2007年10月発表 2009年6月終了モデル
この情報は2009年6月現在のものです。

Engine & Powertrain

エンジンスターターボタンから始まる、スポーツカーとの緊密な時間。
F22C。直列4気筒 2.2L DOHC VTECが唸りを上げ、目を覚ます。
ドライバーのアクセルワークに機敏に反応するレスポンスと、ワイドなトルクバンドを利しての
リニアな加速。S2000のパワーユニットに求めたのは、洗練された力強さに他ならない。
生み出された力を脚まわりへ伝達するパワートレインは、
ドライバーの意志をダイレクトに伝える剛性感を重視。
シフトレバーをタクトに、駆動力を、挙動を、意のままにコントロールする。
そんな、スポーツカーとの豊かなコミュニケーションを存分に堪能して頂きたい。

直列4気筒 2.2L DOHC VTECエンジン

Engine

リアルスポーツにふさわしい、研ぎ澄まされたパワーフィール。
それには中間加速域におけるダイナミックな加速感や、
レスポンスの鋭さを重視すべきだ。
そうした視点からS2000のパワーユニットは考えられた。
専用設計のVTECを基軸にした自然吸気と高回転化により、
最高出力178kW[242PS]/7,800rpm
最大トルク221N・m[22.5kg・m]/6,500rpm〜7,500rpmを実現。
DBWにより高速域でのダイレクトな加速感と低速域でのスムーズなコントロール性を両立させたスロットル開度設定とも相まって、ムチをくれさえすれば即座に返ってくる頼もしいパワー感と、リニアで意のままのアクセルワークを実現している。

*はネット値
※DBW:ドライブ・バイ・ワイヤ。アクセルペダルの踏み込み量をセンサーで検知してコンピューターが理想的なスロットル制御を行うシステム。

エンジン性能曲線図

どこまでもリニアに高まっていくパワー感をめざして。このエンジンにはさまざまな技術が投入されている。ひとつは、ローラー同軸VTEC構造。カムとの接触部分をローラー化したロッカーアームの採用により、動弁系のフリクションを大幅に低減。ローラー内部はVTEC切り換えピンを内蔵した一体構造にコンパクト化することで慣性質量を減らし、高回転化に対応している。そして、軽量&高強度を誇るHonda四輪市販車初のアルミ鍛造ピストン。コンロッド小端部をテーパー化、さらに浸炭処理により強度を高め、各部の厚みを減らして極限まで慣性質量の低減が図られている。また、レーシングエンジンに採用される技術、「ダミーヘッドホーニング」を投入している。

※エンジンブロックにダミーヘッドを組み付けた状態でシリンダーをホーニングすることで、シリンダーの精度を高める加工技術。

エンジンの小型軽量化としては、静粛性に優れた独自開発のサイレントチェーンを採用。タイミングベルト用プーリーより薄いスプロケットを介してカムギアを駆動することによりエンジン前後長を短縮している。ウォーターポンプ、オルタネーター、コンプレッサーを一本のベルトで駆動するサーペンタイン補機駆動システムも同様の役割を果たしている。排気系においては、4-2-1のステンレス製大口径エキゾーストマニホールドと高効率ツインサイレンサーを採用。背圧を少なく抑えパワーロスを防ぐとともに、騒音を抑制し、リアルスポーツならではの官能的なエキゾーストノートと両立させた。

エンジン

Powertrain

高い剛性に支えられたS2000の駆動系は、1ピースプロペラシャフト、大径ドライブシャフト、ワイドスパンに配置したデフマウントを基軸に構成。さらにデファレンシャルには、駆動力を無駄なく路面に伝え、コーナリング時のコントロール性を高めるトルセンLSD(リミテッドスリップデフ)を採用。剛性感のあるシフトフィールを通じて、人車一体のダイレクトな加速レスポンスを味わうことができる。

トランスミッション デファレンシャル
カットモデルによる撮影

S2000の駆動系における高い剛性は、当然ながら高回転域に対応するためである。クラッチは回転強度の高い基盤材に摩擦材を張り付け、高回転域に対応。ケースを高剛性のものとすることにより、駆動系の振動や騒音の低減に寄与している。トランスミッションは、シフトユニットをトランスミッションケースに直付けするダイレクトチェンジ形式。剛性感あるシフトフィールをもつ6速マニュアルにより、力強いエンジンの性能をあますところなく引き出している。クロスレシオに設定されたギア比は、高トルク領域で連続的につながっていくシチュエーションで威力を発揮する。すなわち、シフトするごとにダイレクトで力強い加速フィールをドライバーにもたらすのである。また、シンクロシステムは、1・2速をダブルタイプ、3・4・5・6速をシングルタイプとし、さらに2・3・4・5・6速にはカーボンシンクロナイザーを採用。ハードなシフトチェンジに耐えるシンクロ容量と高い耐摩耗性を確保し、シフト時のフリクションを低く抑えている。それらはIOR(Independent Output Reduction gear train:独立出力側減速機構)などと相まって、シフトレバーをゲートに叩き込む手首の動きを軽やかに、そして確実にする。デファレンシャルケースにはダクタイル鋳鉄を採用。それにより高いケース剛性、強度を獲得。ビッグトルクをはじめとする、ストレスのかかる走りへの耐久性をクリアした。

走行性能曲線図