
2016年のJSB1000クラスは熊本地震の影響でオートポリスの大会が中止となり5大会7レースで争われ、Honda勢では山口辰也(TOHORacing)、高橋巧(MuSASHi RT ハルク・プロ)がランキング上位を争う活躍をみせました。
JSB1000クラスの開幕は第2戦鈴鹿大会から。この大会では13年ぶりに鈴鹿8耐の前哨戦として親しまれてきた、鈴鹿200km耐久レースが復活し、シリーズチャンピオンを狙うライダーは単独参戦、鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)を見据えるチームは2名体制で参戦とエントリーが分かれました。スタート方式は鈴鹿8耐と同じル・マン式。決勝では、絶妙なスタートで高橋巧がホールショットを奪ってレースをリードしましたが、その後はポジションを下げてしまい、山口とともに2番手争いの集団でレースを展開。中盤になると各車のピットインが始まり、それにともなって順位も次々と変動します。そんな中、28周目に転倒車による赤旗が提示され、そのままレースが成立。結果は山口が5位、高橋巧は7位と、開幕戦をトップ10内で終えました。
今季初の全クラス開催となった第3戦茂木大会は、決勝当日に気温や路面温度が急上昇し、予選とはまったく異なるコンディションとなったため、どのクラスでも転倒が相次ぎました。山口と高橋巧は予選でトップ10圏外と苦労するも、決勝では波乱のレースをしっかりと戦い抜き、シングルフィニッシュ。第4戦オートポリスの中止を受け、約1ヵ月のインターバル後に行われた第5戦スポーツランドSUGOでも、両者はトップ10入りを果たし、ポイントを重ねました。
この時点で、山口は総合6位、高橋巧は7位。ともにトップから31点差の64ポイントを獲得してシーズンを折り返しました。その後、第7戦も中止となったため、JSB1000クラスは約3ヵ月のサマーブレイクに突入。この間に山口と高橋巧は鈴鹿8耐に参戦しました。
サマーブレイク明けの一戦となった第8戦岡山大会は、第7戦の中止を受け1大会2レース制で行われました。土曜日のレース1では、高橋巧が5位、山口が6位と、セカンド集団での戦いを強いられましたが、それぞれポイントを追加。日曜日のレース2は、スタート前に豪雨に見舞われ、完全ウエットのレースに。この難しいコンディションのレースを制したのは、山口でした。レース序盤をリードしたのは高橋巧でしたが、単独2番手を走行していた山口は、高橋巧より約1秒早いペースで追いかけ、11周目についにトップに躍り出ます。そして、その後もペースを緩めることなく、独走で今季初優勝を果たしました。高橋巧も2位に入り、1-2フィニッシュでHonda勢初の表彰台を飾りました。
最終戦の舞台は、開幕戦と同じ鈴鹿サーキット。この大会はMFJGPとして開催され、ポイント獲得者にはボーナスポイントとして、さらに3ポイントが与えられることになりました。また、JSB1000クラスは2レース制で争われ、合計56ポイントが入ることから、山口、高橋巧もタイトルに可能性を残しての戦いとなりました。
レース1は8ラップのスプリント対決。3番グリッドの高橋巧はスタートで大きく出遅れてしまい、オープニングラップを8番手で通過。7番手スタートの山口も6番手争いの集団での戦いとなり、結果は追い上げをみせた高橋巧が6位、山口は8位となりました。
20ラップで争われたレース2では、オープニングラップで多重クラッシュが発生し、赤旗中断となる波乱の展開に。レース再開後は、高橋巧が3台で争っていたトップ集団をマークし続け、残り4周を切った17ラップ目に、ライバルをかわして3番手に浮上し、そのままチェッカー。8番手スタートの山口も順位を3つ上げる快走をみせ、5位でフィニッシュしました。
高橋巧はシーズン後半に入って2度の表彰台を獲得するなど調子を上げて総合3位、1勝を挙げた山口は総合4位に入りました。両者ともすべてのレースでトップ10入賞と、シーズンを通して安定した走りをみせました。J-GP2クラスにおける2年連続チャンピオンの経験を持ち、今季からJSB1000に参戦した高橋裕紀(MORIWAKI RACING)は、第5戦で負ったケガの影響が響き、総合14位に終わりました。しかし、復帰戦となった第8戦と最終戦ではしっかりと入賞を果たし、次シーズンに期待を持たせる走りを披露してくれました。
ポイント
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | |||
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1 | 2 | 1 | 2 | |||||||||||||
1 | 1 | 中須賀克行 | ヤマハ | 196 | 35 | 25 | 中止 | 35 | 中止 | 25 | 20 | 28 | 28 | |||
2 | 12 | 津田拓也 | スズキ | 149 | 32 | 22 | 30 | 22 | 7 | 21 | 15 | |||||
3 | 634 | 高橋巧 | Honda | 143 | 24 | 15 | 25 | 16 | 22 | 18 | 23 | |||||
4 | 104 | 山口辰也 | Honda | 139 | 26 | 14 | 24 | 15 | 25 | 16 | 19 | |||||
5 | 7 | 野左根航汰 | ヤマハ | 132 | 28 | 20 | 26 | 18 | 19 | 21 | ||||||
6 | 26 | 渡辺一樹 | カワサキ | 126 | 23 | 18 | 32 | 20 | 10 | 23 | ||||||
7 | 32 | 今野由寛 | スズキ | 101 | 21 | 12 | 19 | 12 | 11 | 12 | 14 | |||||
8 | 71 | 加賀山就臣 | スズキ | 100 | 25 | 23 | 9 | 9 | 17 | 17 | ||||||
9 | 15 | 藤田拓哉 | ヤマハ | 95 | 20 | 14 | 14 | 15 | 14 | 18 | ||||||
10 | 39 | 酒井大作 | BMW | 94 | 17 | 11 | 20 | 10 | 12 | 11 | 13 | |||||
11 | 090 | 秋吉耕佑 | Honda | 86 | 19 | 10 | 22 | 4 | 15 | 16 | ||||||
14 | 72 | 高橋裕紀 | Honda | 68 | 18 | 11 | 18 | 9 | 12 | |||||||
15 | 18 | 中津原尚宏 | Honda | 62 | 11 | 9 | 17 | 1 | 6 | 7 | 11 | |||||
23 | 49 | 渡辺一馬 | Honda | 22 | 22 | |||||||||||
25 | 片平亮輔 | Honda | 18 | 2 | 16 | |||||||||||
26 | ディマス・プラタマ | Honda | 16 | 16 | ||||||||||||
31 | 関口太郎 | Honda | 13 | 13 | ||||||||||||
32 | 20 | 小島一浩 | Honda | 13 | 5 | 8 | ||||||||||
33 | 17 | 吉田光弘 | Honda | 13 | 6 | 3 | 4 | |||||||||
36 | 坂本弘正 | Honda | 11 | 11 | ||||||||||||
37 | 高田昌明 | Honda | 11 | 11 | ||||||||||||
38 | 66 | 筒井伸 | Honda | 10 | 4 | 6 | ||||||||||
41 | 23 | 中村知雅 | Honda | 6 | 6 | |||||||||||
43 | 奈須勉 | Honda | 3 | 3 |
決勝順位 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | 11位 | 12位 | 13位 | 14位 | 15位 | 16位 | 17位 | 18位 | 19位 | 20位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ポイント | 25 | 22 | 20 | 18 | 16 | 15 | 14 | 13 | 12 | 11 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
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