釣り場に到着すると船長は潮流などの海況や風向きを読み、魚探の反応を確かめながらねらったポイントをエンジン流しで操船する。福田丸の場合、ねらう水深は秋から師走にかけてなら30〜50mが中心。厳冬期の寒ビラメ釣りシーズンになると70〜80mの深場をねらうこともある。いずれにしても平坦な海底ではなく、バラ根やツブ根などと呼ぶ砂泥底の中にある小さな根周りを流すことが多い。
船長が船を風に向けて安定させると「やってみてください。水深は○○m前後です」といったアナウンスが入り仕掛け投入開始。この際、イワシから先に海面に放ち、イワシが正常に泳いでいるかどうかを確かめたらオモリを投入。最後に両軸受けリールのスプールをフリーにして仕掛けを落下させていく。その後はオモリの着底(釣り用語で底ダチという)をとらえることが第一歩。潮流が速い時には着底してもミチイトが潮に引っ張られてどこまでも出ていってしまうので、オモリが底に着いてミチイトがふわっと弛む瞬時のサインを見逃さず、即座にリールのハンドルを回してクラッチをつなぐ。
底ダチがとれたらタナ取りを行なう。最初にサオ先を下げながらリールのハンドルを巻いて余分なイトフケを巻き込み、イトが張ったらサオを水平まで持ち上げつつハンドルを止める。ここからは、サオ先を上げれば海底からオモリが離れ、目線の先くらいでサオ全体を水平に保持すると、生きたイワシが底層近くを泳ぐ基本的なタナ取りができた状態になる。
ただし、海底の形状は一定ではない。凹凸やカケアガリがあるので、一定の時間(数分が目安)が経ったら仕掛けを一度落として、底ダチとタナ取りの作業をやり直し、イワシが常に海底近くを泳ぐようにする。このタナ取りを繰り返すことが、ヒラメ釣りの基本テクニックと考えてよい。