どこまでもリニアに高まっていくパワー感をめざして。このエンジンにはさまざまな技術が投入されている。ひとつは、ローラー同軸VTEC構造。カムとの接触部分をローラー化したロッカーアームの採用により、動弁系のフリクションを大幅に低減。ローラー内部はVTEC切り換えピンを内蔵した一体構造にコンパクト化することで慣性質量を減らし、高回転化に対応している。そして、軽量&高強度を誇るHonda四輪市販車初のアルミ鍛造ピストン。コンロッド小端部をテーパー化、さらに浸炭処理により強度を高め、各部の厚みを減らして極限まで慣性質量の低減が図られている。また、レーシングエンジンに採用される技術、「ダミーヘッドホーニング」※を投入している。
※エンジンブロックにダミーヘッドを組み付けた状態でシリンダーをホーニングすることで、シリンダーの精度を高める加工技術。
エンジンの小型軽量化としては、静粛性に優れた独自開発のサイレントチェーンを採用。タイミングベルト用プーリーより薄いスプロケットを介してカムギアを駆動することによりエンジン前後長を短縮している。ウォーターポンプ、オルタネーター、コンプレッサーを一本のベルトで駆動するサーペンタイン補機駆動システムも同様の役割を果たしている。排気系においては、4-2-1のステンレス製大口径エキゾーストマニホールドと高効率ツインサイレンサーを採用。背圧を少なく抑えパワーロスを防ぐとともに、騒音を抑制し、リアルスポーツならではの官能的なエキゾーストノートと両立させた。 |