2016 MotoGP レギュレーション解説

3. Moto3クラス

グランプリライダーにも定年が!?

3-1. 参戦年齢

 Moto3は、かつての125ccクラスに替わる軽量級クラスとして2012年から始まった最小排気量クラスで、使用するエンジンは250cc 4ストローク、単気筒のみ、とレギュレーションで定められています。このクラスに、Hondaはワークス仕様の「NSF250RW」を供給し、2016年シーズンは11名の選手たちがこのマシンで戦うことになります。

 ところで、ロードレース世界選手権には、「参加資格年齢」が定められているのをご存知でしょうか? MotoGP、Moto2、Moto3のそれぞれにおいて、参戦できる年齢の下限と上限がレギュレーションに明記されています。その規定を見てみましょう。

(原文)

1.10.1.1 Minimum age

Licences for riders are issued only when the minimum age has been attained as below:
• Moto3: 16 years
• Moto2: 16 years
• MotoGP: 18 years
The limit for the minimum age starts on the date of the rider’s birthday.
In the Moto3 class, an exemption applies to the winner of the FIM Junior Moto3 Championship to compete in the Moto3 class of the FIM World Championship Grand Prix in the following season, even if the rider has not reached the minimum age for the class.

1.10.1.2 Maximum age MotoGP

For the MotoGP contracted riders, the limit for the maximum age finishes at the end of the year in which the rider reaches the age of 50.

1.10.1.3 Maximum age Moto2

For the Moto2 riders, the limit for the maximum age finishes at the end of the year in which the rider reaches the age of 50.

1.10.1.4 Maximum age Moto3

The maximum age is 28 years (25 years for new contracted riders participating in the Moto3 Grand Prix for the first time and for wild cards) at the 1st of January of the corresponding Championship year.

(日本語訳)

1.10.1.1 最低年齢

選手へのライセンスは、最低年齢が下記の通りに達している場合のみ発給される:
・Moto3:16歳
・Moto2:16歳
・MotoGP:18歳
最低年齢の制限は選手の誕生日の日付をもって始まる。
Moto3クラスに関しては、ライダーが当該クラスの最低年齢に達していない場合でも、翌シーズンにFIM世界選手権のMoto3クラスで競技を行うFIMジュニアMoto3選手権優勝者については、例外が適用される。

1.10.1.2 MotoGPの上限年齢

MotoGPの契約選手に関しては、選手が50歳に達した年の最後に上限年齢が終了する。

1.10.1.3 Moto2の上限年齢

Moto2の契約選手に関しては、選手が50歳に達した年の最後に上限年齢が終了する。

1.10.1.4 Moto3の上限年齢

上限年齢は、選手権が行われる年の1月1日時において28歳(初めてMoto3選手権に参戦する新規契約選手やワイルドカードについては25歳)とする。

 これらの条件を表にまとめると、以下のようになります。

クラス 最低年齢 上限年齢  
MotoGP 18歳 50歳 ※上限は、50歳を迎えた年の末まで
Moto2 16歳 50歳
Moto3 16歳 28歳 ※FIMジュニアMoto3選手権のチャンピオンには、
最低年齢の例外が適用される
※新規参戦選手とワイルドカードの上限年齢は、25歳

 MotoGP、Moto2は50歳が上限として定められているのです。ほかのスポーツではあまり例のない規定ですが、時速300q以上で戦う世界ですから、その危険性も考慮したレギュレーションとなっています。

 Moto3クラスは、若手選手の登竜門と位置づけられているため、参加資格年齢の上限は、上位2クラスよりも低く設定。最低年齢は16歳ですが、ヨーロッパで行われているMoto3ジュニア選手権(旧CEV)のチャンピオンには例外が認められます。このMoto3ジュニア選手権は14歳からライセンスが発給されるため、14歳の年にタイトルを手にすれば、翌年の15歳からMoto3でグランプリデビューを果たすことが可能なので、ルール上は日本の中学生ライダーが世界で戦うことができるのです。