モータースポーツ > スーパーバイク世界選手権 > 日本人ライダーの挑戦・清成龍一

2006年に日本人として初めてイギリススーパーバイク選手権(BSB)を制覇、07年も連覇を果たした清成龍一が、いよいよスーパーバイク世界選手権(WSB)に挑戦を開始した。清成が所属するのは、昨年、スーパーバイクのタイトルを獲得、同時にスーパースポーツも制した「Hannspree Ten Kate Honda」。名門チームからのデビューだけに、シーズン前から清成への期待は大きかった。

WSBは、すでに2月下旬にカタールで開幕し、3月上旬には第2戦オーストラリアを消化した。清成の開幕2連戦の最高位は第2戦オーストラリア第2レースの6位。今年はベースマシンとなるCBR1000RRがフルモデルチェンジされ、発表発売のタイミングから開幕戦までの期間が短く、ニューマシンの製作も急ピッチで行われた。その影響で開幕前のテストはわずか1回。リザルトは決して納得のいくものではないが、この2戦で流れをつかみ、徐々に本来の実力を発揮し始めている。

BSBの2連覇だけでなく、鈴鹿8時間耐久ロードレースでもHondaのエースとして活躍する清成の目標は、世界タイトル獲得。08年は、その目標に向けて大きな一歩を記すシーズンになりそうだ。

レースをこなすごとにセットアップを着実に進める「Hannspree Ten Kate Honda」。一戦ごとにポテンシャルを高めるNew CBR1000RRを武器に、これからブレイクしていくことは確実だ。WSB第3戦スペインからは、いよいよヨーロッパラウンドに突入。本格化する戦いを前に、この2戦を振り返ってもらった。



―開幕戦カタールでは、予選20番手、決勝22位/19位という不本意な結果。今年はCBR1000RRがフルモデルチェンジ。その発表のタイミングもあり、シーズンオフのテストが十分にできたとはいえませんでした。レースリザルトを見ると厳しいシーズンのスタートになったのではないかと思うのですが、ウインターテストも含めて、開幕戦カタールを振り返ってもらえますか?

「スーパーバイク世界選手権の参戦が決まり、昨年11月の下旬に、昨年のチャンピオンマシンである2007年型のバイクを使い、カタールで1日だけテストをしました。チームとしては3日間のテストでしたが、僕と(カルロス)チェカ、(ケナン)ソフォーグルの3人が交代で走ることになりました。ピレリのタイヤに慣れることが大きな目的で、ちょっと乗ってみただけ、という感じのテストでしたね。

本格的なテストは、1月下旬にスペインのアルメリアで始まりました。ここで08年型CBRのシェイクダウンをしたのですが、最初からマシンの完成度が高く、さすがはチャンピオンチームだな、と思いました。

ただ、初めて使うピレリタイヤとホワイトパワー(サスペンション)のフィーリングに慣れるのに時間がかかり、3日目の最終日になって、やっと、ベースとなるマシンセッティングが出せた感じでした。

本来は、オーストラリア、カタールの合同テストに参加して、開幕戦カタールを迎える予定だったのですが、マシンの完成がギリギリになったことで、アルメリアのテストだけでカタールに挑むことになりました。テストが少なかったことで不安はありましたが、開幕戦では、それほど緊張はしませんでしたね。とにかく、早く走りたいという気持ちが強かったし、自分がどこまでやれるのかが楽しみでした。

ところが、いざ開幕してみたら、これが全然ダメでした。初日1回目のフリー走行は、まずまずだったのですが、それから決勝レースに向けて、ほとんどタイムが上がらなかった。バイクに慣れて、路面のグリップが上がるにつれてタイムが上がるはずなのに……。たぶん、バイクのセッティングが反対の方向にいってしまったのだと思います。それを3日間、ついに修正できませんでした。

開幕戦は、反省することばかりでした。僕とスタッフのコミュケーションがうまくいかなかったのが一番の原因でした。僕のリクエストに対するスタッフの理解が、ちょっと違っていたんですね。一日中走るテストと違い、本番はセッションが1時間しかないので、ああ、これ違うなあ、と思っても、なかなかリカバリーできなかった。

最大の問題は、フロントのセッティングが決まらなかったこと。フロントの安定性がなくてブレーキングがうまくいかず、おっかなびっくりという感じでした。だから、アルメリアのテストのときのセッティングに変えて欲しいと何度もリクエストしたのですが、アルメリアのときのよいフィーリングにはなりませんでした。 予選が20番手に終わったのもショックだったけれど、決勝のリザルトにも、本当にがっかりしましたね」

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