2009年3月1日(日)、2日(月)、3日(火) (ナイトテスト)
カタールテスト・レポート
MotoGPの全チームは、開幕戦が行われるカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットに3日間のプレシーズン・テストのために戻ってきた。カタールGPは、昨年に続いて芸術的な投光照明のもとで行われるシーズン唯一のナイトレースとなる。
テスト初日は、砂漠の中という環境にもかかわらず風が強く吹き、砂がコース上に薄く積もっていた。さらに、軽い雨も降り始めコンディションが悪化。このようなコンディションで、コースに出て行ったライダーはわずか10人。そのうち4人は3周もせずにピットに戻り、ほかのライダーも早々にピットへと引き揚げた。セッション終盤にはコンディションも改善する見込みだったが、テスト初日は無益に過ぎた。
2日目は、引き続きコース上に砂があったもののコンディションはいくらか改善し、18℃と低めの路面温度ながら投光照明の下で6時間のセッションが行われた。
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)はRC212Vの電子制御のセットアップに重点を置き、マシンのバランスと総合的なセットアップを進めた。この日、ドヴィツィオーゾは4番手のタイムを記録した。
一方、チームメートのダニ・ペドロサにとっては、不運なテストとなってしまった。昨年末に手術を行った左ヒザが完治していないことから慎重にテストに臨み、コンディションの悪かった初日は出走を取りやめた。状況が好転した2日目は、テストを開始するも第10コーナーで路面に浮いた砂に乗り転倒。メディカルセンターに運ばれたものの、左ヒザの手術痕が開いてしまったことが判明し、再びほう合が必要な事態となってしまった。さらに左手首も負傷したため、今回のテストを中断し、翌朝にはスペインに帰国した。
高橋裕紀(Scot Racing Team MotoGP)は、自分のライディングスタイルをニューマシンに合わせることに重点を置き、少しずつタイムを詰めていった。堅実にテストに取り組んで、この日最多の65周を周回した。
3日間の夜間テストは、最終日の真夜中に終了した。この日、Honda勢で最速タイムを記録したのはランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)で、7番手につけた。デ・ピュニエは今季初めて使用するブリヂストンのフロントタイヤの感覚をつかみ、前回のセパンテストより自信を持ってマシンを走らせることができるようになってきた。
ドヴィツィオーゾは、ワークスマシンへの乗り換えにスムーズに対応し、早い段階でライダーとマシン双方において進歩が必要な部分を見出している。しかし、この日のテスト当初はチャタリングに悩まされ、スケジュールの変更を余儀なくされた。テストはスケジュール通りに進まなかったものの、それでも終盤には大きく前進して8番手のタイムを記録、3日間のテストでおおむね満足のいく結果を残した。
Team San Carlo Honda Gresiniのアレックス・デ・アンジェリスとトニー・エリアスは、最終日をそれぞれ10番手、11番手で終了。デ・アンジェリスはリアのチャタリングを解消したあとのパフォーマンスは良好で、タイヤのパフォーマンスを最大限に引き出すことに成功した。エリアスは3日間にわたるテストで満足のいく結果が得られず、リアのトラクションを向上させるべく、ジオメトリーの変更やサスペンションセッティングを数多く試した。
高橋は、ストレスなくニューマシンに乗るための基本セットアップを進めるとともに、4ストロークマシンの特性を理解するためのセットアップも行った。この日の終盤には第3コーナーで転倒したが、幸いケガはなく、すぐにスペアマシンでテストを再開。最終的には好タイムを記録した。
3日間の夜間テストを終え、各チームはヨーロッパのワークショップへと戻り、スペイン・ヘレスで3月28、29日に行われる最終テストに向けてマシンを熟成させていく。
最終日の朝に帰国したペドロサは、精密検査を受け、左手のとう骨に骨折が見つかった。左手とヒザの手術を受け、早期の回復を目指す。
コメント
リザルト
1日目
| 順位 | ライダー | マシン | タイム/差 |
| 1 | N.ヘイデン | ドゥカティ | 2:00.717 |
| 2 | M.メランドリ | カワサキ | +0.150 |
| 3 | M.カリオ | ドゥカティ | +0.303 |
| 4 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +0.357 |
| 5 | N.カネパ | ドゥカティ | +0.611 |
| 6 | C.バーミューレン | スズキ | +1.126 |
| 7 | 高橋裕紀 | Honda | +2.504 |
| 8 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +2.516 |
| 9 | J.トーズランド | ヤマハ | +2.700 |
| 10 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +2.863 |
| 11 | C.エドワーズ | ヤマハ | +2.935 |
| 12 | トニー・エリアス | Honda | +7.920 |
| 13 | J.ロレンゾ | ヤマハ | +24.115 |
| 14 | V.ロッシ | ヤマハ | +1:10:31.155 |
| - | ダニ・ペドロサ | Honda | - |
| - | C.ストーナー | ドゥカティ | - |
| - | L.カピロッシ | スズキ | - |
2日目
| 順位 | ライダー | マシン | タイム/差 |
| 1 | C.ストーナー | ドゥカティ | 1:57.139 |
