第9戦ドイツGPの2日目は、午前中のフリー走行はドライコンディションで行われたが、午後の予選は、3クラスともにウエットコンディションとなった。PPを獲得したのは、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。2番手にホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)。3番手にケーシー・ストーナー(ドゥカティ)。4番手にニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)と続き、Honda勢は、アレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)5番手、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)6番手、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)8番手、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)11番手、ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)16番手、トニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)17番手という厳しい結果に終わった。断続的に降り続ける雨。この日の予選セッションは、雨量の多さに加えて、15℃という低い気温が選手たちを苦しめ、転倒者が続出した。
Honda勢でトップにつけたデ・アンジェリスは、セッション開始直後から快調にラップを刻んだ。雨になった昨年の大会でも、表彰台にあと一歩に迫る4位でフィニッシュしている。今年もフルウエットとなった雨の予選で、今季最高の走りを見せた。セッション終盤には痛恨の転倒を喫したが、今季ベストグリッドとなる5番手。昨年届かなかった表彰台に向けて、絶好のグリッドを獲得した。
デ・ピュニエも6番手と好調な走りを見せた。セッション序盤には、デ・アンジェリスとランデブー走行で快調にタイムを縮めた。その後、痛恨の転倒を喫するも、手応えのある状態で2日間を終えた。今年は第3戦スペインGPの4位が最高位。今大会はそれを上回るリザルトが期待される。
初日2番手と好調なスタートを切ったペドロサは、ウエットコンディションの中で慎重な走行に徹して8番手。しかし、ドライコンディションの中で行われたフリー走行では、ロレンソ、ストーナーに続く3番手と、今大会から投入されたニュースペックのエンジンのセットアップも順調に進んだ。3列目からのスタートとなったが、得意とするサーキットだけに、本番での追い上げが期待される。チームメートのドヴィツィオーゾは、この日、ドライ、ウエットともに足回りのセッティングに戸惑った。そのために11番手と、数字的には精彩を欠いたが、セッティングの方向性が見えているだけに、ペドロサとともに追い上げのレースが期待される。
今回でMotoGP4戦目となるタルマクシは、初めて経験するフルウエットで16番手。グリップ不足に苦しんだエリアスは17番手に終わったが、ドライコンディションではまずまず順調な仕上がりを見せているだけに、後方からの追い上げが期待される。
250ccクラスは、マルコ・シモンセリ(ジレラ)がPPを獲得。Honda勢は、青山博一(Scot Racing Team 250cc)が4番手、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)8番手。以下、ラタパーク・ウィライロー(Thai Honda PTT SAG)16番手、ラファエレ・デ・ロサ(Scot Racing Team 250cc)17番手、富沢祥也(CIP Moto-GP250)は18番手だった。250ccクラスは午前中のフリー走行、そして午後の予選もフルウエットと、3クラスの中で唯一、この日、ドライコンディションで走行ができなかった。初日7番手から雨の予選で4番手まで浮上した青山は、「完ぺきな状態に仕上がらなかった」と語ったものの、ドライでも、ウエットでも表彰台に照準を定めた。その他のHonda勢は、ウエットコンディションに苦戦を強いられたが、このサーキットを得意とする選手が多く、巻き返しは必至。予選で苦戦したHonda勢の追い上げが注目される。
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1:32.520 |
2 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.640 |
3 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +1.239 |
4 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.884 |
5 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.970 |
6 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +2.044 |
7 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +2.087 |
8 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +2.205 |
9 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +2.221 |
10 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +2.251 |
11 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +2.372 |
12 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +2.417 |
13 | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +2.418 |
14 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +2.485 |
15 | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +3.492 |
16 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +3.535 |
17 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +4.011 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | 1:32.962 |
2 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +0.143 |
3 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +1.284 |
4 | 4 | 青山博一 | Honda | +1.323 |
5 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +1.350 |
6 | 75 | M.パシーニ | アプリリア | +1.371 |
7 | 6 | A.デボン | アプリリア | +1.670 |
8 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +1.698 |
9 | 41 | A.エスパルガロ | アプリリア | +1.756 |
10 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +1.842 |
