NSXトップへ
NSX Press vol.33 トップへ
NSX Press トップへ
到達、驚愕の40万km。 NSXリフレッシュプラン NSXとHonda 橋本 健 NSX-GT "NSXであること"の強さ。 NSX-GT 鈴鹿攻略。道上 龍 リモートコントロール・モータースポーツ。道上 龍 News&Topics
from Circuit#3 リモートコントロール・モータースポーツ。

心底、クルマが好き

きっかけは、ほんとに些細なことだったんですよ。僕が乗っているNSX-GTのRCカーがあったので、それを買ってきて走らせてみたんです。僕はそれまで、特に趣味と呼べる趣味も無かったんですが、これにはものすごく『楽しめそうだ!』という感じがして。RCとひとくちに言っても、飛行機やヘリコプターなどもある。普段はプロのドライバーとして、本物のレーシングカーを走らせているので、何も休みの日まで4輪のRCを走らせなくても…という気もするんですが(笑)。何年か前に、RCカーの全日本選手権に出場したときは、九州のオートポリスで本業のレースを終えた後、翌日から1週間千葉のホテルに泊まり込んで、徹底的にRCカーで走り込みました。ここまでRCカーにどっぷりはまって振り返ってみると、僕は心底クルマが好きなんだな、とあらためて実感してしまいますね。

   

「RCカーのF1」、その驚異のスペック

僕のRCカーは、“エンジンカー”と呼ばれるタイプのもので、その名の通り、エンジンを動力にしています。メインで走らせているのは“1/8GPレーシング”というカテゴリー。これは速いですよ ! エンジンは排気量3.5ccほどの2ストロークエンジンなんですが、35,000〜40,000rpmほども回りますし、最高出力は原付バイク並の約3馬力。リッター当たりの出力は、なんと800馬力を超えています。それが、1/8スケールの、2.5〜3kgほどしかない車体に載せられているので、パワーウエイトレシオならF1以上です。最高時速は約100km。2速の遠心クラッチ式トランスミッションも付いています。このハイスペックは、「RCカーのF1」と呼ばれるゆえんで、ストレートを駆け抜けるときの甲高いエキゾーストノートなんか、本当にほれぼれします。ボディは、小さいながらもきちんとダウンフォースが掛かる設計で、ウイングの角度によってセッティングもできるんですよ。

photo

RCカー、セッティングの妙

アウト・イン・アウトを心がけるのは基本なんですが、ラジコンの場合は“コーナーをできるだけ小さく回る”のがセオリー。可能な限りコーナリングはコンパクトに仕上げて、加速を稼いだ方がタイム的に有利です。
そのために、できるだけ“曲がりやすい”セッティングを施す必要があります。
デフを調整したり、トー角やキャンバー角を変えてみたり、サスペンションのダンパースプリングを変えてみたり…。サスペンションアームの取り付け位置を変えることで、加速時・減速時の姿勢変化もコントロールできますし、アッカーマンを調節することで、ステアリング特性も変わります。セッティングできる箇所は、GTマシン並みに多いと言っても過言ではないです。それから、操作を行う場所も大切な要素。RCカーのサーキットには、コース全体を見渡せる場所に「操縦台」が設けられているんですが、そこでどの位置に立つかで、マシンへの目線が違ってくるので、操作感が大きく変わるんです。レースでは、予選の結果順に好きな場所を選べるので、どこに立ってもきちんとコントロールができるよう、練習を積んでおく必要がありますね。

   

小さなレーシングカーでレースをする魅力

GTマシンが走るためには、マシンをつくりあげるエンジニアがいて、メンテナンスやセットアップを行うメカニックがいて、そしてマシンを走らせる僕らドライバーがいます。あれだけ大がかりなクルマですから、役割分担があって当然ですよね。でも、『自分が走らせるものを全部知りたい』、という気持ちもあります。RCカーなら、こうしてマシンをセッティングするのも、走らせるのも自分。僕が“メカニックにしてドライバー”になれるから、“何をどう変えたら走りがどう変わった”というのがすぐにわかります。セッティングが決まっていようが、決まってなかろうが、それがもうたまらなく楽しくて。RCカーを走らせると、モヤモヤしたものが晴れて、スカーッとするんです(笑)。
これまでで、一番うれしかったことですか?一番うれしかったのは、2005年に長野で行われたレースで優勝したとき。逆に一番悔しかったのは、予選落ちを喫してしまったとき。やっぱりRCカーは、れっきとしたモータースポーツですね。マシンは小さいですけど、一番になったときのよろこびも、負けてしまったときの悔しさも、まったく変わらないですよ。
今は、買ってきて箱から出せば、すぐに走り出せるようなキットも売り出されています。もし機会があれば、この小さなレーシングカーでレースをする魅力を、皆さんにも感じてみて欲しいですね。

PAGE TOP
NSXトップページへ