「非常に励みになる改善」
#AustrianGP
本日のオーストリアGPにおいて、ジェンソン・バトンは6位入賞を果たしました。バトンの走りは、McLaren-Hondaのマシンが急速にペースを改善していることを、これまでで恐らく、最も納得できる形で示す結果となりました。
3番グリッドのバトンは好スタートを切り、2番手に浮上。オープニングスティントでは力強い走りをみせ、9周目にピットインした際にオプションからバックアップへのタイヤ交換を行いました。ミドルスティントでは前方の複数のマシンをオーバーテイクし、(タイヤのパンクによってダメージを受けたセバスチャン・ベッテル選手(Ferrari)のマシンを撤去するために)セーフティカーが導入された際に、再度ピットストップを行い、最後まで走りきるためにバックアップタイヤを装着しました。
レース終盤には、一時は5番手という上位ポジションで走行していたものの、その後、新品のプライムタイヤを履いたダニエル・リカルド選手(Red Bull)にオーバーテイクされ、最終的には6番手に落ち着きました。
一方、14番手からスタートしたフェルナンド・アロンソも、第1および第2スティントでは競争力のあるレースを展開し、レース状況に応じて戦略が変わる中、トップ10圏内で走行を続けました。セーフティカーを利用して、アロンソもバトンのすぐ後ろで2回目のピットストップを実施したものの、残念ながら、レース終盤にマシンにESバッテリーパックのシステム不具合が発生し、リタイアを余儀なくされました。
順位 | ゼッケン | ドライバー | チーム | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | ルイス・ハミルトン | Mercedes | 71 | 1:27'38.107 |
2 | 33 | マックス・フェルスタッペン | Red Bull | 71 | +5.719 |
3 | 7 | キミ・ライコネン | Ferrari | 71 | +6.024 |
4 | 6 | ニコ・ロズベルグ | Mercedes | 71 | +26.710 |
5 | 3 | ダニエル・リカルド | Red Bull | 71 | +30.981 |
6 | 22 | ジェンソン・バトン | McLaren-Honda | 71 | +37.706 |
7 | 8 | ロマン・グロージャン | Haas | 71 | +44.668 |
8 | 55 | カルロス・サインツ | Toro Rosso | 71 | +47.400 |
9 | 77 | バルテッリ・ボッタス | Williams | 70 | +1Lap |
10 | 94 | パスカル・ウェーレイン | Manor | 70 | +1Lap |
11 | 21 | エステバン・グティエレス | Haas | 70 | +1Lap |
12 | 30 | ジョリオン・パーマー | Renault | 70 | +1Lap |
13 | 12 | フェリペ・ナスル | Sauber | 70 | +1Lap |
14 | 20 | ケビン・マグヌッセン | Renault | 70 | +1Lap |
15 | 9 | マーカス・エリクソン | Sauber | 70 | +1Lap |
16 | 88 | リオ・ハリアント | Manor | 70 | +1Lap |
17 | 11 | セルジオ・ペレス | Force India | 69 | DNF |
18 | 14 | フェルナンド・アロンソ | McLaren-Honda | 64 | DNF |
19 | 27 | ニコ・ヒュルケンベルグ | Force India | 64 | DNF |
20 | 19 | フェリペ・マッサ | Williams | 63 | DNF |
NC | 5 | セバスチャン・ベッテル | Ferrari | 26 | DNF |
NC | 26 | ダニール・クビアト | Toro Rosso | 2 | DNF |
フェルナンド・アロンソ MP4-31-02
「今週末は不運でした。
今日は私にとって厳しいレースとなりました。3周目か4周目あたりからエンジンがうまく機能せず、バッテリーの不具合によってパワーを失いつつありました。ですから、レース全体を通してマシンをリタイアさせるかどうかの瀬戸際に立たされていました。
ただ、我々はトップ10周辺のポジションで走行しており、ポイントを獲得するチャンスがあったため、完走を目指して走り続けました。しかしながら、結局、それは不可能でした。
我々は今週末に直面した問題から学ぶ必要がありますが、同時にポジティブな点もありました。昨日の予選では、変わりやすいコンディションにおいてマシンに競争力がありました。また、今日はジェンソンがチームにとってうれしいポイントを獲得してくれました」
ジェンソン・バトン MP4-31-03
「今日のレースが難しい展開になることは分かっていました。上位のポジションからスタートしたことは、非常に役立ちました。周囲にほかのマシンがあまりいない状態でレースをすることができ、自分の走りをしやすいからです。ただ、このサーキットにはDRS(Drag Reduction System)を使用できるゾーンが2カ所あり、ライバルチームのマシンを後方にとどめることができませんでした。我々のマシンのペースはそこそこよかったものの、ほかのチームのマシンにはオーバーテイクができないと思っていた場所で追い抜かれました。
それでも、我々は圧倒的な速さでWilliamsのマシンに勝ったのです。また、レース戦略においてもすばらしい仕事をしたと思います。今日はすべてのことを最大限に生かすことができました。我々はセッションごとに改善しつつあります。走行するたびに、マシンはどんどんよくなりました。
今回は週末を通して、我々はすばらしい仕事をしました。ただ、来週イギリスGPが開催されるシルバーストーンで同じポジションを期待するのは難しいでしょう」
エリック・ブーリエ McLaren-Honda Racing Director
「午後のレースでは、ジェンソンがすばらしい走りをし、力強い結果は期待できないと思っていたサーキットで6位入賞を果たしました。実際、今週末は我々の強み、資源、そしてチームの決意を最大限に生かすことができれば、自分たちがなにを達成できるのかを示すことができました。今回の結果は、我々がグリッド上位というポジションに向かって歩み続けていることを明確に示すものであり、チームにとっては重要な転機となります。
一方、フェルナンドは午後のレースで精一杯の走りをしましたが、残念ながら、その努力が報われることはありませんでした。レース序盤は懸命にプッシュしていたものの、バッテリーパックのシステム不具合によって徐々に阻まれ、ポジションを上げることができませんでした。その後、問題がさらに悪化したため、レース終了前にマシンをリタイアせざるを得なくなりました。
次戦は母国グランプリとなりますが、高速コーナーとロングストレートからなるシルバーストーン・サーキットで、マシンの強みを生かせるとは思っていません。ただ、我々が継続的に改善できていることは非常に励みになりますし、その思いを胸に次戦に臨みます」
長谷川 祐介 (株)本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
「本日のレースでは、ジェンソンは中団グループの中でも十分に速さを発揮し、予選ポジションを生かして、期待通りに6位入賞を果たしました。
一方、アロンソはバッテリーパックのシステムフェイル(問題)が検知され、安全性を考慮してリタイアを選択しました。
両者入賞の可能性があっただけに残念でしたが、このパワーサーキットのオーストリアでも十分にマシンとチームの強みを披露でき、McLaren-Hondaにとって最初のホームレースとなる次戦のシルバーストーンに対して、勇気づけられる結果となりました」