16 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +3.116 |
17 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +3.135 |
18 | 48 | 富沢祥也 | Honda | +3.425 |
21 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +4.671 |
23 | 8 | バスティン・シェゾー | Honda | +6.272 |
RT | 66 | J.シュテンスモ | Honda | +9.176 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
1 | 60 | J.シモン | アプリリア | 1:38.671 |
2 | 38 | B.スミス | アプリリア | +1.015 |
4 | 78 | M.シュローター | Honda | +1.815 |
3 | 93 | M.マルケス | KTM | +1.339 |
5 | 18 | N.テロール | アプリリア | +1.821 |
6 | 5 | A.マスボー | ロンシン | +1.993 |
7 | 73 | 中上貴晶 | アプリリア | +2.157 |
8 | 7 | E.バスケス | デルビ | +2.295 |
9 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +2.458 |
10 | 88 | M.ランセダー | ハオジュエ | +2.670 |
コメント
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 5番手)
「セッション開始から気持ちよく乗ることができたが、タイヤの温度を上げるのがとても難しかった。みんなが転んでいた同じ場所で自分も転んでしまった。この転倒がなければ、フロントローも狙えたと思う。しかし、5番というグリッドにはとても満足している。もし、明日も雨になったら、いいレースができるはず。天気がよくなったとしても、いいグリッドなので、今季ベストリザルトを狙いたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 6番手)
「今日の結果にはとても満足している。ウエットコンディションはいつもギャンブル的なところがあるし、いいグリッドを得るのはとても難しいからね。だれもが限界まで攻めていくし、今日のように転倒することもある。セッションの前半はとても順調だった。バイクの状態も完ぺきだった。しかし、7コーナーでスロットルを開け過ぎたこと、路面が滑りやすかったことで転倒してしまった。それからは2号車で走ることになったが、ペースをつかむまでにちょっと時間がかかってしまった。だんだんフィーリングもよくなりプッシュしたが、エンジンブレーキに問題があり、今度はコースアウトを喫した。明日の決勝に向けてまだまだやらなければいけないことはたくさんあるが、いいグリッドなので、ベストを尽くしたい」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 8番手)
「8番グリッドに終わったことで、明日はいつも以上にいいスタートを切らなければならない。ここは1コーナーまでの距離が短く、そのあともパッシングポイントが少ないからね。ウエットになった午後の予選は、路面コンディションがころころ変わり、とても難しかった。そういう状態だったのでいいリズムをつかめなかった。転倒している選手も多かったので慎重に走った。今日は思うようにペースを上げられなかったが、昨年のレースで転んでいたからではない。ドライコンディションで走れた午前中のフリー走行は順調だったし、明日も、できることなら晴れることを願っている。朝のウオームアップで最後の調整をしたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 11番手)
「午後の予選はとても滑りやすく、グリップを出せずに苦労した。特にコーナーの進入でリアがグリップせず、慎重な走行を強いられた。予選中は雨が降り続いていたこともあり、とても難しかった。ウエットコンディションは嫌いではないが、今日は路面の雨量が多かった。明日のウオームアップで最後の調整をして、決勝ではいいスタートを切って少しでも前に出たい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 16番手)
「MotoGPマシンで初めてのフルウエットだったので、ベースのセッティングで走行を始めた。ピットインするたびにセットアップをしてタイムを上げることができたが、満足できる状態にはならなかった。しかし、方向性は見えているので、まだまだタイムを上げることができる。明日の天候がどうなるか分からないが、ベストを尽くしたい」
トニー・エリアス(MotoGP 17番手)
「昨日に比べて、今日はドライでもウエットでも、気持ちよく走ることができなかった。路面温度が低かったせいなのか、タイヤの温度を上げることができなかったし、セッション終盤には転倒してしまった。どこでも滑っていたし、転んでしまったのは仕方がない。自分の転倒シーンをテレビで見た人たちはおもしろがっていたけれど、私はとてもそんな気持ちにはなれなかった。できれば明日はドライになってほしい。最後尾グリッドだが、天気が回復すれば、追い上げるチャンスはあると思う」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「今日は大事な予選でウエットのセットアップがうまくいかなかった。そのためにいいグリッドを得られず、決勝は厳しいレースになりそうだ。しかし、明日もウエットコンディションなら、今日のデータを基にいいセッティングが得られると思う。ダニは、昨年の転倒もあるので、あまり無理をせず、マージンを持って走行していた。決勝は、ドライでもウエットでも全力でいくと言っているので、明日のレースが楽しみだ。ドヴィツィオーゾは、セッション序盤にセッティングの方向を完全に間違えて、時間をロスしてしまった。フラストレーションのたまる予選になったが、明日に向けて思いきり走れる状態に仕上げていきたい。結果はよくなかったが、チームの士気は高い。明日が楽しみだ」
青山博一(250cc 4番手)
「昨日の走行を終えて、もしドライなら試してみたいセッティングがあったのだが、フリー、予選ともにウエットになったのでできなかった。しかし、ウエットのセッティングは確実に進んだし、最後に4番手のタイムを出すことができた。それでもまだ完ぺきではないので、明日のウオームアップは、ドライでもウエットでも、最後までセットアップに全力を尽くしたい。昨日は、前半のスローセクションでタイムをロスしていた。反対に今日は後半の高速セクションで気持ちよく乗れなかった。明日は、できることならドライでレースがしたい。ここはパッシングポイントがないので、スタートを決めて1周目からいいポジションにつけたい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 8番手)
「最終的に2列目に並ぶことができたが、もっといいグリッドを得られたと思うし、残念だった。今日は2つの問題を抱えていた。それはセッション終盤に路面が乾き始めたことと、リアのセッティングが柔らかすぎたことだ。5速から6速にシフトアップしてからスピードが伸びなかったこともタイムロスにつながった。明日はどんな天候になろうとベストを尽くしたい」
富沢祥也(250cc 18番手)
「今日は全然だめだった。ダンロップのレインタイヤを2種類試したが、新しいタイヤは車体とマッチングせず、これまで通りのタイヤでなんとかタイムを上げた。しかし、ペースを上げていくとグリップを出せず、最後までいいフィーリングにならなかった。今日はスタート練習がうまくいった。クラッチの調整がうまくいって、いつものように気持ちよくスタートできるようになった。明日はどんな天気になるのか分からないが、スタートを決めて1つでもポジションを上げたい」