渋滞対策とは?原因分析・主な施策・交通データを使った効果検証を解説

渋滞対策
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渋滞は通勤や物流、観光、地域経済、そして環境に対しても大きな影響を与える社会課題です。有効な対策を講じるためには、まず渋滞が発生している原因と、時間帯・場所・周辺道路への波及状況を正確に把握する必要があります。本記事では、渋滞の主な原因とその分析方法、代表的な施策、さらには交通データを活用した効果検証の進め方について詳しく解説します。

目次

  • 渋滞対策とは
  • 渋滞が起きる主な原因
    • 交通需要の集中
    • 道路容量・交差点処理能力の不足
    • 事故・工事・天候・災害による一時的な混雑
  • 渋滞対策の主な施策
    • 道路・交差点の改良
    • 信号制御・交通管制の見直し
    • 情報提供・経路分散
    • 需要分散・公共交通利用促進
  • 渋滞対策で使うデータ
    • 旅行時間・速度データ
    • 交通量・通行頻度データ
    • OD・経路・駐車関連データ
  • 交通データを使った渋滞分析の進め方
    • 1. 対象区間と分析期間を決める
    • 2. ボトルネックを特定する
    • 3. 対策案を比較する
    • 4. 効果を検証する
  • HDDSを渋滞対策に活用する視点
    • 旅行時間表示・交通量平準化
    • 道路整備計画・工事影響の検討
  • まとめ

渋滞対策とは

渋滞対策の図

渋滞対策とは、道路交通の混雑を軽減し、旅行時間の短縮や安全性の向上、環境負荷の低減、そして地域活動の円滑化を目指す一連の取り組みを指します。

道路を拡幅したり新設したりするだけでなく、信号制御の最適化、ドライバーへの情報提供、交通需要の分散、公共交通機関の利用促進、駐車場の適切な運用など、多様な施策を組み合わせる必要があります。

原因に合わない施策を実施しても十分な効果が得られないため、まずは客観的な交通データを用いて現状を正確に把握することが、渋滞対策の第一歩です。

渋滞が起きる主な原因

渋滞は、単に交通量が道路の容量を超えることだけで起こるわけではありません。信号の待ち時間、右左折車両の滞留、事故や工事、イベントの開催、大型商業施設の出入口など、多様な要因が複雑に絡み合って発生します。また、1つの原因に見えても、時間帯や進行方向によって実際のボトルネックが異なる場合も多くあります。

交通需要の集中

通勤・帰宅の時間帯や、休日の観光地、大規模イベントの開催時、商業施設のセール期間など、特定のタイミングで交通需要が急激に集中することが渋滞の大きな原因となります。

特定の方向や特定の交差点に車両が集中することで、道路の容量を超え、長い車列が発生します。このような場合、道路の物理的な拡幅が難しくても、時間帯をずらす「時間分散」や、別ルートへ誘導する「経路分散」、事前に混雑状況を知らせる「情報提供」などのアプローチが有効な解決策となることがあります。

道路容量・交差点処理能力の不足

車線数の減少、右折専用レーンの欠如や短さ、信号現示(青時間の割り当て)、合流地点、踏切、バス停の配置などがボトルネックとなり、道路容量や交差点の処理能力が不足して渋滞を招くケースです。

道路全体が混雑しているように見えても、実際には特定の交差点やごく短い区間が原因で、そこから渋滞が後方に延びている場合も少なくありません。そのため、現地での状況確認に加えて、旅行時間や速度のデータを詳細に分析し、真のボトルネックを特定することが求められます。

事故・工事・天候・災害による一時的な混雑

交通事故や道路工事、悪天候(大雪や豪雨)、自然災害などの突発的な要因により、車線が規制されたり走行速度が低下したりして、旅行時間が急増するケースです。

このような一時的な混雑は、迂回する車両によって周辺の生活道路や他の幹線道路へも影響が広がり、広域的な渋滞を引き起こす原因となります。突発的な事象による影響を正しく評価するためには、平常時のデータとの比較を行い、どの程度の異常が生じているかを把握しやすい仕組みを整えておくことが重要です。

渋滞対策の主な施策

渋滞対策の主な施策の図

渋滞を解消するための施策は、道路などインフラの「供給側」のアプローチ、交通を調整する「需要側」のアプローチ、そしてドライバーに行動変容を促す「情報提供」を組み合わせて検討します。また、施策前後の比較検証の方法をあらかじめ設計してから実施することが重要です。

