「これ以上のことを望むことはできませんでした」
#ItalianGP
午後にモンツァで行われたレースでは、両ドライバーとも全体を通して果敢な走りをみせたものの、McLaren-Hondaはポイント圏内で完走することができませんでした。
ジェンソン・バトンは1周目の混乱によって順位を落としましたが、その後、すばらしい追い上げをみせ、11位で完走したロマン・グロージャン選手(Haas)のすぐ後ろで完走しました。
一方、フェルナンド・アロンソは力強いスタートを切ったものの、1回目のピットストップの際にシグナルの不具合があり、出遅れました。第3スティントでプライムタイヤを履いていたアロンソは、それとは逆にオプションタイヤを装着していたバトンに追い抜かれ、その後、オプションタイヤに履き替えるためにレース終盤でピットストップを選択しました。その結果、アロンソは本日の最速ラップタイムを叩き出し、単調な展開となっていた午後のレースを活気づける形となりました。
今日は我々が新たに達成した注目すべきことがありました。チームの計測システムによると、33周目に実施したアロンソのピットストップ時間は2.15秒であり、これはタイヤ交換のためのピットストップとしては過去最速です。
順位 | ゼッケン | ドライバー | チーム | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | ニコ・ロズベルグ | Mercedes | 53 | 1:17'28.089 |
2 | 44 | ルイス・ハミルトン | Mercedes | 53 | +15.070 |
3 | 5 | セバスチャン・ベッテル | Ferrari | 53 | +20.990 |
4 | 7 | キミ・ライコネン | Ferrari | 53 | +27.561 |
5 | 3 | ダニエル・リカルド | Red Bull | 53 | +45.295 |
6 | 77 | バルテッリ・ボッタス | Williams | 53 | +51.015 |
7 | 33 | マックス・フェルスタッペン | Red Bull | 53 | +54.236 |
8 | 11 | セルジオ・ペレス | Force India | 53 | +64.954 |
9 | 19 | フェリペ・マッサ | Williams | 53 | +65.617 |
10 | 27 | ニコ・ヒュルケンベルグ | Force India | 53 | +78.656 |
11 | 8 | ロマン・グロージャン | Haas | 52 | +1Lap |
12 | 22 | ジェンソン・バトン | McLaren-Honda | 52 | +1Lap |
13 | 21 | エステバン・グティエレス | Haas | 52 | +1Lap |
14 | 14 | フェルナンド・アロンソ | McLaren-Honda | 52 | +1Lap |
15 | 55 | カルロス・サインツ | Toro Rosso | 52 | +1Lap |
16 | 9 | マーカス・エリクソン | Sauber | 52 | +1Lap |
17 | 20 | ケビン・マグヌッセン | Renault | 52 | +1Lap |
18 | 31 | エステバン・オコン | Manor | 51 | +2Laps |
NC | 26 | ダニール・クビアト | Toro Rosso | 36 | DNF |
NC | 94 | パスカル・ウェーレイン | Manor | 26 | DNF |
NC | 30 | ジョリオン・パーマー | Renault | 7 | DNF |
NC | 12 | フェリペ・ナスル | Sauber | 6 | DNF |
フェルナンド・アロンソ MP4-31-04
「今日は完ぺきなレースをすることができませんでした。1回目のピットストップでは緑色のライトが点灯しないという問題がありましたが、それ以外にもいくつかミスがありました。最初のピットストップで少し時間をロスしたので、それによって第2スティントでは思うような走りができませんでした。
今日の我々には、入賞できるほどの速さがありませんでした。ですから、11位または14位で完走するのかは、それほど大きな違いではありませんでした。ただ、今日は最速ラップタイムを記録したので、少なくとも前向きな結果をもってレースを終えることができました。
残り2周の時点で新品タイヤを装着し、コース上に戻ってグリップを最大限に利用しました。今日はポイント圏外で走行していたので、最速タイムを出したところでレース結果にそれほど大きな違いが出るわけではなかったのですが、統計データ上はいい記録になるので、やってみようと思いました。
このサーキットで自分たちに競争力があるとは思っていませんでしたが、F1カレンダーにある残りのコースの大半は我々のマシンにより適しているはずなので、今後は我々にもいい時代がやって来ると思っています」
ジェンソン・バトン MP4-31-03
「1周目でいくつかミスをしました。スタートが悪く、レズモの最初のコーナーではザウバーの1台が私のマシンを外側にプッシュしてきたので、私はコース外の砂利の部分に追いやられました。その結果、1周目の最後には最後尾まで順位を落としてしまいました。
その後は、これ以上のことを望むことはできませんでした。コース上でいろいろと楽しむことができ、いくつかいいオーバーテイクもすることができました。パラボリカでは外側からオーバーテイクしましたが、これはそれほど頻繁にできることではありません!
