Round02スペインスペインGP

MotoGP

ヘレス・サーキット・アンヘル・ニエト

第2戦 スペインGP

シーズン最初のレースは無観客での開催に

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大で中止延期が続いていたロードレース世界選手権が、7月19日(決勝)、スペインのヘレスで再開されます。今年の開幕戦カタールGPは、開幕戦直前のテストですでに現地入りしていたMoto2とMoto3クラスはレースを実施しましたが、MotoGPクラスのスタッフと選手たちは、開幕前のテストを終えていったん自国に戻っており、イタリアなど再入国できない国が発生したことからキャンセルとなりました。そのため、MotoGPクラスは、今大会がシーズンの最初のレースとなります。

7月といえば、本来、シーズンの半分が消化されている頃です。しかし、新型コロナウイスルのパンデミックにより、チャンピオンシップは他のスポーツと歩調を合わせロックダウンされました。

新しいカレンダーは、スペイン、チェコ、オーストリア、イタリア、フランスの5か国・8つのサーキットで13戦が行われます。そのうち5会場が2連戦となり、3連戦が3回というハードスケジュールが待ち受けます。さらに、新型コロナウイルスの状況に応じて、南米と東南アジアで3ラウンドが追加される可能性があります。

再開されるシリーズ戦は、選手、スタッフなど、すべてのMotoGPスタッフに厳格な健康管理プロトコルが適用され、会場ではソーシャルディスタンスが徹底されます。最小限のスタッフ、そして無観客で開催される予定です。まさに、前例のない形でのシリーズ戦となります。

ディフェンディングチャンピオンのマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、これまで7回のシリーズ戦を戦い、6回のタイトルを獲得しました。これはプレミアクラスで3番目の記録であり、さらに記録更新を目指します。今年のシーズン開幕前には、2021年から24年まで4年間の契約延長が決まり、レースに集中する環境が出来上がりました。

昨年マルケスは、19戦で12勝を達成。14年の13勝に続く勝利数でチャンピオンを獲得しました。昨年12月には左肩の手術を行いました。ウインターテストでは、左肩の回復に合わせて調整していましたが、レースの延期で万全の状態で開幕戦を迎えることになりました。

スペインGPの舞台となるヘレスでは、MotoGPクラスにデビューした13年から表彰台に立ち続けてきました。13年は2位、14年に優勝、15年2位、16年3位、17年2位、18年優勝、そして昨年も優勝し、今年は3年連続、4回目のスペインGP制覇を目指します。12年のMoto2クラス時代の2位を含めて8年連続で地元スペインのファンの期待にこたえてきたマルケスですが、今年もその期待にこたえる意気込みです。

今年はチームメートに弟のアレックス・マルケスが加入しました。兄弟がMotoGPクラスのファクトリーチームに所属することで大きな話題と注目を集めました。アレックスは、14年にMoto3クラスで、そして19年にはMoto2クラスのタイトルを獲得しました。これまでグランプリ通算12勝(Moto2で8勝、Moto3で4勝)を達成、Moto3クラスとMoto2クラスのタイトルを獲得したシーズンは、兄のマルク・マルケスとともに兄弟チャンピオン獲得という大偉業達成となりました。

こうして、期待と希望の中で迎えるはずの2020年シーズンでしたが、パンデミックにより大幅に開幕が遅れました。ロックダウンの開始以来、マルクとアレックスのマルケス兄弟は、最初は自宅でトレーニングを行い、そして、ロックダウンが緩和されるとモトクロスとダートトラックバイクでハードトレーニングを行ってきました。しかし、MotoGPクラスに参戦するライバル同様、2月下旬にカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットで走行して以来のMotoGPマシン、RC213Vの走行となります。加えて、ルーキーで弟のアレックスにとっては、MotoGPマシンでヘレスを走るのは初めてとなります。15日に行われた事前テストで準備を整えることになりました。アレックスは、開幕前にHondaと21年から2年間の契約をかわし、来季はLCR Honda TeamからMotoGPに参戦します。

カル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、Hondaライダーとして6年目のシーズンを迎えます。これまでクラッチローは、16年のチェコGPとオーストラリアGP、18年のアルゼンチンGPで3度の優勝を達成しました。昨年はカタールGP、ドイツGP、オーストラリアGPで3つの表彰台を獲得して総合9位。これまでスペインGPでは、18年にポールポジションを獲得しましたが、ヘレスではまだ表彰台に立ったことがなく、今年はヘレスでの初表彰台、初優勝を目指します。

