獲得の期待が寄せられる青山博一(Scot Racing Team 250cc)は、セットアップに集中して11番手。前戦から参戦している青山周平(Racing Team Germany)は15番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)は22番手だった。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1:31.032 |
2 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.135 |
3 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.496 |
4 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +0.754 |
5 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.814 |
6 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +1.045 |
7 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +1.223 |
8 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.470 |
9 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.540 |
10 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.574 |
11 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.739 |
12 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.776 |
13 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +2.272 |
14 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +2.390 |
15 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +2.472 |
16 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +2.786 |
17 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +3.514 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | 1:34.338 |
2 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +0.573 |
3 | 16 | J.クルーゼル | アプリリア | +0.589 |
4 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +0.675 |
5 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +0.747 |
6 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +0.781 |
7 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +0.794 |
8 | 6 | A.デボン | アプリリア | +0.812 |
9 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +0.881 |
10 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | +0.980 |
11 | 4 | 青山博一 | Honda | +1.197 |
15 | 73 | 青山周平 | Honda | +1.769 |
21 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +4.479 |
22 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +4.633 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | 1:38.435 |
2 | 38 | B.スミス | アプリリア | +0.255 |
3 | 18 | N.テロール | アプリリア | +0.282 |
4 | 60 | J.シモン | アプリリア | +0.381 |
5 | 93 | M.マルケス | KTM | +0.622 |
6 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +0.646 |
7 | 8 | L.サネッティ | アプリリア | +0.871 |
8 | 12 | E.ラバト | アプリリア | +0.925 |
9 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +0.942 |
10 | 7 | E.バスケス | デルビ | +1.103 |
コメント
ダニ・ペドロサ(MotoGP 3番手)
「天候が心配だったが、ドライコンディションで走れて今日は幸運だった。路面はやや汚れていたが、晴れたことでタイヤテストもできたし、順調にメニューを消化することができた。今日はソフトとハードの両方のタイヤを試した。今回の決勝は午後4時のスタートなので、路面温度が低いことが予想される。タイヤの選択がとても重要になる。ここは左コーナーが多いので、特に左側のグリップを慎重に見極めなければならない。明日は、天候によっては今日よりタイムが落ちるかもしれない。今日のセッションには満足している」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 4番手)
「今日は走り始めからフィーリングもよく、気持ちよく走ることができた。今年は高速コースで常に調子がよかったので、きっといい走りができると思っていた。今日は、ほとんどの選手が同じ問題を抱えていたようだが、自分もリアのグリップが完全ではなかった。ブレーキングにも課題があったし、明日はこうした問題を解消したい。4番手とよいポジションにいるが、明日は全員タイムを上げてくると思うので、自分もタイムを上げていかなければならない」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 8番手)
「フィリップアイランドは、本当にすばらしいサーキットで、ここを走るのはいつだって興奮する。しかし、ほかのサーキットとはまったく違うバランスを要求される。今日はそのバランスを見つけられなかった。全体的に硬めのセッティングだったので、ソフトの方向でセッティングを進めた。今日は100%の状態にはならなかったが、セットアップの方向性も分かってきたので、決勝に向けてよくしていきたい。今日はドライコンディションで走れてとても幸運だった。明日もこのままの状態が続いてほしい」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「この数年、あまりいい結果を残していないフィリップアイランドだが、まずまずのスタートが切れた。天候が不安定だったが、午後は青空が広がり、ドライコンディションで走れたことも我々には幸いだった。データを収集できたし、明日に向けてやるべきことも明確になった。ダニは、昨年のケガのこともあるので、走り出しはややナーバスなところがあったが、次第にいいフィーリングを感じ取れるようになったようだ。明日に向けての課題も明確になったので、確実にセットアップを進めていきたい。ドヴィツィオーゾは、サスペンションが変わって、これが3戦目。まだ、自分の求めるところに到達しておらず、引き続きセットアップに集中したい。明日以降も天候がどうなるか分からないが、ドライでもウエットでも、勝ちを狙っていきたい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 5番手)
「順調なスタートが切れてすごくうれしい。今日は、エンジンも車体もよかった。路面温度はやや低くグリップを出すのが難しかったが、いいセットアップを見つけた。しかも5番手。このポジションをキープし、さらにいいグリッドを得るために全力を尽くしたい」
青山博一(250cc 11番手)
「今までやってきたセットアップの方向性が、どうもフィリップアイランドには合っていないような気がする。セッション序盤は全体的に接地感がなく、特にフロントのフィーリングがつかみにくかった。そのためサスペンションのセッティングをアジャストした。セッション後半はかなりよくなったのだが、時間が足りなかった。しかし、方向性は見えている。明日も引き続きセッティングに集中して、いいバランスを見つけたい。今日は最後まで思いきり攻められなかった」
青山周平(250cc 15番手)
「先週、スペイン選手権でMoto2のバイクに乗っているので、その乗り換えにやや時間がかかってしまった。でも、このチームでレースをするのは2戦目。前回のポルトガルで大体のセットアップはできているし、ポルトガルに比べたらはるかにいいスタートが切れた。とにかく今日は、250ccのフィーリングに慣れるためになるべく周回を重ねるように心がけた。明日はセットアップに集中したいが、間違った方向にいかないよう確実に前進したい」
富沢祥也(250cc 22番手)
「思っていたより難しいコースで、風が強かったこともあって、最後までコースを攻略できなかった。今年になって順位的には一番悪いスタートになった。ここはスピードのアベレージも高いので、明日のフリー走行でコースに慣れることに集中して、午後の予選ではポジションを上げたい」