NSX press 2003 vol.30
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「心構え次第でドライビングは変わってくる。あなたも必ず上手になれる。」
 
  山野哲也のスポーツドライビングの上達の心構え  
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NSXをとことん楽しむには、やはりドライビングの上達は欠かせない。
ドライビング上達させるには基本がしっかりしていないと必ず破綻してしまう。だから、NSXオーナーならミーティングなどに参加し、サーキットなど安全が確保された場所で学ぶのが一番。その貴重なサーキットトレーニングをより効果的にするために…。全日本ジムカーナチャンピオンの山野哲也選手が、ドライビング上達のための心構えを語ってくれた。日頃の運転でも気をつけられることもあるので、ぜひお試しいただきたい。
NSXは並のリアルスポーツカーじゃない
NSXは、ミッドシップレイアウトでありながら、クルマの動きが“しっとり”としている。それは、アルミモノコックボディの剛性の高さとシャシーセッティングのよさが際立っているからだと思う。
たとえば、仮にアンダーステアやオーバーステアが現われても、比較的ゆっくり現れる。通常、こうしたリアルスポーツカーはピーキーな挙動を示しがち。でもNSXは、体感的に表現すると、「路面の下からフックを掛けて引っ張られているような安定感」がある。タイヤの接地性がすごく高いクルマ。だから安心してスポーツドライビングが楽しめる。速さも安定してキープできるので、価格相応の価値を持っている世界最高峰のロードゴーイングカーだと思う。
NSXを上手くうごかすためには?
NSXはドライバーの操作に忠実に動くクルマなので、ドライビングする上で基本となるアクセル、ブレーキ、クラッチ、ステアリングの操作を、精度高くきっちり行うことが大切。
また、精度が高いゆえに、タイヤの摩耗状態とか空気圧、サスペンションの状態によっても挙動が変わりやすいのでちゃんとしたメンテナンスを行うことも重要。タイヤの内圧や表面の温度が上がると、いつもより挙動が大きくなったり、より精度の高いドライビングが必要になるので注意したいところ。
NSXは、レイアウト的にも動き的にもフォーミュラカーにもっとも近いスポーツカーとも言えるので、限界に近いところで運転する場合は高い技術が必要となってくる。ただ、通常のレベルではしっとりとした動きなのですごく運転しやすいクルマ。これが世界を驚嘆させたNSXマジックだと思う。
 
操作はゆっくりと
NSXといえどもロードゴーイングカーなので、ステアリングをパッと切ってもレーシングカーのようにクイックに応答しない。だから急な操作をしても無意味。プロドライバーは、おそらくみなさんの予想よりもゆっくりと操作していると思う。アクセルコントロールも、“じわりじわり”という感じで。
イメージ図
ハンドルを切っても曲がらない・・・
これはもう、ただひたすらオーバースピードが原因。ゆっくり走っているとき、クルマが曲がらないなんて感じたことなどないはず。
意識の中にある速く走りたいという気持ちが、クルマの物理的な限界より勝っているから突っ込み過ぎて曲がれなくなる。スローインファストアウトなら必ず思い通りに曲がれる。
リアが出るのが怖い
ブレーキを残して(少し踏んだまま)ターンインするとフッとリアが出る。はじめのうちはそれだけでも怖いはず。これに冷静な気持ちで対処できるようになるには低い速度からトレーニングを重ねて慣れるしかない。スキッドパッドなどにはじまり、ショートコースなど安全な速度域からリアが出るような状況を体験する。何度もやっていると必ず感覚がつかめてくる。
そうしたら、カウンターステアを修正舵として当ててみる練習をする。当てるタイミング、切る速度、舵角をどうしたら上手くコントロールできるか体で覚える。自転車の運転のように、慣れれば必ず上手くなる。信じてトレーニングしよう。
ブレーキを踏むと姿勢が乱れる
これも多い症状。サーキットの中では、クルマにいろいろなGが掛かっている。その状態でブレーキングするから姿勢が乱れる。たとえばコーナーの手前がゆるくカーブしていたりすると、クルマに横Gが掛かった状態でブレーキングしなければならない。
プロが平気なのは、「横Gがかかっていてもブレーキングが上手い」のではなく、横Gを消すようにクルマの姿勢をつくっているから。プロでも横Gが残っていれば強いブレーキングで挙動が乱れる。だから、横Gを消すように前のコーナーの立ち上がり速度やライン取りなどに細心の注意を払う。姿勢をつくって、構えてブレーキ。たとえ前のコーナーの平均速度が落ちても、ブレーキで姿勢を乱すよりいいタイムが出るはず。
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