チームメートの中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)は、3年目のシーズンを迎えます。昨年10月の日本GPの後、シーズン中に痛めていた右肩の手術を行い、その回復に努めてきました。予定されていた今年3月の開幕戦カタールGPまで100%の状態を作るのは難しい状況でしたが、開幕が遅れたことで万全の体調でスペインGPを迎えることができました。昨年は、イタリアGPの5位を最高位に、シーズン終盤の3戦を欠場しながら総合13位という結果を残しました。今年は初表彰台獲得を狙います。

ヘレスは、1987年に初めてグランプリが開催されました。以来、スペインGPの舞台として定着。同地で開催されるのは今年で33回目となります(88年はハラマで開催)。2月下旬にはMoto2クラスとMoto3クラスのウインターテストが行われました。MotoGPクラスの公式テストは昨年11月に行われていますが、今年は7月という猛暑の中で行われます。Repsol Honda Teamをはじめ、各チームともにヘレス・サーキットのデータは豊富ですが、40℃近い暑さと50℃を超える路面温度との厳しい戦いが待ち受けています。

Hondaは、これまでヘレスで通算22勝を達成しています。そして、06年から14年連続でRepsol Honda Teamの選手はヘレスで表彰台に立ち続け、Repsol Honda Teamの大会連続表彰台記録を更新しました。今年は4年連続スペインGP制覇と同大会で通算26度目の優勝を目指します。

コメント

マルク・マルケス(2019年 総合1位)
「まず最初に、この奇妙な時期の間、一生懸命取り組み、サポートしてくれたすべての人に感謝したいと思います。いよいよ僕たちが仕事に戻り、すばらしいショーを見せて、世界中の人たちを楽しませる時がやってきました。このような難しい時期を過ごしている人々に、楽しみと休息を与えるのです。ヘレスはよく知っているサーキットです。安全に、そして健康維持に気を付けて仕事をしなければなりません。こうして、チームに再び合流することができてとてもうれしいです。Hondaのマシンに乗るのを楽しみにしています」

アレックス・マルケス(Moto2 2019年総合1位)
「今日までとても長かったし、すべての人にとって、難しい時期となりました。最も重要なことは、通常の生活に戻れるように、休むことなく取り組んでくれたすべての人に感謝の気持ちを送ることです。そのため、パンデミック中に力を尽くしてくれた人々に捧げるためにスペシャルヘルメットをかぶります。これは小さな意思表示ですが、どのようなことも役に立つと思います。もちろんチームと再会できてとてもうれしいです。そして、ようやくMotoGPデビューができます。これはすべてのライダーが夢見ることです。難しい週末になると思いますが、仕事を始めれば集中できるでしょうし、いい形で進展できると思います。そして、もちろん興奮しています。小さい時からMotoGPのグリッドに並ぶことを夢見てきましたからね」

カル・クラッチロー(2019年 総合9位)
「ヘレスでLCR Honda CASTROLに戻ることができてとてもうれしいです。すべてのチーム、パドック、そしてファンが長い間この時が来るのを待っていました。シーズン開幕戦でヘレスに来ることができてうれしいです。水曜日のテストは、90分のセッションが2回行われます。マシンとチームとの仕事に慣れるためです。レースウイークが始まるのが楽しみです。いつものようにベストを尽くし、いい仕事をして、週末にはいい結果を出したいです」

中上貴晶(2019年 総合13位)
「ようやくサーキットで仕事に戻ることができてみんな喜んでいます。毎日検査があり、マスクをするなど、いつもと少し様子が違いますが、レースに戻ることができてうれしいです。長いことMotoGPマシンに乗っていません。最後に乗ったのは2月のカタールテストでした。もうあれから5カ月が経ちます。そのため最初の日は非常に大変だと思います。なぜならMotoGPマシンはとても体力を使うからです。シーズンがスタートすることがとても楽しみです。天候も厳しく、気温が37℃や38℃まで上がるので、体力、タイヤ選択などが難しいと思います。すべてが難しく厳しい状況ですが、いつものようにベストを尽くします。トップ5か6争いができることを願っています。これが一番の目標です。トップグループか表彰台争いができたら最高です」

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