はじめてのトライアル講座―日本GP@もてぎに行こう!―

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マシンのひみつ

21世紀の現在、トライアルはやはりスペインが優勢を保っています。マシンも、ガスガスやシェルコ、そしてモンテッサ・ホンダがスペイン製。ほかにイタリア製のベータが、現在のトライアル世界を構成しています。

現在、世界選手権では2ストロークマシンと4ストロークマシンが混在して参戦しています。2005年にモンテッサ・ホンダが約20年ぶりに4ストロークマシンを登場させるまで、トライアルでは長く2ストローク全盛の時代が続きましたが、2007年からトニー・ボウのライディングにより3年連続で4ストロークがタイトル獲得。その勢力図も大きく変わろうとしています。とはいえ、2ストロークエンジンの特性も捨てがたいものがあり、トライアルでは両方のエンジン形式が、同じ土俵でしのぎを削っているのです。

トライアルマシンの大きな特徴は、シートがないシルエットでしょう。20年ほど前のマシンには薄いシートがありましたが、ライダーの動きを優先して、いまやすっかりなくなりました。

2010年 藤波選手のマシンMontesa COTA 4RT

シート以外では、チェンジペダルの位置も、トライアルマシンならでは。フットレストに足を乗せた状態では、チェンジペダルにつま先が届きません。ライダーが激しく動くトライアルでは、不用意にチェンジをしてしまわないよう、わざとペダルをオフセットして装着しています。チェンジをするときは、フットレストから足を外して行っています。

通常のオートバイとは違って、シフトペダルとステップが離れた場所にある

ライダーの乗車位置は、通常のモーターサイクルに比べると、ずいぶん後ろです。前輪をあげたり後輪をコントロールしたり、トライアルライダーはいろいろなテクニックを使いますが、この位置がもっともマシンを操縦しやすいというのが、長年の経験に基づく結論というわけです。

それから、トライアルの華麗なテクニックの大事な裏付けとなっているのが、タイヤです。テクニックももちろんですが、このタイヤが、魔法のようなグリップを生んでいます。さわってみると、まるで消しゴムかキャラメルのようなゴム質です。しかも空気圧は0.03MPaくらい。ふつうの感覚では、パンクしているのかと心配になるくらいです。

2010年 Montesa COTA4RT
ボウ、藤波のマシン

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