| 2 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.608 |
| 3 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.678 |
| 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.740 |
| 5 | C.バーミューレン | スズキ | +0.879 |
| 6 | L.カピロッシ | スズキ | +1.125 |
| 7 | J.ロレンゾ | ヤマハ | +1.261 |
| 8 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.302 |
| 9 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.438 |
| 10 | ダニ・ペドロサ | Honda | +1.480 |
| 11 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.797 |
| 12 | トニー・エリアス | Honda | +1.897 |
| 13 | 高橋裕紀 | Honda | +2.014 |
| 14 | M.メランドリ | カワサキ | +2.056 |
| 15 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.127 |
| 16 | M.カリオ | ドゥカティ | +2.625 |
| 17 | J.トーズランド | ヤマハ | +3.095 |
3日目
| 順位 | ライダー | マシン | タイム/差 |
| 1 | C.ストーナー | ドゥカティ | 1:55.744 |
| 2 | J.ロレンゾ | ヤマハ | +0.989 |
| 3 | V.ロッシ | ヤマハ | +1.228 |
| 4 | C.バーミューレン | スズキ | +1.480 |
| 5 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.481 |
| 6 | L.カピロッシ | スズキ | +1.509 |
| 7 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.657 |
| 8 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +1.705 |
| 9 | C.エドワーズ | ヤマハ | +1.771 |
| 10 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +1.847 |
| 11 | トニー・エリアス | Honda | +2.060 |
| 12 | M.カリオ | ドゥカティ | +2.194 |
| 13 | N.カネパ | ドゥカティ | +2.202 |
| 14 | 高橋裕紀 | Honda | +2.668 |
| 15 | J.トーズランド | ヤマハ | +3.042 |
| 16 | M.メランドリ | カワサキ | +3.107 |


ダニ・ペドロサ
「(2日目の)テスト前半はセットアップの進歩にも満足していた。砂がコース上に吹き込むコンディションは決していいものではないのはわかっていたが、それでも今回の転倒は予想外だった。10コーナーへと進入しているときにハイサイドがおきて、マシンが僕の上に落ちてきた。昨日も悪天候のためにテスト時間を削られてしまったのでとても残念だ。今は早く帰って精密検査を受け、現在把握している以上に深刻な状態になっていないことを望むだけだ」(帰国前のコメント)
アンドレア・ドヴィツィオーゾ
「全体を通してこの3日間のテストでは多くのことが学べて満足している。今日のテストでは1時間が経過したころチャタリングに悩まされ、このためスケジュールを変えなければならず、すべてが予定通りといかなかった。そのあとで15周のロングランを消化したが、ブリヂストンタイヤに合わせた、さらなるマシンのセットアップが必要だということを感じた。特にこのサーキットにおいてはコーナー進入時のグリップを高める必要があり、全体的にもよりスムーズなパワーデリバリーが理想だろう。まだまだたくさんの仕事が残っているが、今回のテストはこのバイクのことを多く学べたので満足している」
アレックス・デ・アンジェリス
「最終日のコンディションは昨日よりよかったが、思うように前進できなかった。リアのチャタリングに悩まされたため、マシンをブリヂストンタイヤに合わせたセットアップにすることに集中した。最終的にはいくらか前進することができ、テスト全体についてはほぼ満足している。マシンは速いのだから、トラクションの問題を解決することで、そのポテンシャルをすべて引き出していけると思う」
トニー・エリアス
「ジオメトリー設定とサスペンションセッティングに時間を割いて、ときには極端なセットアップも試したが、リアのフィーリングは思うように向上しなかった。僕の感覚では、特にリアタイヤにおいてもっとトラクションが必要だと思う」
高橋裕紀
「まだ車体セットアップの勉強段階だが、一周ごとに確実に前進している。今日は少しずつプッシュしていき転倒してしまったが、セカンドバイクでテストを続けた。僕もまだこのバイクについて勉強している最中だが、自信もついてきたのでヘレスでのテストが今から楽しみだ」
ランディ・デ・ピュニエ
「セパンでのテストに比べて大きく前進することができ、3日間を通して今回のテストには満足している。今日はいい感触で乗ることができたし、ライディングスタイルもマシンになじんできた。また、特にコーナー進入時でのフロントタイヤの使い方も理解できてきたように感じる。ストーナー(ドゥカティ)は信じられないくらい速いから、僕らもまだまだがんばらないといけない」