開会式、そして鈴鹿サーキットの国際レーシングコースを走行する「オープニングパレード」に続くイベントは、事前のプログラムに予定されていなかったサプライズフォーラム。今回が初の試みである。
NSXオーナーズ・ミーティング特別講師の清水和夫氏を司会とし、「NSXをこれからも楽しむために、NSXの『エコカー』としての側面を語り合う」という興味深いテーマに多くの参加者の注目が集まった。
清水氏の「環境の話というと、スポーツカーの否定と思われるかもしれませんが、スポーツカーにもいろいろありまして、Hondaはエココンシャスで、なかでもNSXは20年も前に登場しながら、効率で速さを求めたエコなスポーツカーだと私は理解しています。F1をはじめとするモータースポーツも、速く走るには空力が重要なテーマで、速度の二乗で効いてくる空気抵抗を削ることは、いかにエネルギーのロスを削るかというエコ技術になるんです」といった冒頭の言葉に続き、「Hondaの考えるモータースポーツと、エコロジーは相反しません」と、Hondaの環境安全企画室室長である篠原道雄が語った。
「フィットやインサイトといったエコカーの低燃費技術、燃料電池電気自動車のエネルギーコントロール技術には、『125Lのタンクで300km走ることのできる1,000馬力のターボエンジンをつくれ』といった困難に挑み続けたF1参戦で培われた技術がかなり活きているんです」
「効率」を高め、一滴の燃料も無駄にすることなく、最大限のエネルギーを得るというエコロジー技術論に注目が集まった。上原さんも、NSXが遂げてきた進化は、それとまったく同じであると話す。 「いわばNSXも『効率追求の塊』なんですよ。それは、初期型で1,350kgだったクーペが、エンジンの排気量を拡大し、6速ミッションを搭載し、環境性能も安全性能も高めたにも関わらず、最終型では1,340kgであることからもおわかりいただけると思います。2代目NSX-Rでは、強力なダウンフォースを発生させながらも空気抵抗を低減させることに非常に力を注ぎました。車重も空気抵抗も、エンジンパワーと燃料を余計に食ってしまいますからね」
この「効率」の追求があったからこそ、NSXはエンジンパワーで勝る世界のスーパースポーツと同等以上の速さを実現できたのだ。
「人からよくNSXの燃費について聞かれるんですが『高速道路なら2ケタはいきますよ』というとビックリされるんです。私たちは、20年以上前にこんなクルマが生まれたこと、それに我々が乗り続けていることをもっと誇りに思っていいのではないでしょうか」
パネラーとして参加されたNSXオーナーの方々も異口同音にNSXの効率の良さを話した。NSXが生まれた当時とはクルマを取り巻く環境は大きく変わっている。しかし、NSXは、生まれながらにして、これからの時代を走る資質を持ったスーパースポーツであったのだ。
清水氏は、「NSXオーナーである僕としても、『グリーンNSX』というステッカーが欲しいくらいに感じました」と言ってフォーラムを締めくくった。そして一同は、お楽しみのディナーパーティ会場へと向かった。
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今回初となるサプライズフォーラムの会場。全員が発言する時間はなかったが、新しい試みに多くの参加者が詰めかけた。

いつも大いに盛り上がるディナーパーティ。クルマのこと、仲間のこと、ツーリングのことなど話は尽きない。とても打ち解けた雰囲気。

ステージで黒澤さん、清水さん、上原さんらと記念撮影。撮影した貴重な写真のデータがその場でみなさんにプレゼントされた。
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