道路・交差点の改良

右折レーンの新設や延伸、車線運用の見直し、交差点形状の改良、施設出入口の位置変更など、物理的なインフラを改善する施策です。

ボトルネックを直接解消するため、効果が大きい反面、多額の費用や用地買収、長い工期が必要となることが課題です。また、改良によって特定の交差点がスムーズになっても、別の交差点に新たな渋滞が発生したり、周辺道路への交通転換につながったりするため、広域的な影響を確認する必要があります。

信号制御・交通管制の見直し

時間帯や方向別の交通量に応じて、信号の青時間(信号現示)や、連続する交差点間の信号の連携(オフセット)を最適化する施策です。

インフラの大規模な工事を伴わずに実施できるメリットがありますが、一方向の交通を円滑にすることで、交差する別方向の待ち時間が増加し、混雑の悪化につながる場合もあります。そのため、施策導入後は対象路線だけでなく、周辺を含めた旅行時間や滞留長、速度の変化を客観的に評価することが不可欠です。

情報提供・経路分散

道路上の情報板による旅行時間表示、迂回路の案内、Webやアプリを通じた混雑予測、駐車場の満空情報の配信などを通じて、ドライバーの経路選択や出発時間の変更を促す施策です。ドライバーが行動を選択できる情報を、適切な場所とタイミングで提供することが効果を高めるポイントです。

たとえば、Honda Drive Data Service(HDDS)のデータを活用した栃木県の事例では、プローブデータからリアルタイムな旅行時間を算出し、情報板で表示することで、ドライバーに適切な経路選択を促し、並行する路線の交通量の平準化に寄与しました。

※参考:HDDSを活用した案件が令和6年度「インフラDX大賞」国土交通大臣賞を受賞 | トピックス|Honda公式サイト

需要分散・公共交通利用促進

時差出勤やテレワークの推進、観光地での時間分散プロモーション、駐車場の予約制導入、パークアンドライドの整備、公共交通機関の利用促進など、クルマの利用そのものを調整する施策です。

地形や用地の問題で道路側の容量を物理的に増やせない地域で有効な手段となります。ただし、実現には交通管理者だけでなく、地元企業や商業施設などの関係者連携と、住民や利用者に対するわかりやすく丁寧な案内が必須となります。

渋滞対策で使うデータ

渋滞の状況は、時間帯、場所、方向、季節などによって常に変動します。そのため、原因を正確に把握し有効な対策を講じるためには、複数の交通データを組み合わせて分析することが不可欠です。分析の目的に合わせて、データの粒度や対象期間を適切に設定しましょう。

旅行時間・速度データ

「どの区間で、いつ、どれだけ遅れているか」を定量的に把握するための基本データです。平常時と繁忙期の違いや、施策実施の前後での変化を客観的に比較しやすくなります。

近年では、コネクテッドカーなどから得られる車両プローブデータを活用することで、センサーが設置されていない道路を含め、面的かつ広域的な旅行時間や速度の変化を精緻に把握できるようになっており、より高度な渋滞分析が可能となっています。

交通量・通行頻度データ

特定の道路区間や交差点に、どれだけの車両が流入しているかを確認するためのデータです。渋滞対策を実施した後に、狙い通りに車両が迂回・分散しているか、あるいは周辺の生活道路に抜け道として流入してしまっていないかなどを把握する際に役立ちます。

データを利用する際は、全交通量を表しているのか、あるいは特定の車両(プローブカーなど)のサンプリングデータなのかを理解し、母集団や対象車種、サンプル数を確認した上で分析することが重要です。

OD・経路・駐車関連データ

OD(Origin-Destination:起終点)データや経路データは、車両が「どこから出発し、どこへ向かっているか」、そして「どのルートを通っているか」を把握するために使用します。

特に、大型商業施設や観光地の周辺では、駐車場の利用状況や滞在時間、出入口への車両の集中が渋滞の根本原因となることが多く、これらのデータを組み合わせた分析が重要です。なお、個人の移動履歴に関わるため、プライバシーに十分配慮し、匿名化・統計化された常態で安全に取り扱いましょう。

交通データを使った渋滞分析の進め方

インフラDXで使われる各レイヤーの技術を示す図

渋滞分析は、データの確認から施策の立案、検証までを場当たり的ではなく、現状把握、仮説構築、施策実施、効果検証という一連のフローとして設計することが重要です。また、渋滞の原因を最初から単一要因に決めつけず、多角的な視点を持つことが求められます。

1. 対象区間と分析期間を決める

まずは分析の対象となる道路や交差点、方向、そして時間帯(朝夕のピークなど)、平日・休日の別、繁忙期などの条件を明確に設定します。

さらに、対策の効果を正しく測定するためには、比較基準となる「通常期」のデータを用意しておく必要があります。同時に、分析期間中に発生した道路工事、大規模なイベント、悪天候などの外部要因も記録しておき、データに異常値が出た際の要因として考慮できるようにします。

