デュアル・クラッチ・トランスミッション
Hondaがモーターサイクル用に世界で初めて*開発したデュアル・クラッチ・トランスミッションは、メインシャフト上で奇数段(1-3-5速)をインナーメインシャフト、偶数段(2-4-6速)をアウターメインシャフトに同軸上に配置することで、トランスミッションの2軸レイアウトを可能なものとした。インナーメインシャフト/アウターメインシャフトはそれぞれに独立したクラッチを持ち、例えば1速から2速への変速時においては、コンピューターがシフトアップを検知すると、2速へ予備変速を行い、1速側のクラッチを切りながら2速側のクラッチを接続する。このような2組のクラッチの切り替えにより、駆動力に途切れのない、スムーズで素早い変速を実現している。
一般的にデュアル・クラッチ・トランスミッションは複雑な構造ゆえに重量が増え、レイアウト上の制約も多くなってしまうが、Hondaは「メインシャフトの二重化」「専用設計の直列配列クラッチ」「エンジンカバーに油圧回路を集約」といった独自の技術を採用し、モーターサイクルへの搭載に適したパッケージングとすることに成功。シフト機構も従来の二輪車用トランスミッションに採用されてきたシフトドラム方式をベースとするなど、シンプルな機構を開発することで、より軽量・コンパクト化を図っている。
*Honda調べ(2010年6月時点)。