自分のパフォーマンスにはとても満足しています。12位完走はすばらしい結果ではないものの、1周目のことを考えると、それほど悪くはありません。常に『たられば』と考えるものですが、1周目でコース外に押し出されていなければ、今日はポイントを獲得する可能性があったと思います。
シンガポールはここよりも確実に我々のマシンに適しています。ここは我々にとって今シーズンで最も厳しいサーキットなので、トップ10にあれだけ近づけたことはそれほど悪い結果ではありません」
エリック・ブーリエ McLaren-Honda Racing Director
「マシンの全体的なパフォーマンスという観点では、モンツァが我々にとって今シーズンで最も厳しいレースの1つになることは分かっていました。従って、今日12位と14位で完走したという事実は驚くべきことではありません。
それでも、両マシンに不具合が発生することはなく、2台ともスタートからチェッカーフラッグを受けるまで信頼性があり、レースペースは全体を通してまずまずでした。
ジェンソンとフェルナンドが競り合う場面がありましたが、激しいながらもフェアな戦いでした。2人のバトルは、TVで観戦する人々やグランドスタンドの観客の皆さんを魅了するすばらしいショーになったことでしょう。我々のいるピットウォールからは、2台がコース上で少し接近しすぎているようにみえることがあります。ただ、McLarenは常にドライバーたちにレースをさせようと思っており、それは当然のことです。我々のドライバーは2人とも経験豊富なプロであり、自分たちがなにをしているのかはちゃんと分かっています。それと同時に、我々はとても真剣に目標に向かってひたむきに取り組む組織なのかもしれませんが、F1がエンターテイメント事業であることも決して忘れてはなりません。
エンターテイメントと言えば、フェルナンドがレース終了間際にピットストップをさらに1回行い、新品のスーパーソフトタイヤを装着して走行しましたが、これは我々も同意した上で実施したことです。その結果、フェルナンドは午後のレースの最速ラップタイムを叩き出すことができました。最速タイムを記録するのは、彼のF1キャリアの中で22回目のことです。
次戦のシンガポールは、モンツァとは全く異なるサーキットです。過大な約束をすることが危険をはらんでいることは常に認識しているので、そのようなことはしません。ただ、マリーナベイの曲がりくねったストリートサーキットは、このアウトドローモ・ディ・モンツァの幅広いカーブと高速ストレートよりも我々のマシンに合っているようです。
我々は入賞を目指して臨みますし、それを必ず実現してみせます」
長谷川 祐介 (株)本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
「ここモンツァのレースは、想定どおりの厳しい結果となりました。予選と比較してレースは安定したいいペースだったので、レース全体としてはよかったと思いましたが、上位陣を脅かすだけの力はなく、残念ながらポイント圏外でのフィニッシュとなりました。
ドライバーとチームは堅実なオペレーションで、実力通りの力を発揮していますので、ここモンツァというタフなサーキットでのレースで完走できたことを前向きに捉え、次戦のシンガポールではもっと力を発揮したいと思います」