2. ボトルネックを特定する

次に、取得したデータをもとに、速度低下、旅行時間の増加、急減速の多発、交通量の集中などを地図上で可視化し、渋滞の起点となっている箇所を探ります。

データからボトルネックの可能性がある箇所を絞り込んだら、交差点の形状、車線の合流、施設出入口、信号のタイミング、踏切の有無など、現地の物理的な条件を確認します。また、そのボトルネックの影響が周辺道路へどのように波及しているか、影響範囲を面的に把握することも不可欠です。

3. 対策案を比較する

特定したボトルネックを解消するための対策案を複数立案し、それぞれの費用、実施に必要な期間、見込まれる渋滞削減効果、周辺道路への影響、そして地域住民や利用者の受容性を総合的に比較・検討します。

道路インフラの改良だけでなく、信号制御の調整、情報提供、需要分散など、ハードとソフト両面の手法を組み合わせて最適な施策を構築します。この段階で、施策後にどのような指標(旅行時間の短縮幅など)で効果を測るか、検証方法も決定しておきます。

4. 効果を検証する

施策の実施後は、事前に決めたKPIに基づき、旅行時間、速度、交通量、渋滞長、迂回状況、交通事故の発生件数、地域住民の評価などを施策前後で比較・検証します。

もし期待した効果が限定的であったり、別の場所に新たな渋滞が発生したりした場合は、最初の原因仮説を見直し、追加のデータ分析を行います。得られた改善内容や知見を次の施策へと継続的につなげていくことが、根本的な渋滞解消への近道です。

HDDSを渋滞対策に活用する視点

渋滞対策をデータに基づいて進める際に活用できるのが、Honda Drive Data Service(HDDS)です。Hondaの車両から得られる走行データを活用することで、旅行時間や交通量などを分析でき、情報提供や道路整備計画の検討、施策前後の比較など、幅広い用途に活用できます。

※参考:サービス概要 | Honda Drive Data Service

旅行時間表示・交通量平準化

HDDSを活用すれば、プローブデータからリアルタイムな旅行時間を計測し、現地の仮設の道路情報版などに表示することで渋滞を避けるための迂回行動をドライバーに促すことができます。

例えば、幹線道路の旅行時間をドライバーに正確に伝えることで、空いているルートへの迂回を促し、並行する路線の交通量を平準化して混雑の偏りを低減する狙いがあります。現地表示だけでなく、Webサイトやナビゲーションとの連携など、具体的な提供方法を案件ごとに柔軟に設計・確認することが可能です。

道路整備計画・工事影響の検討

HDDSのデータは、渋滞箇所周辺の交通流を面的に分析し、道路整備計画を検討する際のエビデンスとして活用できます。

また、工事中や工事完了後の迂回状況、旅行時間の変化を比較することで、施策の影響を定量的に確認することも可能です。対象エリアや必要期間、利用できるデータの種類については、個別のお問い合わせで要件を確認の上、進められます。

まとめ

渋滞対策サイクル図

渋滞対策では、現場の課題把握や優先順位付け、効果検証にデータをどのように活用するかを整理し、実行することが重要です。旅行時間や速度、交通量、経路データを使うことで、ボトルネックと周辺への影響を把握できます。また、施策前後の比較を設計しておくことで次の改善につなげられます。

Honda Drive Data Service(HDDS)は、Honda車両の走行データを統計化し、交通量や旅行時間、速度などを目的に応じて集計・分析できるサービスです。また、「Riskみっけ」では急減速などの走行データを用いて潜在的な危険箇所を可視化でき、「路面管理ソリューション」では路面状況の把握に役立ちます。

※参考:HDDSを活用した案件が令和6年度「インフラDX大賞」国土交通大臣賞を受賞 | トピックス | Honda公式サイト

旅行時間や交通量データを使って渋滞原因の把握・施策検証を行いたい場合は、具体的なデータ種類、対象エリア、提供形式、費用、納期について、お気軽にお問い合わせください。

このコラムの執筆者

執筆者写真
佐藤耕一
自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT業界に転じて自動車メーカーとのビジネスに従事。その後自動車ジャーナリストとして2017年に独立。クルマとIT、両分野での経験を活かして、SDVやEV領域を中心に取材し、テレビ・ラジオ・Web・SNSなどで発信活動しています。海外取材実績50回以上、企業向けレポート制作実績50件以上。
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